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A-2

この屋敷は結構広い。上は3階、下は地下2階まであり、さらに奥に続く渡り廊下がある。この先はなぜか行き止まりで、何のために造られたのかは謎だ。

それほど広いとなると当然部屋数も多いわけだ。


「どこだろー。」

「見つからないねー。」

「せめて屋敷の地図でもあればな。」

「それもたぶんしょこにあるよ。」


さっきからいくつもの部屋を調べているが、それらしきものは見当たらない。

屋敷内もとても入り組んでいてマッピングするのが大変だ。

これはDを1人で歩かせるわけにはいかないな。


「次はここね。」


入ったのは日本人形が並べられた部屋だった。

15個ほどが台に1列に並べられこちらを見ている。その全ての顔は黒く塗りつぶされていて不気味だ。服は白い和紙でできているが、これには油がしみ込んでいるようだ。

これは何の意味があるのだろうか。


「気持ち悪い…。」

「まあま、あんまり見ないようにすればいいから。」


Bがなぜそんなテンションを保っていられるのかわからない。

Cも人形をガン無視して他の台を調べている。

何とメンタルの強い奴らか。

Dを見ろ、僕より挙動不審だし、さっきからCにくっついたままだ。

あれが普通の反応なんじゃないか?


「みんなー、こんなのあったよー。」


Bの下に全員集まる。

持っていたのは書だ。表紙には「器に関する書」と、なんともわかりやすい題名が書いてある。

中身は何とか読めるが、古語で書いてあるため文の意味はわからない。

僕は典型的理系なんだ。


「えーと、つまりはー…この人形の体にその年に亡くなった人の名前を書いて油を染み込ませた和紙の服を着せる。次に顔を黒く塗りつぶす。これで完成。これを儀式で燃やすことであの世に送り、亡くなった人の怨念を収める器となる。ってことだね。」

「え、Bすげー。」

「でしょでしょー!古典は得意だったからさっ!」


こんな役に立つ奴だったのか。

もっと早くに気付けばよかった。


「なるほどな。…あそこに落ちてるのもそうか。」

「あ、ほんとだ。」


CとDが壁際に落ちている人形を拾おうと近づく。

Bは反対に扉を開けて、少し広めの廊下で周りを見渡す。


「どうしたの?」

「いや、何か、誰かいたような気がして。」


でも何もなかった、と扉を閉めて力を抜くあたり、何か霊的なものを予想していたのだろう。

いなくてよかった。

安心して後ろを振り返ると、いるはずの2人がいなかった。


「「…あれ!?」」


慌てて探すがもちろん部屋の中にも周りの廊下にもいない。

まずこの部屋には扉が1つしかないため、僕たちに見られず部屋を出ることは不可能だ。

訳もわからずぽかんとしているところに次の展開が。


「「…。」」


背中に寒気を感じ、思わずBと目を合わせた。

振り返ってみる。

同時に視界がモノクロになった。


「誰、あの子。」


後ろに人形と同じ白い着物を着た女の子が立っていた。その子の背中には、人の顔や手が鉄のようにドロドロに溶けて一体化しているものが。

あれはなんだ。


「逃げよう!」


扉を開けようとするが、びくともしない。

その間に女の子はどんどん近づいてくる。

ついには目の前まで迫ってきた。

Bの顔に白い手が触れる。


「戻ってきて…くれた…。」


辺りが霧に包まれる。

思わず目をつぶると、何かの映像が断片的に頭に流れてきた。

さっきの女の子と、あれは…B?

驚いて目を開くと女の子もBもいない。


「…僕…1人…?」


人形の目はまるで笑っているように見えた。

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