前編
初作品です。
理由は分からないが、前世?の記憶というものを思い出した。
前世の俺は喪女というモテない女で、乙女ゲームというやつを好んでいたらしく、コントローラーを握りしめて奇声を上げながら何度も攻略していた。
何を言ってるのか分からない?まあいい。取りあえず聞け。
タイトルは思い出せなかったが、俺はその乙女ゲームの攻略対象で、婚約者のディアーナ・ブランシャーヌ公爵令嬢は悪役令嬢。
ディアーナは俺に激しく執着しており、身分を弁えないヒロインが馴れ馴れしく俺に近づくのに腹を立て、排除すべく嫌がらせの限りを尽くす。
結果、俺に婚約破棄された挙げ句に公爵家から勘当され修道院行き、国外追放、処刑等など……。
何だこの馬鹿馬鹿しい内容は。
常に護衛や侍従、側近候補が周囲にいる俺にヒロインがどうやって近づくんだ?すぐに追い払われるだろうに。
偶然話す機会があったとしても、そう何度も会うようなら政敵や敵国のハニートラップを疑い容易に近づけはしない。
元平民で男爵家の養女になったヒロイン如きを排除するのに嫌がらせをするだと?
男爵家の寄り親にブランシャーヌ公爵家が圧力をかければ、敵対を避けるために男爵家を潰すかヒロインを退学させる、始末するなりして事を収めるだろう。
真実の愛とやらに目覚めた云々で公衆の面前で公爵家令嬢を断罪し、婚約破棄なぞするような奴は「俺の弱点はこの女でーす!僕ちんおバカさんでえっす☆傀儡にピッタリだお♡」と宣言したも同然と分からんのか?
側室か愛妾にすればいいのに正妃にこだわる理由は何だ?
ああ、ゲームの中の俺はディアーナを嫌っていたな。
……。まあ、な。
そもそもあの縦巻きロールと「オーホホホホ」という笑い方は何なんだ。
お祖母様があれを見て「あら懐かしいわね。わたくしが若い頃はみながあのようにしていたのよ」と言っていたぞ。
オイ誰だ。あんな時代遅れの令嬢スタイルをやらせているのはどこの阿呆だ。さっさとクビにしろ。
いや、俺がクビにしてくれる。
まだ俺達は8歳なんだぞ。
子供らしさを徹底的に潰して大人の真似事をさせる必要はない。幼いうちから厚化粧をさせて高慢に振る舞うのが正しい王妃教育と思っているのか?
ブランシャーヌ公爵を呼べ。ディアーナに施されているクソったれな王妃教育について話しがある
公爵とOHANASIして分かったのは、ディアーナを教育しているのは高名な教師達…つまりジジババ共という事だ。通りで時代錯誤なはずだ。
なあ公爵。未来の国王にふさわしい王妃というのは年寄りを真似て「オーホホホホ」と笑いマナー、容姿、気位が高いのが取り柄で型通りの事しか出来ない頭カラッポな女なのか?
ぁあ?王后から紹介された者達を勝手にクビに出来ないだと?
なるほど、未来の国王である私よりも王后が重要だとそなたは言うのだな。公爵家の忠誠は私ではなく王后にあると。
そういえば先日小鳥が囀っていたのを偶然聞いたんだが、どこぞの国の公爵と王后は共に畑に種を蒔く仲らしいな。畑は先王の専用なのだが、おかしな話だと思わないか?
先王の種はいつ芽吹いたのだろうな。
どうした公爵。顔色が悪いぞ?
安心するがいい。悪い芽は摘み取られたと小鳥は歌っていた。
ほう、そうか。家庭教師を一新するのか。
偶然だな、私もそのほうが良いと思っていたところだ。新たな家庭教師はこちらから派遣しよう。
気分が悪そうだな。具合が悪い所を呼び出してすまなかった。ゆっくり養生するといい。
そうだ公爵。お祖母様によろしく伝えておいてくれ。




