D-3
Cの着ていたパーカーは少し温かかった。
本人は長袖だけど、薄いから寒そうだ。
でも汗を掻いてるし、頬も少し紅い。たぶんさっきから除霊するために動いてるから。
「こっちこっち!」
Bが幽霊を誘導してCがうまく写真を撮るという戦術を使って攻撃している。
でも敵が弱っている様子はない。もがいてはいるけど、本当に効いてるのかな。
「あいつ、いつになったら倒せるの?」
「わかんない…。」
Bが息を切らしながら首を傾げた。
いくらなんでも今までの敵と違いすぎる。叫ぶし、倒せないし、どうなってるんだ。
「よっしゃ、換えてみるわ。」
Cが手際良くフィルムを入れ換えた。Bと合流する前に拾ったやつ。
さっきまで使っていたのは一四式、今入れたのは六一式。
よくわかんないけど、種類があるということは違いがあるということだ。きっと。
「これでどうよっ!」
シャッターを切ると男がさっきよりも長く苦しんだ。効いてる。
Cが不気味に口角を上げるのを見て息が詰まった。敵よりも怖いから。
あいつドSだ。
「B、誘導頼んだぞ。」
「任せろ!」
まるでバトルマンガみたいだと思った。
2人はうまく連携を取りながら敵にダメージを与えていく。
かっこいい。
おれも動ける方だけど、人と息を合わせるのは無理。
たぶん男が弱り始めた。さっきよりも歩みが遅い。
止めだ、と呟きながらCがシャッターを切った。
男が絶叫しながら歪んでいく。
小さく、小さく固まって火の玉になった。
それにBが触れる。
「美雪…なぜだ…。」
しゃがれた声で聞き取り辛かったが、確かに女の名前を呟いた。
誰かはわからない。
儀式に関係があるとか?
「あ、あった。」
男が現れたところに紋章が落ちていた。
すごく冷たくて、氷みたい。
しっかり握って息を吐いた。
最初より雪が強くなった気がする。
紋章をはめ込むと大きな音とともに渡り廊下が振動した。
壁が開く。
先には洞窟があって、重たそうな鉄の扉がついている。
それを開けると風が吹き込んできた。少し熱い。
奥へ進むと鎖で吊るされた小さな檻が見えた。
近づこうとすると、
「返せ…。」
前から女が襲いかかって来た。
「Cよろしくねー。」
「がんばって。」
「またこいつかよ!!」
ここに来て上がった遭遇率におれ達の体力は削られていた。




