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3、開いてはいけない扉


 少し歩いてお花畑に着くと、優汰くんが1人で立っていた。綺麗に咲いていたであろう花たちは、無惨にも全て踏み潰されている。注意しなければいけないが、まずはバスまで行くことを優先するべきだろう。



「優汰くん。もう帰る時間になったからみんなのところに行こうか。」


 私はなるべく明るく話しかけた。優汰くんは踏み潰された花から目を離し、私の方に振り向いた。


「先生は死についてどう思いますか?」


「急にどうしたの?まぁ、そうだな。私は悲しいことだと思うよ。昔飼ってた猫が亡くなったときもすごく悲しくて辛かったから。」


「それじゃあ、人を殺すことは悪だと思いますか?」


 優汰くんはそう言いながら、私の方へと一歩踏み出した。


「また難しい質問だね。私は良くないことだと思うよ。この前授業で命は大切にしようって話をしたでしょ。人も動物も植物も、生きているものは大切にしないといけないんだ。」


 優汰くんは私の目をまっすぐ見ている。


「本当にそう思っていますか?人を殺すことは本当に悪ですか?」


 私は彼の真っ黒な目を見て、何も言えなくなった。彼の目からは何の感情も感じられない。


「先生と僕は似ている気がするんです。考え方も感じ方も。僕を見ていてそう思いませんか?」


 優汰くんはまた一歩近づいてきた。


「正直に答えてください。ここには僕と先生しかいません。」


「私は正直に答えているよ。間違ったことは言ってない。」


 優汰くんは私の目の前まで来た。


「そうですか。先生なら僕の計画に協力してくれると思ったんですけど…。まぁ、いいです。先生には後で良いものを見せてあげますよ。楽しみにしていてください。」


 そう言って優汰くんは私の横を通り過ぎていった。私は急いで後を追いかける。


「良いものって何?先生気になるな。」


「そのうち分かりますよ。」





 しばらく歩くと、園児たちが待っているバスまでたどり着いた。


「遅かったな。曇ってきたからそろそろ雨が降りそうだ。」


 園長先生が空を見ながら、そう言った。


「すみません。少し遠かったので時間がかかってしまいました。」


 優汰くんと私はバスに乗り込んだ。



「よし、みんな揃ったから帰ろうか。」


「園長先生、なんか音楽かけてー。」


「いいぞ。何がいい?」



「明日香先生。お菓子食べてもいい?」


「いいよ。落とさないように気をつけて食べてね。」



 園児たちは疲れているはずなのに、バスの中ではしゃいでいた。優汰くんは降り始めた雨を見ている。ここまでは大丈夫だった…。そう、ここまでは。




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