メモリアを求めて5
蹴りを左手で防いだイリスは右手で砂の拳銃の片方を瞬時に抜き、ツァーニャに照準を合わせる。
すると、ツァーニャは六尺棒のような細長い棒の武器を背中の袋から抜いてみせた。
「おおっと、危ないわ〜」
「ちっ、相変わらず戦闘に関しては抜け目のない」
イリスが間合いを取る。取らなければ今頃ツァーニャの六尺棒の鋭い突きをまともに食らって、動けなくなっていたところだろう。
「あら〜殺し合い以外だって抜け目ないわよ〜」
「どこがだよ! 買い物行ったらセールスマンに要らんもの買わされるくらい人の意見に流されやすいだろうが!」
イリスとツァーニャの間に割って入り、六尺棒を無理やり引っ掴んだ咎。故に動きが止まったツァーニャ。直ぐさまイリスが2丁拳銃で光弾を連射するが、ツァーニャは思いっきり六尺棒を円状にぶん回し、光弾と咎もろとも吹き飛ばす。
「ったく馬鹿力がぁ!」
「たいちょ〜に言われたくないですね〜」
咎が着地した瞬間にツァーニャの六尺棒による何発もの突きが襲い、何とかいなしながらも少しずつ押されていた。
「こっちを無視しないでください」
「してないわよぉ〜、バビ!」
後ろから2丁拳銃をぶっ放しながら思いっきり接近してきたイリスに対し、咎に疾い突きを打つ六尺棒の、もう片方の先端部分から大きな風の塊のようなものが吹き出してイリスに襲いかかる。
「アリー!」
イリスは銃を持ったまま縦に右手で切り、左手を横に切る。
すると地面がえぐれて彼女の目の前に土の壁が形成され、ツァーニャの出した風を何とか防いだ。
「やっぱり一筋縄ではいかないわね〜」
「メモリア、風の棍、やはり手強い」
「クッソ、二人がかりでいっぱいいっぱいになっちまってるな」
「ほんと〜に、たいちょ〜弱くなっちゃってますね〜。半信半疑でしたが王ちゃまの言う通りでびっくり〜」
風の棍を構え、涼しい顔で言うツァーニャ、対してイリスと咎は真剣な表情で彼女を見据える。
「クッソ、ヴォルが機能すりゃ余裕なんだけどな」
咎が自身の腹のあたりを押さえながら言う。するとイリスがため息を吐いた。
「……隊長、私にツァーニャと一対一でやらせてもらえませんか? さっきから連携しようとしてるのは分かるんですが邪魔です」
「え、マジ?」
「はい、地の利はこっちにありますし余裕です。先にキッドさんのところに行ってください」
「ふーん、ま、邪魔とまで言われちゃしゃあねぇな。俺も二人がかりで一人にかかるっての好きじゃねぇし」
自身の服をのほこりをパンパンと払った咎は隣のイリスの肩をポンと叩いた。
「ほんじゃま頼んだ」
咎がニカっと笑うとイリスはその肩を跳ね除けて言う。
「了解」
その言葉を聞いた咎は小屋の方に一目散に走っていき、ツァーニャがそれを追いかけるが、当然イリスが銃を構えて立ちはだかる。
「あら〜、たいちょ〜は逃げちゃったのかしら〜?」
「そんなわけないじゃないですか。私があなたの相手をします」
「ぷぷ〜、イリスちゃんが? ツァーに? うふふ、おもしろ〜い」
「前から思ってたんです、そのうすら笑い気持ち悪いなと。なので、あなたをぶっ倒す機会をくれた隊長に感謝ですね」
凄く余裕を持った表情で言ったイリス、今の言葉にツァーニャの眉がピクッと動いた。
「世界の敵の一番の後輩ちゃんが舐めた口聞いてくれるね〜。いいよ〜。」
ツァーニャのそれまで細くにたついていたその目が獲物を見つけた鷹のように鋭く光った。