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転生しようが美少女になろうが好きなように生きたい  作者: おもちゃ箱
プロローグ1 暖かい日々
9/21

転生十五年目・試験開始

今日で転生十五年目、僕も十五歳。一人前として認められる歳になった。

前日親と色々話ができて緊張はほぐれた。というか、それ以上に真剣に考えないといけないことができて、試験の合否があまり気にならなくなった。いや、やるからには合格目指すよ?ふんす!


「おはようございます」

「はい、おはようございます、カノンちゃん。昨日はよく眠れた?」


ギルドの受付嬢のジルさんだ。同じドワーフのはずなのに、随分大人っぽい。おムネも大きいので男が大多数の冒険者には大人気だ。いや、僕は見てないよ?・・・チラッとしか。口説く人も後を絶たなかったので、極度の口説きは禁止のルールができるほど。もちろん性格もいい人なので、僕も好きだ。あ、ライクの意味でね。


「はい」

「うん。昨日と違って自然体ね。それならいい結果になると思うわよ。がんばってらっしゃい。試験内容は二階にいるギルマスに聞いてね」

「はい」


ありゃ、昨日の僕は態度に出る程度には緊張してたらしい。

思ったこととか態度に出やすいかなぁ僕、とか考えながら、ギルドマスターの部屋をノックする。


「どうぞ」

「失礼します」


中に入ると、ちょっと身長は低いけど、ナイスミドルなおじさまがこっちを見ていた。


「カノンちゃんか。今日は3rdの試験だったね。いやはや、ダズとリリィの子供だから期待はしてたが予想以上に3rdまでくるのが早かったね」

「いや、まだ3rdになってませんからね?エルガーさん」


ギルドマスターのエルガーさんだ。時折父さんの工房にきては色々話していく。父さんのお客さんでもある。


「いやー、比較や期待はやめてくださいね。プレッシャーだし、父さんや母さんに比べられると絶対見劣りしちゃうので」

「謙遜しなくてもいい・・・いや、カノンちゃん本気でそう思ってるね。戦果を見れば負けず劣らずなんだけどねぇ」

「これまではともかく、これからはわかりませんから」

「確かにそうだけどね」

「それより試験を始めましょう。ギルドマスターのお仕事を邪魔しちゃいけませんし」

「礼儀といい、気遣いといい、本当にできた子だよ。そういえば今日から十五歳だよね?どうだい?私のお嫁さんにならないかい?」

「女性冒険者を敵にしたくはありませんので」

「あっはっはっ。参ったな。モテすぎるのも困ったもんだ」

「また話が逸れてますよ、エルガーさん」

「あぁ、すまない。試験はモンスターの討伐だ。精霊喰いって知ってるか?」

「知識程度には。スピリッツグラトニーでしたっけ?でもこの辺の生息モンスターじゃありませんよね?」

「どうもはぐれが火山の麓の森に迷い込んだらしい。こいつに暴れられるとこの辺りにどんな影響が出るかわからない。早急になんとかしたいんだ」

「それって試験にするより他の冒険者の方にお願いすべきでは?」

「ちょっと事情があってね。3rd以上の冒険者には別の依頼があって手が離せない。実力的にカノンちゃんが適任なんだ。倒したモンスターの討伐部位は耳だからそれをギルドに提出してくれればいいよ。本当は素材も欲しいけど、カノンちゃんも欲しがりそうだから今回は譲るよ。その代わりと言ってはなんだけど、試験って名目だから依頼料は低いけど了承して欲しい」

「依頼料出るんですね。あ、もしかして国からですか?」

「その辺りは話せないけど、だいたいカノンちゃんの想像通りだと思うよ」


この国は自然の恩恵が多い。だから精霊とは調和していきたいんだと思う。だから精霊喰いなんて百害あって一利なしなんじゃないかな。


「結構依頼料出てますよね?」

「出てるよ。でも今回ばかりは素材の方が価値が高い。精霊喰いの素材は精神系のモンスターに強い武器ができるんだ。魔法なんかの手段以外に精霊系やカノンちゃんの苦手なアンデットの中に属するゴーストやレイスを攻撃できるだけじゃなく特攻性能だから、欲しがる人も多い」

「素材をもらいます!絶対に倒して素材をもらいます!」

「そういうと思って最初からそう言ってるんだ。わかってもらえた?」

「はい!」


絶対に倒す。精神系の特攻武器超欲しい。


「期限は一週間。早ければ早いほどこっちとしても助かるから、三日で終わらせた場合、2ndへの功績追加と経費を全額こちら持ちでいいよ」

「随分好条件ですね」

「それだけ事態は大きいって事。頼んだよ」

「はい」

「ああ、それと最後にもう一つ。もし盗賊に出会ったら、早急に詳細な報告が欲しい。これは別途で情報料を払うから」

「被害が多いんですか?」

「最近ね。討伐の依頼も出すかもしれないから情報が欲しいんだ。もし生け捕りにできたら報酬も弾むからね」

「まぁ、余裕があったら」

「もちろん。気をつけてね」

「では失礼します」


挨拶してギルドを後にする。準備も終わっていたので早速火山の麓の森まで向かった。道中、魔物に出会わなかったのが少し不気味だったが、森は森で異常だった。物音がしない。普通何かの鳴き声や木々の揺れる音、他にも何かしらの音がするはずなのに全くそれがない。精霊喰いは思った以上にヤバい存在なのかもしれない。


「キューーーーーーーーーン!!」


そんな状態だったからか、何かの鳴き声は必要以上に響いて聞こえた。

まだ手探りの状態だし、何かのヒントになればいいと思って鳴き声のした方へ走り出す。運が良ければ目的の精霊喰いかもしれない。


いた!精霊喰いだ!何かを追いかけてるようだ。


「キューーーーーーン!!」


さっきの鳴き声はアレか。精霊か何かかな?

そんなことを考えてると、精霊?は壁に追い詰められた。同時に僕も精霊喰いに追いつき、灯螂を抜く。


「ハァッ!」


横一閃。しかし精霊喰いも僕に気づいていたらしく、飛んで躱された。


「・・・」


精霊喰いに睨まれる。死んだ魚のような目が不気味で気持ち悪い。あまり長く見つめあっていたくない相手だな。


「っぅあっ!?」


分析というか、感想というか、そんなことをしてる間もなく精霊喰いはこちらにターゲットを変更、襲いかかってきた。どうにか初撃は避けたけど向こうは殺る気マンマンらしく、次の攻撃に移ろうとしてた。


「少しは空気読もうよね!」


思った以上に早い攻撃速度に頭を修正しつつ、下から刀を振り上げる。


スカッ!


これもまた思った以上にない手ごたえを感じながら、手を切り飛ばした。

倒せる!そう思った矢先、背中からビチビチと音がして、ついびっくりしてそちらに目を向けてしまった。そこには切り飛ばした手が跳ねているだけで、これが渾身のミスだと認識した時には、精霊喰いが目の前まで迫っていた。


「キューーーン!!!」


精霊喰いの爪より少しだけ速く僕に飛び込んでくる何かがいた。鳴き声からするとさっきの精霊?と思いながら一瞬見えたのは、赤い色をした小さなキツネのような生き物だった。

その子が触れると同時に僕の視界は光に包まれた。


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