後編1
ああ、いつにも増して胃が痛い。
王子が言うには今日はヒロインという、元平民の男爵家の養女が転入してくるそうです。
「どうした。顔が悪いな」
それを言うなら「顔色が悪い」でしょうが!
なんでそんなに気楽にしていられるのですか!
王子がヒロインに誑らかされたら内乱とか王位継承順位がひっくり返されて宮廷派閥闘争になるんですよ!
あなたは最有力王太子候補だというのに!
王子が元平民の男爵令嬢を正妃にと望んで公爵家令嬢と婚約破棄なんてすれば、ブランシャーヌ公爵家は第2王子の筆頭後見人となって王子は廃嫡確実なんです!
なのに王子は「脳みそ花畑で綺麗事しか言わないヒロインなんぞに俺がどうこうされるとでも?」と余裕ぶっこいてるのもムカつくーーー!
もし王子が廃嫡となれば、第1王子を諌める事ができなかったという名目で第2王子派閥によって私の一族郎党処断されてしまうのは確実なんですからね!
何で王子の意味不明な言動を信じるようになったかって?
預言者みたいに色々と当たってたんですよ…ええ。色々と。
おっと。そろそろ王子の予言の時刻です。
この廊下の角を曲がるとヒロインにぶつかって初対面でしたっけ。そもそも王子が先頭を歩くなんて有り得ないんですけどね。
「きゃあ!」
うわぁ。本当にぶつかってきたわー…。
といっても先頭の護衛騎士は避けてヒロインの首筋に抜刀して剣先を突き付けています。
「え?あれ?え?」
ヒ ロ イ ン は 混 乱 し て い る
座り込んで慌てふためいているヒロインは害がないと判断した護衛騎士は剣を鞘に戻して王子を誘導しました。
「痛っ…足が…」
このセリフはぶつかった時にヒロインが言うと王子が言っていました。でも謝罪より先に痛みを訴えるような貴族もどきは放置です。
王子が何の反応もなく立ち去るのを見てヒロインは困惑していました。
「王子…」
「何だ?」
「いえ、あの…」
「羽虫は護衛が負い払った。何か問題でも?」
あれ?王子の性格からすると、上げて落とすと思ったのに完全無視ですか?
「傾国の美少女ならそうしてもいいが、あの程度の平凡顔では遊びがいがないからな」
ひどっ!!
顔か!顔なのか⁉
は?絵では体型がよく分からなかったけど、貧乳そうだから遊ばないと?
あなたという人は…
え?私ですか?私は乳の大小で女性を判断致しません。
顔と胸の脂肪の塊に左右されて人生を棒に振った輩を山ほど見てきましたので。
ええ。代表例はあなたの父君ですけどね!




