A‐4
空が崩れるという表現は正しいのだろうか。
しかし見たままを表すとそうなってしまう。
どういう仕掛けでこの状況に陥ったかわからないが、あの女の子が関係しているのは間違いないだろう。
「雪みたいだな…。」
「言ってる場合かよ。」
「でもできることもないしね。」
のん気な3人を見ていると危機感がなくなってくる。
世界が崩壊しているなら、僕たちの命も危ないんじゃないか?
そもそもこの世界に死という概念が存在するのかが謎だが…。
1人で色々考えていると、Dがその場に寝転んだ。
服や体が濡れるのも気にせず、空を見上げる。
「なんかきれいだよ。」
少しおもしろそうなので真似してみる。幸い頭は砂の上だったので耳に水は入らなかった。
「あ、ほんとだ。」
いつの間にか暗くなった空が落ちてくる。
濃紺のブロックが迫ってくる光景は、おそらくあの世界では見ることはないだろう。
月さえもボロボロとその光を零している。
「オレも。」
「俺もー!」
全員寝転がると、崩壊がいよいよ早まった。
まるで全員の意思を再確認したようだ。
少しの間だったが、この世界での生活はなかなかおもしろかった。
こんな不思議なことが自分の身に起きたのは初めてだ。馴染むことは難しかったが、3人のおかげで難なく生活することができた。
だんだんまぶたが重たくなってきたが、僕は今から死ぬのだろうか?
あまり気が進まない。
やり残したゲームがかなりあるし、みんなとももうちょっと話していたかった。
「しょうがないか…。」
小さく呟くと、Cの笑う声が聞こえた。
まだ眠くないのか、と思いながら目を閉じる。
閉じたはずなのに銀河が見えている。とてもきれいだ。いつもこんな光景が見えるのならいい夢が見れそうだ。
「あ…なあれぼし…。」
ふにゃふにゃとしたBの言葉を最後に、僕の意識は途絶えた。