伝説の技”膝滑勲”
2XXX年世界は皆、強さを求めた。
あるものは筋肉をつけ、またあるものは戦略を練った。皆最強をめざし力を求めた。
そんな世にある噂が駆け巡った。その奥義の名、それは使ったものの周りに破滅を招く業”膝滑勳”。
噂を聞いたものはその技の修得のため修行に明け暮れた。あるものは小指で熊を倒し、またあるものは爪楊枝で鬼を倒した。だが、とうとう修得したものは現れなかった。
修得者が現れず数年…修行するものは数しれず、修行の中で命を絶つものが後を絶たなくなった。
皆どんな業なのか分からなかったが、それでも修行に邁進するのであった。
そんな中ある老人が知っているという声を上げた。
老人のもとには我先に聞かんと人が殺到したのであった。
老人は立ち上がり、技を披露するという。
「では」
…老人がやった技は奇妙な技であった。
ひざを90度に曲げて大きな声で「かっくん」と叫ぶ、ただそれだけであった。皆はただただ目を丸くするばかりであった。
この技は昔、人に向けて発射される恐ろしい技であった。だが命を奪うものではなく、友を失うまさに”破滅”の技なのだ。
出所の分からない情報に尾ひれが付き、話はふくらみにふくらみ、皆が勝手にすごい技だと勘違いをしたのであった。…あな恐ろしや”膝滑勳”もとい”ひざかっくん”…。はたしてこの技を伝説として流したのはいったい誰なのであろうか?
老人がにやりと笑った。