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呪いと諦めの夏  作者: 滝永十子
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君の名は「6」

だれだ。そう私は声に出した。袋を被されたままなので、耳だけ澄ます。

面白いからこのままにしときたいけど、かわいそうだよなぁ、じっとしてな

そういうと音もなく近づいてきて私の背後から縄をほどき出した。手際が悪すぎてびっくりすると自分で思うほど、なんともできてなかった。

え、なにこれむずかしいね

そんなふうに言いながらも、だんだん仕組みを理解したようで、おぉーといちいち感動しながら手の縄を解いてくれた。

あとは自分でやってよね、おひめさま

なんだこいつ…とおもいながらも顔にかけられたふくろをばさっととる。目の前にいたのは白髪の銀のまなこの絶世の美少年だった。肌も白くて、彫刻がうごいてるみたいだった。あまりの見た目の迫力に思わず後ずさる。ま、眩しい〜と心に飼ってるすなこが言う。

そんな私を見透かしてなおスルーなのかわからないが、

ふふ、足の縄とりなよ

と、何の反応もなかったかのように淡々と仕事をするかのように私の足の縄も解く。私はなにかこの少年に聞きたいことがあったような。なんでこの彫刻は動いてるんだろう、いや違うな、誰なんだこいつは。なんでここにいるんだ、なんで私に構うんだ。他に誰かいないのか。聞きたいことが多すぎて逆に口が上手く動かない。え、あ、、う…と口ごもる。

喉乾いてそうだよね飲む?とペットボトルを出す。

ありがとうと言いかけたら、キャップを開けておもむろに口に含みだした。

あ?なんだこいつくれるんじゃないのかよと思った次の瞬間、迫力のある顔が目の前に迫ってきて、唇を塞がれていた。水が口内に流れ込んでくる。驚いて気管に入ってしまった。本能でこいつの顔を汚せねえと思ったのか、顔をそらして思いっきりゲホゲホとむせる。それにしても、私のファーストキスこんな彫刻にこんな変な流れで奪われるのか?なんだこいつ。なんなんだ。後ずさろうとすると腕を掴まれた。

ありがとうは?

思わず、は?と低めに言ってしまった。スルーしてかその彫刻はひょうひょうとして

もう一口いる?

と言ってきた。首をぶんぶんと横に振る。

けらけらと笑ってからその彫刻はまた喋り出した。

おれロクロっていうの。よろしく。

彫刻の名前はロクロというらしい。ドクロ?ときくと違う違う、数字の六とか、くるくる回すあれ、首の長い妖怪。ろーくーろ。りぴーとあふたーみー?

って言ってきた。うざ、と口から出てしまった。

あんたは?

××××と噛みながら答えた。するとそいつは、

言いにくそうで可哀想だね、とーこって呼んであげるよ

ゆばーばかこいつ。ろくろとかいうゆばーばによって、わたしはとーこにされてしまった。


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