B-1
目を開けた途端、視界に飛び込んできたのはかわいい動物たち。
耳の短いうさぎ、首の長いやぎ、目が大きくてくりくりなこうもり、etc、etc…。
20匹以上!が俺を覗き込んでた!
森の中でイケメンが寝てたら、そりゃ気になるよね。
さすが俺動物にも人気!と思って勢いよく立ち上がり、腕を広げて抱きしめようとした瞬間。
「シャーーーー!」
その全部が牙を向いて襲いかかってきた。
結構鋭い。
一瞬固まってから、後ろを向く俺。
「ぎゃああああああああ!!」
叫び声を上げながら全力で走る。
さすがは動物、足が速い。
全速力で走ってるのに全然振り切れない。
俺、かけっこには自信あったんだけどなぁ。
「俺食べてもおいしくないって!イケメンだし!モテるし!生かしといて損はないのー!」
たぶん人間の言葉を理解出来てはいないから、この命乞いにはあまり意味がないんだけど。
でもやらないよりマシだよね!
そんなことを考えながら走ることものの数秒。
「おお!すげぇ!」
見知った声が聞こえてきた。
思わず顔をほころばせる俺。
「Cーぃー!」
名前を叫びながらちょっとした崖から飛び降りる。
だいたい3m。余裕で着地。
動物たちも俺に続いてジャンプする。
「え、あ゛!?ふざけんな!!!」
俺の後にワラワラ続く動物たちを見て、Cがまゆを釣り上げた。
その顔うける。
「てめぇ!何モンスター連れてきてんだ!」
モンスター?と首を傾げながらも走ることは止めない。
俺の表情から察したのか、Cはため息を吐いた。
そして、右足を引き、まるで格闘家のように構える。
「うぉら゛!!」
俺の顔面すぐ右をCの右拳が横切った。
シュッて音が耳を掠める。
一瞬心臓が停まったと思う、いや、まじで。
Cのパンチはうさぎに鋭い角を付けたような動物に当たった。
どうやら俺に追いついていたみたい。
Cの拳に弾かれたうさぎもどきは破裂したような音を立てて煙となり消えていった。
びっくりする俺の後ろで、残りの動物たちが慌てて逃げていく。
とりあえず、ピンチは過ぎ去ったみたいだ。
「な、んなのよー…。」
「今度の世界はRPGみたいだな。」
息の整わない俺に、Cはすごく冷静に言った。
RPG…ロールプレイングゲーム!
子どもの頃に何度かやったことある!
「俺らには『役職』が与えられてる。これの中に全部書いてあるぜ。」
Cは右腕を突き出してきた。
手首にCの趣味ではなさそうなブレスレッドがはまっている。
俺の右手首にも同じものがあった。
「これって…」
真ん中にある宝石?を見つめると、それが水色に光出した。
光は空中に伸びると、水色の四角になった。
四角の中には文字が浮かんでいる。
「B、男性、24歳、職業、ソルジャー!」
「へぇ、お前騎士かよ。」
ソルジャーって騎士のことだよね?
かっこいい俺にピッタリじゃん!
「んで、これがたぶんクリア条件だ」
Cが指したとこには、「任務:使徒の護衛」と書いてある。
「誰のこと?」
「さあな。帝都ってとこに行けばわかるらしいぜ。」
通りすがりの爺さんが言ってた、とCは自分のモニターを見ながら言った。
「Cはファイターなんだね」
「おう。ボクシングなんてやったことねぇけどな」
Cは拳を握ってみせる。
身体が武器ってことか。かっこいいな。
「あれ?」
ここで重要なことに気づく。
「俺、剣なんて持ってないよ」
持ってたらさっき逃げてないし。
丸腰じゃ護衛なんてできやしない。
「俺戦えないじゃん!?」
「剣の代わりになるかわかんねぇけど、あれなんてどうだ」
Cが指さす先には1本の丈夫そうな枝が転がっていた。
「さっきまでここの木殴ってたたけど、割と強いぜ」
とりあえず拾って腰に携えてみるけど、枝じゃかっこ悪い。
「こんなんで大丈夫かなぁ」
俺の不安を他所に、Cはスタスタと歩き始めた。




