転生一年目
今回短いです。後で改変の可能性があります。
今日は一歳の誕生日だ。この世界に誕生日というものがあればの話だが。
早いもので、あれからもう一年もたつ。
生活の方はどうなったかというと、ごはんのお・・・おっぱ・・・・
・・・ミルクを貰うのがちょっと恥ずかしいのと、オムツに抵抗があったが、ちょっとずつ慣れてきた。
これ、完全に慣れるとまずいよなぁ。
ちょっとずつといえば体にも力がちょっとずつ入るようになってきた。そろそろハイハイもできそうだ。もっともベビーベッドの上なので、なんとか降りれるように考えたい。これは結構大事な課題だ。
いや、ぶっちゃけ暇。
赤ちゃん体質なのか、眠い事が多いのでかなりの時間寝てるんだが、それでも起きてる時間はある。語学勉強、と言っても主に親の言葉を聞いてるだけだが、誰かしら喋ってないといけないし、やはりそれだけだと飽きる。そうすると、もうする事がない。
今までは「俺もしかして無双系の能力でも貰ったんじゃない?」と思って色々試したり(結局何もなかった、無双系ならぬ夢想系とか自虐した)、アニメやマンガ、ゲームがない事に非常に落ち込んだり、この世界で何をしていきたいか考えたりと、色々頭を使ってやり過ごしてきたけど、そろそろネタが尽きる。
まぁそのぶん語学勉強は真剣にやってきたので、何を話しているのかはわかるようになってきた。
おかげで衝撃の事実が発覚。それは
「カノン~♡いい子にしてた~?♡」
うん。ちゃんと理解できる。でも問題はそこじゃない。
問題なのは俺の名前。よりにもよってカノン。前世の頃にからかわれてよく使われてたので、正直ちょっと、いや、かなり嫌。ただせっかく今世の親がつけてくれた名前だし、これからずっとつきあっていく名前なのでどこかで折り合いはつけないと、とは思っている。
問題はそれだけじゃない。名前でわかると思う。そう、俺は女の子になってしまったのだ。現在進行形で。体を洗って貰ってる時、毛が生えていない体を懐かしく見てたらその違和感に気づいた。体に見慣れたモノがない事に。
思わず二度見した。そして再び訪れるザ・ワ◯ルド(一時停止)。これもいつか折り合いをつけないといけない。
「なんでいつもそんなに嫌そうな顔するの?母さん寂しいっ」
しょうがないじゃん。でも顔に出てたらしい。気をつけよう。
っと、今声をかけてくれたのは、例の美少女、つまり俺の母親だ。身長といい顔つきといい、前世で言うなら中学生にしか見えない。親父は厳ついため二人並ぶと親子に見える。これで夫婦というんだからやはり犯罪の(以下自粛
性格も結構子供っぽい。寂しいとか言いつつ泣き方がわざとらしい。
まぁ本気で怒らせたくはない人だ。俺を泣かせた時もそうだが、前に母さん秘蔵の蟻蜜を見つけて勝手に食べた親父がパーフェクトでKOされたのを特等席で見ていた。あの細腕の一体どこにあんなパワーが隠されているのか。
「カノ~ン♡今日もかわゆいのう♡」
「ア"ァ"?」
「カノン!?今カノンから聞こえるはずのない声が!?」
「気のせいですよ」
「そうか気のせいか」
それでいいのか親父!?あ、酒臭っ。
ま、まぁいい。これがあの時俺を泣かせたガチムチのおっさん、俺の父親だ。厳つい顔は慣れた。というか俺の前じゃだいぶ自然に崩れるようになった。どうも笑顔が苦手だったらしく、俺に近づいてきたときも一生懸命笑っていたらしい。あれは軽くホラーだった。
中肉中背、ただしガチムチ。性格はまだよくわからない。ただ俺の前じゃ結構だらしない。あと母さんの尻に敷かれている。
「しかしカノンはワシらが呼ぶといつも嫌そうな顔をするの。ワシらの事が嫌いなのかのぅ?」
「それはないわよ。私たちを見て笑ってることも多いじゃない」
「じゃなにがそんなに気に食わないのかの」
「なんでしょうねぇ?」
うーん。そんなにわかりやすかったかな。無自覚って怖いな。でももうちょっと時間が欲しい。自分の中で必ず折り合いをつけるから。