C-1
「うわあああああああ!!」
叫び声で我に返った。
瞬時に深呼吸して様子を伺う。襲っては来ないようだ。
口を金魚のようにしているAを落ち着かせて、目を合わせる。
生気がないが、こいつは所謂、あれ…だろう。
「この村は呪われている。」
「あ?」
「解かなければ…犠牲者が…。」
それだけ言い残して煙のように消えてしまった。
この世界において、呪いが重要なことなのだろうか。
外に出るとケータイが震えた。2人からだ。
オレ達が目指す屋敷に入ったらしい。
早く合流して今男が言ったことを伝えた方が良さそうだな。
「急ごう。」
「おう。」
「何か嫌な予感がする。」
Aも冷静になったらしい。辺りを見渡して眉間にしわを寄せた。
こいつの勘はよく当たる。嫌な予感の時は大抵Bがらみだ。
指示通り、3本の赤い鳥居まで来た。
手前の鳥居の下に、今度は白っぽい女が立っていた。さっきの男とは雰囲気が違う。
警戒しているこちらに気付き、フラフラと近づいて来て、
「返せ…!」
いきなり襲い掛かってきた。
「うわあ!」
Aは何とか避けた。
試しに小石を投げてみるが、当たっていないようだ。
「返して…!」
「っ…この!」
急に目の前に現れ手首を掴まれた。振り払ったがその部分から悪寒が走る。
今度は背後から首を掴まれた。
「離せっ!!」
「C!!村に入ろう!!」
Aの言う通り鳥居を潜るが、女はまだ追いかけてくる。
返せとうわ言のように呟きながら憎悪の目でこちらを見る様に背筋が凍りそうだ。
どうしようかと手に力を入れたとき、持っていたカメラのフィラメントが光っているのに気づいた。
何事かとファインダーを覗くと、どうやら女に反応しているようだ。
「まさか…!」
狙いを女に定め、シャッターを切った。