4、ラビュリントスは永久に迷宮で
「あれ?おかしいな。」
「どうしました?」
「いや、ナビでは合ってるはずなんだけど一向に森から出られないんだ。」
「でも、来るときは迷ったりしませんでしたよね。道も一本しかなかったですし。」
「そうだよな。迷うはずはないんだけど…。」
バスに乗ってから25分が経ったが、全く景色が変わっていない。園児たちは遊び疲れてほとんどが眠っていた。
「あっ、あそこに建物がありますよ。誰かいるかもしれないので行ってみますか?」
「本当だ。来る時はなかったと思うけど行ってみるか。」
左側の細い道を行った先に黒い洋館が建っていた。1階には明かりが付いている部屋がある。きっと誰かはいるだろう。
「じゃあ、ちょっと行ってくるからここで待っていてくれ。」
「分かりました。気をつけてくださいね。」
「あぁ。」
園長先生はバスを降りて洋館へと向かって行った。雨は徐々に強くなっている。
「先生、この先何が起きるんですか?」
歩いていく園長先生を窓から見ていると、優汰くんが隣に座っていた。
「心配しなくても大丈夫だよ。帰るまでそんなに時間はかからないはずだから。疲れたなら寝ててもいいんだよ。」
「あ、園長先生が誰かに引っ張られて洋館に入っていきました。」
「えっ。」
急いで振り向くと、ちょうど洋館の扉が閉まったところだった。
「早く行ったほうがいいです。何かあってからでは遅いので。」
「でもなぁ。園長先生も心配だけど、みんなを置いていくのも心配だな。」
「大丈夫です。僕が見ておきます。それにみんなは眠っているから、大きい音さえ立てなければ起きないと思います。」
優汰くんは後ろを見ながら、静かに言った。
「本当に大丈夫?すぐ戻ってくるから絶対にバスから出ちゃだめだよ。暗くなってきてるし、雨もたくさん降ってきてて危ないからね。」
「大丈夫です。」




