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Rhapsody in Love 〜約束の場所〜  作者: 皆実 景葉
8 体育大会のハプニング
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体育大会のハプニング Ⅰ



 秋季大会の日、試合の前のウォーミングアップをしていた遼太郎は、観客席にいる一人に目を止めた。


 動作を止めて凝視する……。



「どうした?遼ちゃん。」



 その不自然な様子に、二俣が声をかけた。遼太郎は観客席から目を離さずに答える。



「仲松先生がいる…。」


「えっ!?みのりちゃん?でも、今日は来れないんだろ?」



と、二俣も観客席に向かって目を凝らす。



「ん?何処にいる?」



 額に手をかざして探すが、二俣には見つけられない。



「ほら、あのつばの大きなベージュの帽子を被って、サングラスしてる。あっ、今立ち上がった……。」



 遼太郎の言う通り、一人の女性が歩いて日陰の観客席に場所を移していた。

 白いぴったりした七分袖のTシャツに、ベージュ色のショートパンツにサンダルという出で立ち。



「ええっ!!あれは、みのりちゃんじゃないだろ!?イメージが違いすぎるぞ!」



 いつものみのりは、ふんわりしたフェミニンな感じの服装が多かった。



 しかし、遼太郎は断言した。



「いや、あれは先生だ。」



 顔もはっきり判別できないのに、あまりにも遼太郎がきっぱり言うので、二俣には疑問がわいてくる。



「なんで、判るんだ?」


「なんでって、身体でかな。」



「……かっ、身体……っ!?」



 二俣は目を剥いて、顔を赤くした。遼太郎も二俣がどう解釈したのかを悟って、同じく顔を赤らめる。



「……い、いや、違う!!見た感じでだ!見た感じ!!」



と、必死で言い直したが、二俣はからかうように肩をすくめて、ランキングを再開した。



「ふっくん!先生には言うなよ!!」



 遼太郎は二俣を追いかけながら、もう一度みのりとおぼしき人物を確認する。



 ぴったりしたシャツなので、肩から腕のラインはよく判る。華奢な鎖骨が覗く首回り。膝から上は見たことはないが、膝から下のほっそりとしたふくらはぎ、その下のくるぶし。キュッとしまったウエスト。そして、胸の大きさと形。


 どこを見ても、遼太郎が記憶しているみのりに違いなかった。


 特に、太ももの中ほどから下をあらわにしているその脚線美は、遼太郎だけでなく、周りの人たちの目を引いた。

 みのりから数メートル離れたところにいる中年男性などは、憚らずみのりに見とれているのが、遠目でもよく判った。



――やらしい目で先生を見るなよ。オッサン!



 遼太郎は自分のことは棚に上げて、その男性を遠くから睨みつけた。



「よし、ランパスするぞ! 」



 先ほどはまるで違う、二俣のまじめな声が響く。


 遼太郎の意識はみのりから離れ、臨戦モードに切り替わる。それから、みんなの輪の中心になって指示を出し、練習を始めた。



 このラグビーの秋季大会は、秋季国体の前ということもあって、一番の強敵である都留山高校は不出場だった。

 都留山高校のラグビー部員のほとんどは、国体の県の選抜選手に選ばれている。芳野高校からも、二俣とウイングの膳所がメンバーに選ばれ、顧問の江口先生の喜ぶところとなった。


 ただ、芳野高校は県の秋季大会にも出場しているので、二俣と膳所はこの後、強行スケジュールとなる。



――この時期にこんなにラグビー漬けで、二人とも入試は大丈夫なのかな?ま、国体まで出られたら、どこかの大学から引きもあるかもしれないけど……。



 そんなことを考えながら、みのりは膝に肘をついて、試合前の練習風景を見下ろした。


 昨夜はあのまま寝付けるはずもなく、夜明け近くまで涙を流し続けていた。


 ラグビー観戦でもしたら気が晴れる……というより、遼太郎や二俣の頑張る姿を見られたら、この底なしの哀しみを少しは忘れられるかと思い、みのりはここまで車を飛ばしてやって来てしまった。

 どちらにしても、こんな泣き腫らした顔では部活に出られるはずもない。監督の仕事は休ませてもらい、なんとか試合開始の時刻には間に合うように駆けつけた。





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