C-3
探索は順調だった。Dの作った防具のおかげで敵に遭遇してもそれほどダメージを食らわなかった。
入り口付近と、掘り進んだ途中にチェストを作って、採った鉱石を入れていったので、かなりの量が持ち帰れたはずだ。
運ぶのにはだいぶ時間がかかって昼すぎになっている。腹も減ってきたし、何か食べたいところだが、まだBが帰って来ていない。食事は全員で取った方がいいだろう。
「どこ行ったのかな。」
「豚以外探してこいっつったからな。時間かかりそうだ。」
「ほんにんもむちゅうになるとまわりがみえなくなるたいぷだしね。」
というわけでBが戻るまで自由時間となった。Dは家を機能的に改装するらしい。寝室には手を加えないそうなので、オレとAはそこに追いやられた。
すごい速さで変わっていく他の部屋を眺めながら、ケータイのとあるアプリを起動させた。昨日Aに教えてもらったパズルゲームだ。正直はまった。こいつはいいの知ってるな。
それから2時間程経ってやっとBが帰ってきた。
おかえり、と声をかけると、ああ、と言った。生返事とは珍しい。
2階に上がって見違えた家を見ると、いつものテンションに戻った。しかし何か考えているのは間違いない。
「何かあったか。」
「うん、まあ。でも今はDが作業に熱中してるから、もうちょっと後で話すよ。食事の後にでも。」
オレはそれ以上何も言わなかった。1番ふざけてる奴がこれほど真剣な顔をしているんだ。真面目な話なんだろう。こいつはこういう時には、頭をフル回転させるタイプなんだと思った。
作業したがるDを説得して食事にする。おそらく3時くらいだろう。やっぱり全て焼き豚だが、遅めの昼食を胃は待ってましたと言わんばかりに飲み込んだ。
少し軽めにした。これから何か重大なことがある、という時にはいつもそうする。なんとなくだ。
マイペースなAとDが食べ終わるのを待って、ついにBが切り出した。
「あのさ、今日女の子に会ったんだよね。」
「「いたのか!」」
「うん、青い目の子。」
「日本人じゃなさそうだな。」
「その子に、言われた。話さなきゃって。」
「何を。」
「この世界に招かれた理由。」
その言葉に全員が黙った。
1番気になっていた謎だ。なぜ招かれた、なんて招いた奴しかわからないだろうに。
とてつもなく難しいクイズだな。
「もしかして、だけど、」
Bが少し優しく笑いながらオレたちを見る。
「俺らには、共通点があるのかもしれない。」
日が傾きかけている空が赤く見えた。