第十五話 自分ってなんなんだろう
私は前を向いてコートへ入る。
緊張していたのが伝わったのか、先輩達が笑顔でハイタッチしてくれた。
それだけで少し気持ちが落ち着いた。
とにかく迷惑だけはかけたくない。
そう思いながら、自分の出来ることを精一杯やった。
ボールを必死で追いかける。
私は少しの出番でベンチへ下がった。
少しはアピール出来ただろうか。
先生はどう思ったかな。
そんな事ばかり考えていた。
その後も何度か試合へ出させてもらった。
だけど課題ばかりが残った。
当たり前だ。
ここで満足なんかしていられない。
もっと上手くなりたい。
私はその後も、少しずつ試合へ出させてもらえるようになっていった。
出番が増えていくのは、素直に嬉しかった。
だけど試合ごとに、私のポジションは変わっていった。
最初はライト。
次の試合ではレフト。
また次の試合ではツーセッター。
色々なポジションを任せてもらった。
最初は嬉しかった。
どこでも任せてもらえているんだと思っていた。
だけど、試合ごとにポジションが変わるのは想像以上に大変だった。
試合が終わるたびに、次はもっとこうしようと思う。
だけど次の試合では、また違うポジションになる。
少し練習したと思えば、すぐ試合だった。
中々思うようにはいかなかった。
他のみんなはポジションが固定され、どんどん上達していく。
私はまた一からやり直しているような気持ちになった。
ひとりだけ取り残されている気がした。
私は思った。
どこでも任せてもらえていると思っていたけど、もしかしたら私は「ここが武器です」と言えるものがないのかもしれない。
急に苦しくなった。
自分ってなんなんだろう。
試合が終わるたびに、うまくいかない自分が嫌だった。
本当は、ポジションが変わるのも嫌だった。
だけど、そんな事誰にも相談できなかった。
贅沢な悩みだと思われたくなかった。
試合の時、中学時代の仲間に会った。
「もう試合で活躍しててすごいね!」
そう声を掛けてくれた。
だけど私は内心、何もすごくなんかないと思っていた。
どこもうまくいかない。
こんなに苦しいのに。
弱音を吐きたかった。
泣きたかった。
だけど、そんな姿は見せられなかった。
「ありがとう」
そう伝えるだけで精一杯だった。
私は気づいていたのかもしれない。
自分はただ左利きというだけで、特別光るものなんてないのかもしれない、と。
私は、自分がわからなくなっていた。
ずっと苦しんだ一年だった。
ここまで読んでくださりありがとうございます。
高校一年生の頃は、本当にずっと悩んでいました。
色々なポジションを経験させてもらえたことは今思えば貴重な経験でしたが、当時の私は「自分には何が出来るんだろう」とずっと迷っていた気がします。
周りから見れば試合へ出してもらえて順調に見えていたかもしれません。
だけど、自分の中では全然うまくいっていませんでした。
この頃は、バレーが好きだからこそ苦しくなる事も沢山あったなと思います。




