A‐1
男は淡々とルールを説明していく。
おそらくGMと言ったところか。
先ほどの衝撃でまだクラクラする頭では聞き取り辛い。
もう少し待ってほしかったなあ。
他にも3人いるが、聞き取れているのだろうか。
茶髪のイケメンと短い黒髪にピアスの強面、そして長めの黒髪に中性的な顔立ちの男。
僕はこの3人を見たことがある。いや、知っているのかもしれない。
会ったことがないはずなのに、声が、思い出せるんだ。
それは、この状況に陥る前の記憶がないのと何か関係があるのだろうか。
説明が終わった。
このゲームには人狼というのがいるらしい。
人狼は夜が来る度に村人を1人食べてしまう。
害となるものは排除しなければいけない。
僕たちには役職が与えられる。
村人の証言から、また自分に与えられた役職の能力から、人狼を見つけ処刑する。
初日も合わせて3日経つまでに処刑できれば僕たちの勝ちだ。
「カードを配ります。」
6枚のカードがGMの手のひらに現れた。
難解なシャッフルの後、それぞれの手元に1枚ずつ配られる。
恐る恐る確認する3人に倣って慌てて自分のものを捲ると、そこには『霊能者』とだけ書かれていた。
能力などは全く書かれていなかったが、ゲームの中で把握しろということか。
「それではゲームを始めます。」
景色が村に変わった。
すぐ前に柵があり、中には家や畑が並んでいる。
1か所だけ家も畑もないところがあった。
どうやらそこは広場となっているらしい。
村人が老人を中心におそらく全員集まり、難しい顔で話し合っている。
(あの中に人狼が…。)
一言も発さないまま異様の事態に巻き込まれたが、逆らう術はないらしい。
GMが言わばプログラミングをしてゲームを進めるのだろう、不利な状況に陥りたくはない。
あそこにいる村人も人形なのだろう。
信用できない。
「おい!何これどーなってんの!?」
「いきなり連れてこられてゲームだぁ…?ふざけんな。」
「……。」
今はとりあえず、GMの手中にないこの3人と連携を取ろう。




