息子から母への誕生日プレゼント
帰宅した息子との会話です
「あぁ!クソッ!つまんねえな!」
帰宅した息子の一言から始まる。
なんだ、なんだ?ちょっと荒れぎみじゃない?
「お帰り~。どうした~?何かあった~?」
夜ご飯の準備をしながら、探ることにした。
「ただいま。合唱祭の練習してきたけど、つまんなかった!」
重たいカバンをドカッと置いてソファーに座ると、スマホ片手にお菓子をつまむ。
そういえば、もうすぐ高校の合唱祭がある。
「あぁ、合唱祭か。今年は仕事休めないから見に行けないなぁ。残念~」
小学校の合唱祭は、毎年見に行っていたな。指揮者選抜に負けて悔しがったりしてたっけ。中学校はコロナ禍から公開してなかったから、保護者会で映像を見るだけで寂しかった。高校は保護者も楽しめるようにか、近隣のホールを借りて公開する。
「隣のクラスはMrs.なんだよ!俺もMrs.歌いたかった!」
イベントには自由な校風なのか、昨年は懐かしのアニメを振り付で歌い盛り上がったクラスが最優秀だった。
息子のクラスも、振り付のセーラー○ーンが候補に上がったらしいが、普通の合唱曲に負けたと残念そうに話していたっけ。
「まぁまぁ。Mrs.はキー高そうだし、あなたは地声が低めだから、メインパートは歌えないんじゃないかな?それとも、男性ボーカルだから、メインは男性パートなのかな?」
「…練習すれば、なんとかなると思う!」
地声が低めだからか高音域にあこがれがあるみたいで、中学の時も、メインパートのソプラノを歌いたくて練習してたけど、不合格になってアルトパート歌ってたな。女子に混じって。
「また、お風呂でヨーデル歌う?」
「ヨーデルはやらない。」
「五○ひろしもヨーデル歌うらしいし、良いんじゃない?」
「五○ひろしが歌ってても、ヨーデルはやらない。」
重ねて否定されました。そうか、もうお風呂でヨーデルは歌わないのか。
最近は布○明からKing ○nuまで幅広く歌ってるしな。高音域を何度も歌い直して。高音域諦めてないんだね。
「普通の合唱曲も良い曲たくさんあるし、クラスでイベント楽しんで!打ち上げもするんでしょ?」
コンクールじゃなくてイベントだから、楽しめたら良いんじゃないかな?と思いながら声かけてみた。
「打ち上げは楽しみだし、企画盛り上がってるよ。はぁ、アイツらががんばって練習すれば、良い曲になると思うんだけどな。」
合唱祭に消極的な人には苦行かもね。普通の合唱曲じゃなくてアニソンとかなら、ノリで楽しめると思ってたみたいだし。
「来年は選曲で第九とかどうですか?」
「なんで第九?長いよ。」
「12月だし。ドイツ語で合唱部分だけならなんとかならないかなぁ?」
「ドイツ語なら、第九より魔王が良いよ。」
シューベルトの魔王!懐かしいな。お風呂で歌い始めるきっかけになった曲だ。中1の音楽のテストで、ドイツ語の魔王を歌うからって練習してたんだ。お風呂から大きな声が聞こえてきて、何事かと慌てたら『お父さん、お父さん、魔王がほら~』のメロディーが聞こえてきて、歌ってるだけかとホッとしたんだよね。
「でも、3年は自由参加だし、無いな。」
懐かしんでいたところに冷静な一言が。
「え!?そうなの?文化祭みたいに有志でとかは?なんなら、魔王独唱とか…」
ちょっと食い下がってみました。だって、ホールで魔王聞いてみたかったんだもん。
「3年だよ?共テの何日前だと思ってんだよ。」
「息抜きに、とか…」
「推薦組で決まってなかったら、ただの迷惑だからやりません。」
そうでした。来年は受験生ですね。受験直前に練習と発表で何日も費やすのは、大学受験ナメテルヨネ…スミマセン。
「だいたい、合唱祭で魔王歌って誰が得すんだよ。」
「え~と…ママ?」
はぁ、と大きなため息にだいぶ呆れが混じっていました。
来年は合唱祭出ないのか。今年、休暇譲らなければ良かったな。
わかってはいるけど、残念に思っていたら、お風呂にお湯張りに行きがてら息子から。
「俺の独唱で我慢して下さい。この間用意しそびれた誕生日プレゼントです。」
え!?久しぶりにお風呂で歌うの?魔王?やだ、ちょっと楽しみ。
ドア越しの魔王を聞きながら、もう一品何を作ろうかな~
拙い文章を読んでくれた人がいる。
ちょっと嬉しく、恥ずかしい…




