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嶺上開花短編集

誰か

作者: 嶺上開花

 あれは私が中学生の時だった。私は友人宅へ遊びに行っていて、その帰りのことだった。ズボンのポケットに入っていた携帯のバイブレーションが軽快な音楽とともに響く。

 携帯を取り出し、相手を確認してみると母だった。

「もしもし?どうしたの?」

『あぁ、私? 今どこにおるん?』

 母は心配そうな声音で問いかける。 その奥で、姉の声が聞こえる。姉は誰に電話しているのか気になっているらしく、電話中にもかかわらず母に誰に電話しているのか問いかけている。

「あぁ、友達のとこいっとったんよ。今帰りよるけん」

『そう?ならいいけど』

 その一言に違和感を感じる。その違和感を胸に、帰路を急いだ。


 家に着くとただいまと一声かける。ちなみに、我が家では帰ってきたときや出かけるときには必ず家の中にいる者が返事をするのだが、この時返事が返ってきたのは母だけだった。この時、私の中には疑問が浮かぶ。

 その疑問を解消すべく、母のもとへと急ぐ。

「母~、姉帰ってないん?」

 すると驚くべき答えが返ってきた。

「え?帰ってないよ? なんで?」

「なんでも言っても…。 電話しよるときに奥の方で姉の声が聞こえたんやけど…」

 すると母は驚くでもなく「あんたも?」と言ってきた。思わずあんたも?と聞き返す。

「あぁうん、わたしが返ってきたときにアンタの声で『お帰り』って聞こえたのに全然どこにもおらんけん、電話してみたんよ」


 はたしてこの時、我が家の中には誰がいたのか…。

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― 新着の感想 ―
[一言] お姉ちゃん……家に帰りたすぎて生き霊に?(笑) 電話ってのがまた怖いですね。
2018/05/31 15:41 退会済み
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