5、幸運のお守り
私が立ち上がると、優汰くんが何かを渡してきた。
「これ、お守りです。南米の方のものですけど。」
「ありがとう。かわいい動物が描かれているね。」
「ジャガーです。夜の象徴とされているんです。」
「そうなんだ。優汰くんは物知りだね。ありがとう。これ持って行ってくるね。」
「気をつけてください。」
バスのドアを開けると、雨が一層強くなった。風も吹き始め、洋館に向かうことを拒むように向かい風が吹く。
何とか洋館の入り口のところまで着いた。さっきまで明かりがついていた部屋は電気が消えていて、カーテンが閉められていた。インターホンは無いので、とりあえずノックをしてみる。
コン、コン、コン
何も反応がない。
コン、コン、コン
「誰かいませんか?園長先生、中にいるんですか?」
大声で呼んでみたが、雨の音しか聞こえなかった。恐る恐るドアノブへと手を伸ばす。金色の冷たいドアノブを捻ると、ギイッと音を立てて扉が開いていった。
中は薄暗くて何も見えない。スマホの明かりで足元を照らしていく。
「お邪魔します。どなたかいらっしゃいますか?」
ギィ、ギィと音のなる床を慎重に歩いていく。すると、コツンという音がして足元にある何かが靴に当たった。明かりを照らすと銀色に光るものが落ちている。
しゃがんで見てみると、それはボタンだった。その瞬間、頭に強い衝撃が走り、私はその場に倒れた。
神水流明日香 25歳 保育士




