C-2
「何でこんなところに1つだけ落ちてんだ?」
「だれかがあそんでたんじゃない?」
この人形だけはまだ顔もあるし油も染みこんでいない。
手に取ろうと屈んだ時、カメラが反応しているのに気付いた。
壁に向けてみると、左下の方、調度Dの見ているあたりにもやがかかっている。
撮ってみると、この人形が引っかかっている。
「何だこれ。」
「ここ?」
Dが触ると、取っ手のようなものがでてきた。
それに人形を引っかけてみる。
カチャリ、と鍵の開く音がした。
「どこが開いた?」
「さあ?」
扉は入って来たところ意外ないし、鍵のついた戸棚のようなものもない。
わからん、とため息をついて壁にもたれる。
もたれたはずだった。
「うわ!」
「えっ。」
壁に触りはしたが支えてはくれなかった。
床に背中からダイブする。
「い…て…。」
「あれ。」
目を開けてみると目の前には壁。
「あれ!?」
「かべがまわった…。」
隠し扉か…しかも一方通行の。
さっきの部屋に戻ろうと壁を押してもびくともしない。
「やべえな。2人とはぐれちまった。」
「どうしよ。」
戻るも何も、まだこの屋敷を把握していないため、再会するのは無理だろう。
ため息をついてケータイを取り出そうとした時。
「誰?」
声がした。
顔を上げると、幼い女の子が襖の後ろから顔を覗かせている。
人形のような白い着物を着た髪の長い子。
恐る恐る近づいてきてオレ達を見上げる。
「誰?」
「…屋敷を見せてもらってるんだ。けど迷っちゃってさ。」
「そうなの?…ねえ、他の子を知らない?」
「他の子って?」
「一緒に遊んでたの。鬼ごっこして。いなくなっちゃった。」
子供…B、Dと合流する前に除霊した子達だろうか。それ以外に屋敷では子供は見かけていない。
「さっき玄関の方で見かけたよ。」
「玄関?ありがと。お礼にお屋敷の案内してあげる。」
「じゃあ、書庫までお願いできるかな?」
「うん。いいよ。」
えらく友好的だが、この子も幽霊だ。半透明だし。
屋敷に住んでいるのか、足取りに迷いがない。
入り組んだ廊下と部屋を通り抜けて少し大きな扉の前で止まった。
「ここだよ。ここに地図もあるから。」
「ありがとう。」
どういたしまして、とてもかわいい笑みを見せどこかへ走って言った。
扉を開けると、四角い部屋一面に本棚が並んでいるじゃねえか。
しかもその全てにびっしりと書が詰まっている。
アニメで見たことあるぞ、こんな景色。
「…ここにあるのかな。」
「しかもどこに何があるか書いてねえ。」
苦労どころの話じゃねえ。何時間かかることやら…。
本日何回目かわからないため息をついた時、扉が開く音がした。
さっきの女の子だろうかと振り返ると、女が立っていた。
この人も白い服を着ている。
「…。」
嫌な予感がしてカメラを見てみると、案の定反応していた。
こいつは襲って来る。
確信した瞬間オレ達に向かってきた。
「下がってろよ。」
「よろしく。」
少し震えているDを庇い、カメラを持ち直して構えた。




