D-3
いよいよ大詰め、って言っていいのか。
静まり返った室内の空気がなんとなく重い。
今日のターゲットはおれ。たぶん。
昼間のことを思い出す。
「おれ、うらないしなんだ。」
突然の告白に、他の3人がおれを見る。
「だから、まもってほしい。かりうどに。」
勇気ある告白に、Cの眉間にしわができた。
「おれさ、メガネに聞いたんだけどよ…。」
ジョンが狩人らしいんだ。
非情な宣告だった。
目を丸くするおれの肩に手を置き、Cはすまねぇと目を合わせずに謝った。
そんなやり取りがあったから、人狼はおれを襲いに来るだろう。
でもこれでいいんだ。
覚悟を決め、箱を開ける。
自分の仕事が終わったところで外で何か物音がした。
なんだろう。
ゆっくりと窓を開けてみると、暗闇の中に何か大きな影が見えた。
「グルルル…。」
その鳴き声で何がいるのか瞬時にわかった。
それと同時に、そいつはおれに向かって飛びかかった!
ガウンッ!!!
重い銃声が鳴り響く。
思わず目を閉じ、次の物音を待った。
ヒュゥ、と口笛が鳴る。ビンゴって意味かな。
目を開けてみると、おれと人狼の間に誰か立ち塞がってくれていた。
「…。」
「…。」
何も言わないまま背中を見る。
一体誰だろう。
「グルル…!」
人狼はもう1度低く唸ると、狩人へ向かって飛びかかる。
狩人はギリギリまで引きつけ、人狼が大きく踏み込んだとき、引き金を引いた。
発射された弾丸は、今度は人狼の前足を捉えた。
「ギャウッ!」
変な悲鳴をあげ、人狼は慌てて逃げていった。
後ろ姿が完全に闇に消えると狩人も帰ろうとする。
「ちょっとまって!」
お礼を言わなきゃと思って呼び止める。
一瞬だけ振り返ったが、顔は見えない。
隠していた。赤い布で。
すぐに前を向き歩いて行くから、慌ててくつをはいた。
外へ出て辺りを見渡したけど、もう姿はなかった。
「だれだったのかな…。」
ため息をついて、家に戻ろうと1歩踏み出す。
ガリ。
靴底に、小石ではない感触があった。
足をどかすと、何かが部屋から漏れる明かりを受けてキラキラと光っていた。
手に取ってみると、それは見覚えのあるものだった。
「ルビー…?」
赤い石が、丸い金属の型のようなものにはまっている。
シルバーアクセサリーのようだ。
ただし、おれが踏んだせいで、下についていただろう小さな十字架が取れてしまった。
壊してしまった。たった今。
「これって…もしかして…。」
危険が過ぎさっても、おれの顔は青いままだった。




