B-1
訳もわからないまま、村人たちの輪の中心に引っ張り出された。
「怪しいのはこの7人じゃ。」
集められたのは全員若者だった。
何でそうなったんだよ!とそう叫びたかったけど、この状況じゃ言いにくいわけで…。
せめてこの中に女の子でもいれば、全力で守ったのに。
「日が暮れてきたな。」
短い黒髪で、耳にピアスをつけてる奴が呟いた。
さっきルール説明を聞いた中の1人。
吊り目だから、初めは怒ってるのかと思ったけど、これが元々の顔みたいだね。
俺達を非難する声が飛び交う中、1人の老人が進み出てきた。
「皆の者、夜は危ない。家に帰るのじゃ。」
いかにも村長という喋り方だ。
その言葉に村人達は不安そうに頷いて、喋りながらそれぞれの家に帰っていった。
「お前たちはこっちじゃ。」
村長に案内されボロい家が立ち並ぶところに案内された。
ここは空き家で、使う人がいないし、村から若干離れているので疑惑がかかった人間を閉じ込めておくんだそうだ。
ちなみに鍵はついてないから、あまり意味ないと思うけど。
中はベッドとイスと机と、その上に紙とペンがあった。
それ以外は何もない。本とかも無いから暇つぶしが無いよ。
絵でも書こうかなー何て思いながらイスを引くと、机の下に箱のがあるのが見えた。
大きさはだいたい1mくらいで、結構重い。
興味津々で蓋を開けると、中にはなんと猟銃が入ってた!
「ほ、本物…かな。」
手に取ってみるけど、よくわからなかった。
でも弾丸も入っていたから、本物っぽい。
もしかしてこれで人狼を倒すのかな!?
人狼の襲撃は夜だよね!早く行かなきゃ!
意気揚々と外に出る。
誰を守ればいいのかわからなかったから、とりあえず隣の家を守ることにした。
今気づいたけど、これって一晩中寝れないよね。徹夜できるかな。
独り言を言いながら壁にもたれ掛かった時、窓が開いて住人が顔を出した。
「だれ?」
顔を出したのは、昼間全く喋らなかった女の子みたいな顔の奴だった。
髪も長めだし背も低い。これは間違えてもしょうがないよね。
「俺俺ー。ルール説明一緒に聞いたでしょー。」
「そういえばそうだったね。」
「俺Bっていうんだー。」
「B?きいたことあるような…。」
「え?ホント!?名前は!?」
「おれはD。」
「…聞いたことあるかも。でも思い出せない…。」
お互いに考えるけど、出てこないや。
「とりあえずよろしくねー。」
「うん。」
Dはあんまり眠くないみたいで、俺の話に付き合ってくれた。
よく徹夜するらしいし、慣れてるのかな?
でもたまにウトウトする時もあって、そういう時は静かにして起こさないようにした。
そうやって時間を潰してたんだけど、いつまで経っても人狼が来ない。
瞼が重くなって、そろそろ限界かって思った時、辺りが明るくなってきた。
まさかと思って東の方を見ると太陽が山の向こうから、ゆっくりと登ってきてしまった。
「人狼…来なかった…。」
呆気にとられていると、犬のけたたましい鳴き声が聞こえてきた。
1匹じゃない。複数の犬がたぶん同じ場所で鳴いてる。
Dもそのうるささに耐えきれず目を覚ました。
「おはよD。」
「…はよー。なんか、おだやかじゃないね。」
「そうだね。…もしかして…!!」
まさかと思って全力で走った。
鳴き声を頼りに、入り組んだ道を進んで行くと、あの広場が見えてきた。
その中心で10数匹の犬達がしきりに吠えている。
「ちょっとどいてね!」
かき分け、何に吠えていたのかを確認する。
思っていた通りの『もの』が、そこにはあった。
「B、どうしたの?…うわぁ!」
「…あまり見ない方がいいよ。」
そこには、見覚えのある人物が、血塗れになって倒れていた。




