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Rhapsody in Love 〜約束の場所〜  作者: 皆実 景葉
11 絶世の美女
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絶世の美女 Ⅰ



 後期が始まって、すぐに芳野高校の創立100

周年の記念式典は行われた。



 式典担当主任の井上先生は、今日は朝からピリピリしている。何といっても、この学校が輩出した衆議院議員で現役の大臣をなさっている先生をお招きして、講演をしてもらうことになっているからだ。


 地域の名門芳野高校には、戦前から内閣の閣僚を務めた大先輩が何人もいる。その高校が行う100周年の節目の記念式典だから、まさに地域を挙げての大イベント。式典には、学校関係者のお偉方や地域のお歴々が一堂に会した。



 いつも生徒たちが汗を流す空間である体育館は、会場となり、花々で飾られている。在校生と卒業生などの一般参列者、来賓などのパイプ椅子が所狭しと並べられ、厳粛な雰囲気に満ち満ちている。




 ざわめきが始まったので、みのりは生徒たちが会場に入ってきたことが分かった。

 ステージ脇の幕の合間から、会場を覗いてみると、1000人を超える生徒に加え、一般客も大勢来ていることが把握できる。



 この後、オープニングのレセプションで、筝曲部と合唱部の発表が行われる。

 みのりは自分が演奏するわけではないのに、いささか緊張してきた。みのりは自分の緊張を気取られまいと、筝曲部員たちに微笑みかけた。


 筝曲部員たちは井上先生の合図で、あらかじめ配置されている琴の横に座り、指に爪をはめ、出番の時を待っている。みのりがステージの最終確認をし、部員たちに目配せしてステージ脇に下がると、間もなくして放送部員のアナウンスがあり、幕が上がった。



 筝曲部の部員たちは、放送部の顧問が他校から借りてきて増強されたスポットライトに煌々と照らされる。

 光のまばゆさにみのりは目を細め、昂揚感に胸が高まった。難なく演奏を終えてくれることを祈りながら、息を殺してステージ脇から見守った。



 式典の在校生の席は、ステージに向かって前から3年生、2年生、1年生の順になっている。

 全校朝礼でもすし詰め状態なのに、今日は一般客や来賓もいるので、息がつまりそうだ。

 十月の中旬ともなれば暑さは和らいではいるが、まだ気温は高く、十月ということで服装を冬服に統一されていることもあって、じんわりと汗をかいてくる。



 アナウンスがあり、皆のざわめきが収まって、箏曲部の演奏が始まった。


 遼太郎は、別にみのりが弾いているわけではないと分かってはいたが、顧問のみのりはどこかでこの演奏を耳を澄ませて聴いていると思い、自分も真剣に聞き入った。



 箏曲部の演奏は、何ヵ月もかけて綿密に練習が行われてきただけあって、心に響く完璧に近いものだった。


 二曲めになるとき、一部の琴がステージ脇に置かれていた琴と交換された。これは、曲が替わって調律しなおす必要がある場合、あらかじめその曲に応じて調律している琴を用意しておいて、それと交換されるためだ。


 二曲め用の琴を抱えて出て、一曲め用の琴を抱えてステージ脇に引っ込んでいった白いスーツの女性に、遼太郎の目は釘付けになった。



――先生だ……!



 見たことのない白いスーツに、髪は高い位置にまとめ上げられていて、日頃のみのりの感じは全く見受けられなかったが、遼太郎は確信していた。


 もっとちゃんと確かめたかったが、二曲めの演奏が始まってしまい、みのりの姿は探せなかった。



 二曲めの演奏が終わると、箏曲部員たちは自分の弾いていた琴を抱えてステージ脇に退散し、素早く片付けが行われる。みのりも部員とともに、立奏台や譜面台を素早く回収して歩いた。


 そのみのりを、遼太郎の目は追いかけた。胸の鼓動がどんどん早くなり、呼吸も無意識に大きくなる。



 今日のみのりは、想像を超えるくらいに綺麗だった。


 クリーム色に近い光沢のある白いスーツは、みのりの身体にぴったりと沿っており、そのスタイルの良さを際立たせた。上品に髪を結い上げられているので、日ごろ目にすることのない白く美しいうなじと生え際を見ることができる。パールのネックレスは華奢な鎖骨と胸元の美しさに目を止めさせた。


 そして、日ごろほんのり程度にしか化粧をしないみのりが、マスカラにアイライン、口紅で完璧なメイクを施していて……、本当に、びっくりするくらいの美女がそこにはいた。




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