一話
一度に全部載せる気だったけど、疲れたから一部ずつにします。
昔々ある所に、お爺さんと美魔女のお婆さんが住んでいました。
お爺さんは山にしばかれに、お婆さんは選択に出かけました。
先についたお爺さんが、山で選択(コースや女王様の)を始めたころ…
お婆さんは色町との境にある橋に、差し掛かりました。
すると、川の上流から、すでにパッカンと割れ赤ちゃんが乗った桃が!
どんぶらこっこ~どんぶらこっこ~
と、流れてきました。
「オンギャーオンギャー」
「・・・ヤバ・・・」
なんだい?あんなのバカデカイ桃が、ただ流れてくるだけでもおかしいのに、赤ちゃんがのってるなんてヤバ過ぎるだろ!?お婆さんは見なかったことにしました。
「おっオンギャーー!オンギャーー!!」
より必死で泣きます、このまま、川の流れのように流れるわけにはいきません。
「・・・」
お婆さんはメディアプレーヤーを取出し、最新ミュージックを選択し始めました。
「ギャーァァ、オンギャァァァァ!!」
「・・・ちっ仕方ないねェ」
流石に良心の呵責に耐えかね、赤ちゃんを無視するわけにはいきません!
しかたなく、赤ちゃんは拾う事にして、桃に近づきました。
その瞬間です!!
「なっなんだいこのスメルは!?」
そう桃からヤバいスメルが漂ってきたのです!!
お婆さんは、赤ちゃんだけを拾うつもりでしたが!!!
桃のスメルを無視することが出来ません!!
「やっやばい!なんてスメルなんだい・・・私の・・・紅サソリの全経験が、全力でダメだって警笛をガンガン鳴らしていやがる!!」
気が付けば、桃ごと拾ってしまっています。
「なにこの桃!!ヤバーい!!!」
紅サソリお婆ちゃんは、桃を食べたくてたまりません!だってスメルがヤバ過ぎる!!
「そっそうじゃ!あの爺に食わせればいいのじゃ!!」
この桃を持って帰れば、あの爺は耐えられまい…
それならば、私は耐えるだけでなんとかなる!!
赤ちゃん入りの桃の重量は、すごい重さです!
流石は伝説のレディース紅サソリ!すごい根性です!!
体も若く保っているのです。
家に帰ると、自宅の障子に影となって、すでにプレー(不思議遊戯)を終えたお爺さんが、影法師で映っていました。
お婆さんが桃を持って入ると、お爺さん千代紙を重ねているところでした。
「なにしやがる婆!!これからだろうがよ!!」
お爺さんはプレー(不思議遊戯)を持ち帰って楽しむタイプでした。
「うるせぇよ馬鹿か!金払って何やってんだよ!!」
「うるせぇな、SМはファンタジー(※注ペガサス無関係)なんだよ!てめぇの汚れた男遊びと一緒にすんじゃねぇよ!!!」
お爺さんは、SМと書いて、ピュアと読む人でした。
「てめぇだけ高尚ぶってんじゃねぇよ!!いかれてんのか?アァン!?」
激しくメンチを切りあいます。
「そもそも美魔女なんて、熟女好きにもノーマルにも需要ねぇんだよ!!」
「てっめぇぇ・・・」
ふと、お婆さんは目的を思い出しました。
「実はさ・・・」
急にかしこまって切りだします。
お爺さんは、その言葉を聞くと同時に、赤ちゃんと桃、そしてそのスメルに気が付きました。
「なっなんだコレは・・・」
「ヤバいだろ?」
「ヤバい・・・」
「どうじゃろ爺さんや、お一ついかがかな?」
急に昔話風の話し方になります。
「グレイトっすよ、まったくグレートっす!!」
お爺さんも負けじと、ジョ○ョ風です。
ぐわ~!!なんだよこの桃、マジでヤベーっす!俺の人生の全ての場面がヤベーつってるっす!!!
「ほれぇ、赤ちゃんもかわいいじゃろぉ~」
ドドドドドドドドドドド・・・凄まじいプレッシャーとなって、桃からスメルが漂ってくる。
「イヤ・・・まて、まずは婆さんが食ってみるっす!」
そうっす先に食べるのはあまりにも危険っす!!
どんなに食べたくても、食べちゃダメっす!!!
「・・・!?」
「・・・!?」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・二人に迫りくるプレッシャー・・・
「なっ何をおっしゃいますかお爺さん、ほっほっほっ」
ちぃぃい!爺のくせに余計な知恵を使いよって、生意気な!!!
桃と自身の頭の中から突き上げる食への衝動…
それを中心に、間合いの探り合いが行われる。
「バブー」
その愛らしい声に、思わず目を向けると・・・
『食ってるぅぅぅぅぅぅ・・・』
赤ちゃんが桃を食べていました。
「平気そうね」
「平気そうだな」
顔を見合わせた二人は、遅れを取り戻そうと、鬼の形相になり、桃をむさぼり始めました。
それから一刻後、桃を食べ終えたところで、二人はある事に気が付きました。
「あれ?婆さん若返ってね?」
「爺さんも若返ってますよ」
桃のアンチエイジング効果で、お爺さんは二人がであった頃に、お婆さんは出会うより前にまで、若返りました。
赤ちゃんは若返りすぎて、マジで生まれる五秒前の状態になりました。
「婆さん・・・いいや、紅サソリ」
「爺さん・・・いいえ、お前様」
二人は初めて会ったころのように抱き合いました。
そして着物の帯を、普通のものからD&Gのバックルの付いたものに変え、青春を二人で思いっきり謳歌しました。
もう赤ちゃんのことは完全に忘れています。
それから一年後
お婆さん、いや紅サソリ、いや、紅サソリになる前の若い娘は、子供を身ごもりました。
「お前様、やや子を授かりました。」
「おおそうか紅、子の無かった私たちにもやっと子供が出来た。これからも二人で仲良く頑張っていこうかのう。」
「はい」
荒みきった関係だった二人は、子供を授かったことにより、見事に修復されました。
あんなに荒れ果てた二人にも、子供が出来ればこんな道があったのですね。
誕生前夜
二人が寝静まった頃、紅のお腹の上に、ある何かが、リンゴくらいの大きさの光球となって浮かび上がっていた。
お腹の中、生まれる前の胎児にそれは話しかけた。
「我ハ汝、汝ハ我、我ガ名ハ桃太郎、コノ名ハ、オ前ノトナルダロウ」
胎児の額あたりであろうか、太陽を知らぬ胎児を光が照らし続ける。
「コレカラ、一ツ目的ノ為、共ニ、歩マン」
光球は消えた。
翌日の朝、元気な男の子が生まれました。
「かわいい、この子を授かったのは、あの桃のおかげですね」
「そうじゃのう、じゃからこの子の名前は、桃太郎にしよう。」
桃太郎と名付けられた男の子は、物凄い速さでスクスクと育ちました。
一カ月で一年くらいの度合いです。
「ほんに不思議な子じゃのう」
「そうですね~」
二人は不思議に思いましたが、桃太郎にだけは、もう一つ不思議なことが起こっていました。
それは、赤ちゃんの見た目の丸い球が、羽を生やしてパタパタ飛んでいるのが見えるのです。
そして、10カ月ほどたった頃
「あの~・・・」
「なんだ?」
桃太郎と赤ちゃん玉は、誰にも見られない所で話をしていました。
「なあ、俺は鬼退治にいくんか?」
「ああ、桃太郎だからな」
赤玉の声は桃太郎にしか聞こえません。
「前にも言ったけど、お前に宿るはずだ意志が俺だ、だから、俺が果たすべきことを果たすのが、運命ってヤツになっている。」
「約15歳になったら鬼退治・・・」
「そうだ、それが終わって初めて・・・お前の意思による後日談が始まるってわけだ」
「勝てる?」
「運命って奴が、えげつねぇものならな」
二人は友達のように育っていきました。
「よし!俺たちは今日から、鬼退治の準備を始めるぞ!!」