旅の途中で
[何処へゆくのだ、狐っ子]
狐は笑顔で振り向き、答えた。
[シアワセになれる所へ行くんですよ]
[わしも着いて行っていいか]
それを聞くと狐は嬉しそうに顔をほころばせた。
[もちろん!ちょうど一人は寂しいと思ってたんです]
それから2人は長い長い旅をした。それと共に狐っ子はいつのまにか青年になっていた。
そして長い旅は終わった。目的地に着いたのだ。
[本当にゆくのか?]
[ええ、勿論。皆が待ってますから]
[そこへ行ってもシアワセになどなれないのだぞ?]
[貴方にとってはそうですが、僕達にとってはシアワセな場所なのです]
[そうか]
狐は笑うと、穴に飛び込んで行った。
神さまは1人、去って行った。