〜真の力を求めて〜
第一話
「あー、修仙者になりたいなぁ〜」
いつものように、木々の間から夕日が差し込むのを眺めていた少年は、釣りをしながら独り言をしていた。
彼は、両親も出身がどこなのかも知らなかった。生まれてすぐ両親に捨てられたのか、黒龍山の麓に草籠に入った状態で心優しい家族に拾われて、7歳まで一緒に暮らしていたが、その家族も魔物潮によって殺され、それからは人里離れた黒龍山の森の中で犬のポチと暮らしていた。
「暗くなってきたな、帰るか」
「ポチ!」そう呼ぶと近くの茂みから全身に白いところを少しでも探すほうが難しいぐらい真っ黒な犬が元気に飛び出して、近くまで駆け寄ってきた。
「ごめんなポチ、今日も釣れなかったから晩御飯は山菜鍋になりそうだ。」そう聞くとポチは少ししょんぼりした顔で家に向かって少年の前を歩いて行った。
「ちょっと待ってくれよ、明日こそは取ってくるから!」少年は急いで釣具をまとめてポチについて走った。
少年の家は川の近くで木で作ったった小さい小屋だった。素朴な小屋で中はベットと台所と小さな机が一つあった。
とってある山菜を鍋に入れて味付けは少しだけの塩、茹でながら少年はポチに話しかけた。
「今日は僕の11歳の誕生日だから、ちょっと贅沢したかったのに魚ところか魔物魚を何回か釣れたせいで釣竿がもうボロボロだよ。早く修仙者になって魔物魚釣れても捌けるようにならなきゃ。」
「ワゥ〜」
「ポチィ、慰めてくれてありがとう、でももうすぐ「初歩」に突破できそうなんだ、そうしたらいよいよ修仙者の仲間入りだよ!修仙者になったら毎日魚を取ってきて贅沢するんだ!」
「ワン!」
「ポチも楽しみか!よ〜し早くご飯食べて修行するぞ!」
少年はご飯を食べ終わりすぐに修行に入った。
この世界には「仙気」と呼ばれるどこにでもあるエネルギーがある。この仙気を特殊な呼吸法によって体の脈に取り込むことで修行をすることができ、修行することで身体能力向上や延寿効果、特殊な武技習うことで普通の人間には使えない超能力も使えるようになる。
修行は10階級に分かれており、「初歩、修養、三門、練心、明鏡、虚空、天眼、神通、悟仙」さらに1階級ずつには「初、中、上、満」の4つの状態に分けることができる。初歩に突破すればすでに普通の成人男性が十人まとまっても勝てないほどの実力があり、悟仙まで行くと人ではなくもはや神の如く寿命と力を備わると言われている。
修仙は誰にでもできることではなく、人が生まれ持った仙根によって修行ができるかどうかが決まる。修行ができる仙根は一万人に一人持つか持たないかのレベルで修行ができて修仙者になれる人間は珍しいため、普通の人間と修仙者の間では大きな格差がある。
少年は幸い修行ができる仙根を持っていた。
瞑想の姿勢に入り仙気を取り込み、体全体に仙気を回らせることで肉体の隅々まで洗練する。それを繰り返してやることで身体がどんどん研ぎ澄まされていく、時間は少しずつ経ち朝を回るごろ、丹田(下腹部へそのしたらへん)にチンッ!という音が鳴り体全体の皮膚から黒い雑質の煙が出て、少年は目を開けた。
「やったぞ!!!!初歩に突破した!!これで俺も修仙の道を歩むことができる!」
喜びのあまり飛び回ったせいで机に置いてあった黒い小さな石がついてるネックレスが落ちた。
少年はネックレスを拾った。
「いけね、このネックレスは大事にしなくちゃな、僕が生まれた時から持ってたらしいし僕の本当のお母さんとお父さんに繋げてくれるかもしれないしね。」
「僕の生まれ父母はどこかで生きてるのかな、でも僕は捨てられた子だし、もし生きてたら探しにくるよね。。。
でも何か手放せない用事で来れないだけかもしれないし。。。」
さっきまで高かったテンションが急に落ちてしまった。
「だめだめ、せっかく良いことあったのに落ち込みこと考えない!」
切り替えようと少年はネックレスをかけた。その時ネックレスの小さな石が一瞬だが赤い光が光ったことを少年は見逃してしまった。
「よし!ポチ、町に行ってみようぜ。修仙者になったことだし、子供でも雇ってくれるところはあるだろう!街で暮らせば食事にも困らないし、友達とかもできるかもしれないしね!」
「ワン!」とポチは喜んで尻尾を振った。