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罪人への罰、責任と白い結界  作者: 徒然草


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前編

 魔法要素ありのホラー作品です。前編、後編の2話の予定です。後編は大人向けの発言や暴言が入る予定なので人によってはご注意をお願いします。


「サリーチェ!」


 アリアの夫、デイビット・ダグラス辺境伯爵はアリアより1つ年上の20歳という若さで伯爵となった。

 デイビットは彼の友人であるサリーチェ・フーパー子爵令嬢と抱き合った。

 アリアは無表情で2人のやり取りを眺めている。


 アリアは子爵令嬢だったがデイビットがアリアとの結婚を望み、政略結婚として結ばれた。デイビット側はアリアに一目惚れをしたという理由らしい。そしてアリアの実家、フェルナ子爵家としては辺境伯爵との結びつきを得られる事に喜びアリアを差し出した。


 アリアの両親は家の利益を優先する貴族らしい考えの持ち主であり、アリアの思いは二の次にする人達だ。だがアリアはデイビットとの結婚が嫌だった訳では無いので不満に思う事はなかった。最初の頃は、だが…。


「あ、アリア様、御機嫌よう!」


「…御機嫌よう、フーパー令嬢。」


 サリーチェはデイビットと暫く話した後、アリアに挨拶をした。アリアも挨拶を返す。


 サリーチェはデイビットと同い年で、学生時代に友人関係となったらしい。


「デイビットお願いっ! 私、マークに嫉妬して貰いたいから協力してっ!!」


 アリアとデイビットが結婚して数日後、辺境伯地を訪れたサリーチェは頭を下げて頼んできたのだ。

 サリーチェはマーク・トリュード子爵令息と政略結婚の為に結ばれた婚約者同士だ。だがサリーチェは元々、マークの事を意識していたようでこの婚約はとても嬉しかったそうだ。しかし、マークはサリーチェに素っ気ないらしく、サリーチェはその事が不満らしい。


 そこで、サリーチェはマークに嫉妬させて意識して貰おうと考えたそうだ。そしてその協力相手として一番仲の良いデイビットに、サリーチェに気があるような振りをするようにお願いしようと思ったとの事だ。


 何を馬鹿な事を言っているのだ。振り向かせたいなら他にも方法はあるだろう。フーパー子爵家に悪影響を及ぼすとは思わないかと、アリアは呆れてしまった。

 こんな提案を、ましてや妻のいるデイビットが引き受ける筈がないとアリアは思っていた。しかし、


「分かった、友人のよしみで引き受けようじゃないか!」


 デイビットはあっさりと引き受けてしまった。

 アリアが呆然とする中、サリーチェは嬉しそうにデイビットにお礼を言った。


「有難うデイビット!!」


「気にしないでくれ。」

 

 アリアはサリーチェと、デイビットの頭はどうなっているのかと混乱した。アリアという妻がいるのに、勝手に物事を決めてしまうだなんてと、ショックも受けていた。


「あ、アリア様も有難うございます!」


 元気よくお礼を言うサリーチェに、同意なんかしていないと内心思いつつも事を荒立てたくなかったアリアは曖昧に微笑んだ。


 それからというもの、サリーチェは頻繁にデイビットに会いに来てデイビットは笑顔で出迎える。そんな日々が続いた。


「何時もすまないな、アリア。」


 デイビットは申し訳無さそうにアリアに言うが、顔は少し笑っていて心から謝罪しているとは思えない。

 もしかして、デイビットは本当はサリーチェの事が好きなのではないかと、アリアは思い始めた。



◆◇◆


「辺境伯様とフーパー子爵令嬢、やっぱり2人は両想いなのだろうか。」


「そうね、お二人はお似合いよね。」


 サリーチェのお願いを聞いたデイビットは、演技の事がバレないように使用人達には内緒にする事を決めた。そしてアリアにも話さないように頼んできた。

 すると、使用人達の間でデイビットとサリーチェは両想いだと思い始める者達が居た。否定する者が居ないのだから当然とも言える。


「アリア夫人より、フーパー子爵令嬢と居た方が侯爵様幸せそうよね?」


 思うだけなら自由だが、態々アリアに聞こえるように声を大きくして話す者が現れ始めた。


「あら、奥様申し訳ございません。」


 さらにアリアの紅茶をわざと冷めた状態で提供してくる。アリアの部屋を掃除しない。そしてアリアの命令を聞かない等、アリアに反抗的な態度を取る者達が増えてきてしまった。


 そんな使用人達の態度にアリアは当然怒り、デイビットにも相談した。しかし、


「アリア、すまないがもう少しだけサリーチェに協力してあげてくれ。事が済んだらその使用人達には事情を説明して謝罪させるから。」


「…その間、私に我慢しろと言うのですか!?」


 デイビットの言葉が信じられなくてアリアは声を荒げた。デイビットは気不味そうな顔をした後用事があると言って部屋を出て行ってしまった。

 結局、使用人はデイビットに注意をされただけで何の処罰もなかった。


「アリア奥様、貴方はデイビット伯爵様の隣に相応しくありませんっ!」


 その翌日、デイビットが遠征で屋敷を出ていて不在のタイミングで長年ダグラス伯爵家に仕えている侍女長が、正面からアリアに堂々と言い放ってきた。侍女長の背後には数人の使用人が控えており、共にアリアを睨みつけている。


「…随分と無礼な事を言うのですね。私に、どうしろと。」


「今すぐ伯爵様と離縁をして下さいませ!」


 アリアは怒りの中に疲れ切ったような、諦めを含めたような溜息を吐いた後、侍女長を睨み返した。


「…私達は政略結婚で結ばれました。私個人の意思ではどうにもなりません。」


「私達はデイビット伯爵様の幸せが一番なのです。伯爵様とフーパー子爵令嬢との仲を、貴女様が引き裂いているのですよ?!」


 アリアの言葉を聞いていない、いや理解していないのか、ただデイビットと離婚しろと自分達の要求を訴えてくる。


「いい加減にして頂戴。貴方達が私を気に入らなくても、私は辺境伯夫人です。これ以上の無礼は見過ごせません。」


 アリアは貴族令嬢として、辺境伯夫人としての態度を見せる。しかし、そんなアリアに使用人達は苛立ちを募らせた。


「五月蝿い、この邪魔者がぁ!!」


「〜っ、あっ!」


 使用人の男がアリアに掴みかかってきた。まさかそんな事をされるとは思わず、アリアは驚きながらも反射的に後退ろうとした。

 背中を反らせた不安定な体勢のアリアに追い打ちをかけるように男の手が当たり、アリアは壁に頭を打ち付けてしまった。


「なっ、お、おい不味いぞ!?」


 流石にこうなる事を予期していなかったのか、使用人達の慌てる声がアリアの耳に届く。


 どうして、私がこんな目に遭うの…?


 誰もアリアに駆け寄らず、顔を見合わせて慌てふためく使用人達の様子に、アリアの中で憎悪が膨れ上がっていく。


 ユルサナイ…。


 アリアの視界は黒く染まっていき、そのまま意識を失ってしまった…。




◇◆◇




「っ、あぁ、アリアッ!! 本当に良かった…。」


 アリアの視界に涙ぐみながら嬉しそうに、安心したように微笑むデイビットの顔があった。アリアはベッドに寝かされていて、頭部はガーゼとネットで覆われていた。


「アリア…本当に済まなかった! まさか、こんな事になるだなんて…。」


 デイビットの表情が後悔しているかのように歪む。

 デイビットが遠征から帰ってきた時には、アリアはベッドで寝かされていたらしい。アリアを突き飛ばしてしまった事と、今までアリアにしてきた嫌がらせの全てを使用人達は包み隠さずデイビットに話したらしい。


「俺とサリーチェの為にやったんだと、馬鹿げた事を抜かしたよ。」


 そう言って、アリアに危害を加えた使用人達に怒りを滲ませるデイビットをアリアは何も言わずに眺める。

 使用人達はきっと、自分達のした事を間違っているなんて欠片も思わなかったのだろう。常識的に考えれば正直に話せる内容などでは無かったというのに…。


「アリア様…本当に、本当にごめんなさいっ!!」


 アリアは気が付かなかったが、最初から部屋にいたらしいサリーチェが、涙を流しながら必死で頭を下げてきた。


「安心してくれアリア、奴らは全員解雇する。君に危害を加えた事は社交界でも公表させるから二度と貴族の使用人として働く事は出来ない。当然の報いだ!」


「…だけ。」


 アリアの小さな声に、デイビットとサリーチェは全てを聞き取ることが出来なかった。


「ん?、何だいアリア。」


 デイビットがもう一度言うようにアリアに聞くと、アリアは無表情でデイビットを見た。


「それだけ?」


 デイビットは驚いて固まる。


「それだけ、ですか?」


「あ…えっ…と…。」


 アリアが反応のないデイビットに確認するように強くまた言うと、デイビットはビクッと身体を震わせて、ぎこちなく口を開いた。


「あ、そ、そうだ。奴らには体罰も与えよう! その後追い出す。ど、どうだ?」


「赦せません。」


 すぐに帰ってきたアリアの返答に、デイビットとサリーチェは冷や汗をかいた。


「その程度で、許せる訳がないでしょうっ!!?」


 バシッ!!


「っうわぁ!?」


「デ、デイビットッ!!?」


 アリアが怒声を上げると、衝撃音と共にデイビットが何かに押されて弾き飛ばされてしまった。

 デイビットが尻もちをつき、サリーチェが慌ててデイビットに駆け寄る。何が起きたのか理解できないまま2人はアリアの方を見ると、アリアとベッドを囲うように透明感のあるうっすらとした白いオーラのようなものが存在していた。


「は…はぁっ!?」


「な、何よ、これ…っ!?」


 デイビットとサリーチェが唖然とする中、白いオーラの中心にいるアリアはオーラと、自分の掌を交互に見る。そして、何かを考え込むように沈黙した。


「あ、アリア…これは、君がやったのか…?」


「……ふ、ふふふっ、あははっ!」


 アリアは何かを理解したかのように、嬉しそうに声を上げて笑った。

 デイビットとサリーチェはアリアの笑い声に、嫌な予感を覚えてゾッとする。


「あぁ、神様は本当に存在するのね…。」


 アリアは心の底から感謝するように、誰もいない宙を眺めながらそう呟くと、ベッドから降りて立った。


「…デイビット様。使用人達…いいえ、罪人達への罰は私が決めます。」

 

「…え?」


「被害者は私なのですから、私に決めさせて下さい。」


 よく分からない白いオーラを放つアリアにデイビットは逆らう事は出来ない。

 そして何より、アリアは心の底から今回の件を憎んでいて、使用人達を解雇するだけは気がすまないのだという事だけは理解出来た。被害者であるアリアの気持ちを優先させるべきだとも思った。


「あ、あぁ…分かった。」


「安心して下さい。命を奪おうとまでは考えておりませんので。」


 アリアは真顔でそう言うと、白いオーラの範囲は狭まりアリアだけを囲うサイズになった。


「こ、この力は何なんですか?」


「デイビット様、屋敷の者達を全員集めて下さい。」


 怯えた様子で質問するサリーチェを無視し、アリアはデイビットに言う。


「罰について、罪のある者もない者にも、全員に聞いて頂きたいのです。」


「…わ、分かった。」


 デイビットは立ち上がると全員を呼ぶ為に行動し始めた。


「あ、あの、アリア様…。」


「フーパー子爵令嬢、貴女も来てください。」


 恐る恐る声をかけてくるサリーチェに、アリアは冷たく言い放つ。サリーチェは怯えながらも、白いオーラを纏うアリアについて行くしかなかった…。



 ツッコミどころ満載な内容だと思います 笑

 ここまで読んで頂き有難うございました! もし宜しければ評価して頂けると嬉しいです!

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