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Rhapsody in Love 〜約束の場所〜  作者: 皆実 景葉
12 ラグビーの勉強
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ラグビーの勉強 Ⅵ



 話が一段落したので、遼太郎はサッと日本史のノートや教科書をしまった。


 これから勉強をするのに何でしまうんだろう?という疑問が、みのりの顔に浮かぶ。その表情を確かめて、



「先生、今日はこれを持ってきました。」



と、遼太郎はラグビーの解説書を机の上に置いた。それに目を遣ったみのりがその目を見張って、次に遼太郎を見た。



「ラグビーのルールを教えてくれるの!?」


「昨日、約束したから。」



 遼太郎は恥ずかしそうに、小さく笑った。



「でも、狩野くんの貴重な時間がもったいないし……。」



 みのりが躊躇すると、遼太郎は首を横に振った。



「先生がこれからも試合の応援に来てくれるなら、知っててほしいし。」



 断固とした口調で遼太郎が言うので、みのりは肩をすくめた。



「そう?……じゃあ、狩野先生。教えて下さい。」



と言いながらみのりは、きちんと膝を揃えて手をその上に置き、ペコリと頭を下げた。


 その仕種の嫌味のない可愛らしさと、「狩野先生」なんて言われて、甘い動揺が遼太郎の全身を襲う。けれども、なんとか平常心を取り戻して机に向かった。


 遼太郎がコホンと一つ咳払いすると、みのりは自分の備忘録のための小さいノートのきれいなページを出して、準備をした。




「先生、ラグビーって、どんなゲームをするスポーツだと思いますか?」



 『いきなりそう来たか…』という顔をして、みのりは遼太郎を見て目をパチパチさせる。



「ボールを持って走るでしょ?相手チームはそれを阻止しようと、タックルする。タックルされまいとパスして、パスして、トライ!やったー!って感じ…かな?」



 みのりが苦しまぎれの稚拙な説明をすると、遼太郎は口角を上げて笑いを含んだ顔をした。

 そして、次第に笑いが抑えられなくなって、ククク…と笑いを漏らした。



「え!?違った?試合を見てそんな感じだと思ったんだけど…。」



 みのりは、恥ずかしくなって真っ赤になった。



「いや、……だ、大体合ってます。そんな簡単にトライ出来たらいいんですけどね…。」



 笑いながら遼太郎がそう言うと、みのりはウンウン、と頷いた。



「先生、ラグビーって、簡単に言えば陣取りゲームなんです。」


「えっ!そうなんだ!」



 みのりは驚いた顔をして、左手を口に当てた。



「グラウンドがあって」



 そう言って、遼太郎は解説書のグラウンド説明のページを開いた。




「ボールを持ってる選手の後ろがそのチームの陣地になるんです。だから、このボールよりも前にいる…敵の陣地にいる選手は、プレーに参加出来ません。参加した場合、オフサイドって反則になります。」



 グラウンドの解説図を指差しながら、遼太郎が説明すると、みのりが目を輝かせた。



「狩野先生!今ので目からウロコが落ちました。なんだか、解った気がします!」



 案外単純なみのりに、遼太郎は机に突っ伏して笑いを堪えた。

 そんな遼太郎を、みのりは首を傾げて見つめる。



「先生って…….。面白い。」



 笑いが収まって顔を上げた遼太郎が、そうつぶやく。



「面白いって、どういう意味?ね、それより、だから前にいる人にパスできないのね?それじゃ、前にボールを投げるのもダメなのよね?」



 なんで自分が笑われているかよりも、みのりの興味はすでにラグビーについての知識を増やすことにあった。


 さすがに、呑み込みの速いみのりに、遼太郎は少し驚く。



「そうです。それはスローフォワードって言って、反則になります。だけど、前にキックするのはアリです。」


「あっ、そうだよね。キックはするよね!」



「前進して陣地を増やすためには、ボールを持って走るか、キックするしかないんです。」


「陣地が広ければ、ゲームの展開も有利に運べるわけね。」


「それと、いかにボールを支配するかです。たくさんボールを保持できてると、必然的にボールを前に運べるのでやっぱり得点しやすいです。だから、死にもの狂いでボールの奪い合いをします。」



「それで、タックルするのね!」


「1対1での奪い合いがタックルなら、いや、2人以上でもタックルに行きますが…。チームが力を合わせる奪い合いをモールやラックと言って…。」



 解説書のページをめくり、遼太郎は写真を見せながらその説明をする。



「ね、この写真、スクラムと似てるけど、スクラムってどういうときにするの?」


「スクラムは、さっき言ったスローフォワードみたいな軽い反則をしたときに、ゲームを仕切り直して再開する方法です。俺はバックスなんでスクラムは組みませんけど。」



「衛藤くんや二俣くんは組むのよね!ぶつかり合うときの『ウッ!』っていう低い唸り声、男っぽくってドキドキしちゃう!」



 両手を握ってみのりが頬を紅潮させた。




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