C-4
ここはどうなっているのか。理解できる範囲にないことは確かだ。
世界は狭いと言うが全くその通りだ。
さあ今から死ぬぞという時に何を考えようか。
「あ…なあれぼし…。」
どこに現れたのだろうか、オレには見えなかった。えらく眠そうな声だったが何か願い事でもしたか。
していないならもったいないとでも嘲笑ってやろう。
「A寝たな。」
「Bはおきてるかな。」
試しに話しかけてみるとDが反応してくれた。
Bはおそらく寝たのだろう。かすかに寝息が聞こえる。
静寂に耳を傾けていると遠くから鈍い音が聞こえた。
何かのアニメで同じような音を聞いたような…。
「地面もくずれ始めたか。」
ここもそのうち落ちてしまうだろう。
死体はどうなるのか。ちゃんと見つけてもらえるといいのだが、確率は0に等しい。
生まれ変わったら、またこいつらとつるむ気がする。
なんとなくだが、そう思った。
一緒にいて心の底から楽しいと初めて感じた。こいつらとまた出会えるなら今理不尽に殺されたって構わない。
あー眠くなってきたわ。他の2人もこういう感じだったのか。
普段こんなことないのにな。これもあの女の子が関係しているんだろうな。
あの子いったい何者だ。オレ達以外の人間…人間?ほんとに?
「竹田城行きたかった…。」
目を閉じながら後悔してももう遅い。このまま意識が途切れるのをゆっくり待とう。
今度はボッチにならないように、世渡りのうまい人間になると心に誓って、おかしくって少し笑った。
目の前にはプラネタリウムのような、まるで最初からそこにあったような景色が映っている。
ああ、こういうのも撮ってみたかったな。カメラはないし力も入らないから、オレの記憶にでも焼き付けておこう。
「たのしかったよ。」
薄れ行く意識の中、Dの独り言が聞こえたような気がした。