ヲタッカーズ18 赤い不機嫌ニウム
ある日、聖都アキバに発生した"リアルの裂け目"!
時空海賊、ギャング、宇宙人の聖都侵略が始まった!
聖都の危機にアキバのCharlie's angels
"ヲタッカーズ"が立ち上がる!
オトナのジュブナイル第18話です。
今回は"人類補強計画"を進めるマッドサイエンティストがスーパーヒロインの力を削ぐ"不機嫌ニウム"を合成!
その影響を受けたヲタッカーズは、奇行を繰り返して秋葉原の人望を失い、遂に警察などからも追われる身に…
お楽しみいただければ幸いです。
第1章 赤い不機嫌ニウム
ワラッタ・ワールドワイド・メディアのTV部門が誇る花形番組"鉄子のヘア"公開録画。
「巨大メディアグループ、ワラッタのCEOにしてヘラルド・ヲタビューン紙が選ぶ、秋葉原で最も影響力のある人物、サリアCEOを御紹介します!」
白柳鉄子(TGV車掌コスプレ)のイントロにスタジオに詰め掛けたファンから拍手が沸く。
「まぁサリアCEO。想像してたよりずっと若々しいのね」
「貴女こそ」
「ヒュー」
鋭い返しにスタジオから冷やかしが飛ぶ。
「…先ず、最も影響力のある女性に選ばれた感想は?」
「とりあえず、貴女の誤りを訂正するわ。最も影響力のある女性じゃない。最も影響力のある人物ょ」
もうスタジオ中が共感の拍手だw
「この機会を利用して世の中を良くしている人々に世間の注目を向けさせたいの」
「その件で質問が…」
「ヲタッカーズね?」
「貴女はスーパーヒロイングループ、ヲタッカーズが秋葉原に現れた直後から批判や激励をしてきたけど彼女達とは友人なの?」
「私はそう思ってる」
「どんな女性達なのかしら?」
「誰もが思っている通り強くて、というか…でもね、最大の魅力は優しさょ。誰よりも親切だわ」
ココで実写画像差し込み。
公園でイジメに遭う少女。
「サユミ!ソレでヲタッカーズのロケット兵のつもり?アンタ、飛ぶワケ?その馬鹿みたいなコスプレで」
「違うわ!」
「だから、アンタは友達がいないのよっ!」
「あらそうかしら。私は最高にクールだと思うわ。ね?サユミ」
突如砂場に舞い降りるロケッ兵装備のマリレ。
サユミと肩を組むとイジメっ子達は後退りだ。
「サ、サユミwアンタ、ヲタッカーズと知り合いなの?!」
「モチロン。サユミはヲタッカーズの大事なお友達ょ。じゃまたね!」
飛び去るマリレ。
見上げる少女達。
おぉ完璧w番組続行!
サリアのまとめ発言←
「彼女達は、まさに理想のヒロインね。私達を良い方向へ刺激する。多くのコトを学べるわ。秋葉原の誰もがそうょ。私も、彼女達から多くを学び、今も学んでいるの」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ワラッタ・ワールドワイド・メディアのサリアCEOルーム。
ルームにある大小様々な画面全部に昨日の録画が流れてる。
「あぁ惚れ惚れするわ。実に良いコトを言っている。何でもスポーツに例える手法は古臭くて嫌いだけど、このインタビューはホームランだわっ!少し顔の色が暗いかしら。ヒカリが見つけて来たハッカー君に直してもらおっと。ねぇ誰か?」
「ダマヤですか?ちょっち探して来ます」
「私のルームに90秒以内に来るように…うーん。あのネックレスはイマイチだったわ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
気まぐれCEOの逆鱗に触れないよう、必死でダマヤを探す秘書のシボナ。
彼は、実は席を外して備品庫にいるのだがココにもう1人彼を探す人が…
「ダマヤ!ソコで何してるの!」
窓の外で叫び声w
ココ37階だけど…
「嫌ぁヤメてぇぇぇ!NO NO NO!」
ヲタッカーズでロケット兵装備のマリレがジェット噴射しながら窓の外にいる。
"鉄子のヘア"を見た彼女は出演?の喜びをTOと分かち合おうと来たのだが…
「貴女!私のTOから離れて!この泥棒猫!」
「アンタこそ、邪魔しないでよ!嘘でしょ?スーパーヒロインがノゾキを?」
「わ!マリレwまさか…窓の外から見てたのか?」
最中?だったふたりは慌ててカラダを離し、ヒカリはスカートを直し備品庫を飛び出す…トコロを秘書のシボナにバッチリ見られるw
残されたマリレとダマヤは窓の中と外w
「しまった。地上37階だと思って油断してた」
「コレからワラッタの備品に触る時は手袋しなきゃ!」
「あんなトコロを見せてごめんよ。俺も意外ナンだが流れで…そうなった。付き合ってるワケじゃない。単なる勢いだ」
ソレ最低でしょw
「説明ナンかしないで!ふたりとも大人だし楽しむのは自由よ」
「…ダマヤ!もう1度呼ぶまでに来ないとクビよ」
「わ!CEOが呼んでるw行かなきゃ!」
「ダマヤ、ボタンが外れてるから」
ダマヤは、慌てて"窓"を閉める…社会の。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
アキバ人の人間交差点マチガイダサンドウィッチズ。
バカウマなチリドッグを頬張りながら、僕とダマヤ。
「サリアさんに聞いたょ。僕の元カノのヒカリ、法務担当をクビになったンだって?もしかして、僕達の推しがヲタッカーズだってコトもバレたのかな?」
「俺からは何も話してませんが」
「うーん」
「そんなコトより、ヒカリから別れを切り出されました」
「そりゃ最悪だな。デートをすっぽかしたからか?アレは僕とミユリさんを連れて旧ナチスの南極要塞に…マリレにはチャンと話したンだろ?」
「話しました」
「怨霊サディコの正体を調べに逝ったンだけど…悪かったね」
「そーゆーコトじゃないです。テリィたんがどーこーではなくて、俺とマリレの問題です。ヲタッカーズも関係ないし、秋葉原のせいでもない」
「ダマヤは、誰よりマリレを推してる。そのコトは、彼女も知ってるハズだょな」
「どうでしょう?スゴく推してたつもりだったけど…彼女が思うホドではなかったのかもしれません」
緊急メールが着信。
「あ。ジャドーのレイカ司令官からだ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
秘密組織ジャドーは、秋葉原に開いた"リアルの裂け目"から襲来する脅威に対抗中。
その司令部は、とあるゲーセンの地下深くに秘密裡に作られ日夜敢然と挑戦している…
…ンだが、通路では恋のお悩み相談中w
ヲタッカーズのエアリとミユリさんだ。
ミユリさんはスーパーヒロイン"ムーンライトセレナーダー"だけど、僕は彼女のTO。
一方のエアリは、ヲタッカーズの妖精担当で地球が冷え固まって以来の"永遠の17才"w
「え?ダマヤがマリレのTOを降りたの?」.
「マリレちゃんとモメたみたいです」
「へぇ。モメるカモとは思ったけど…何だか後ろめたいわ。やはりテリィ様と南極要塞に逝ったのがマズかったかしら?」
「ダマヤは違うと言ってるみたいですけど…でも、そんなコトより、チャンスなのです!私、ダマヤの推しに立候補しよーかなっ」
「え?エアリ、やめてょ。ヲタッカーズの中でTO略奪とか」
「でも、お互いに好意を抱いてるのは確かだし、フリーになってから絆を深め合う推しとヲタもアリかなって」
「例えば?」
「ミユリ姉様とテリィたん」
「…意外に良く見てるのね」←
「とにかく!ダマヤに思いを伝えなきゃ!また元鞘になったら手遅れだしっ!」
タイヘンなの?と訝りつつ、ふたりが司令部に入るとスーツ姿の女子?え?議員センセ?
「あ、ヲタッカーズのムーンライトセレナーダーと妖精担当のエアリです。コチラはマイカ議員」
「ジャドーを助けてくれるスーパーヒロイン達ね?予算委員長のマイカょ。よろしくね」
「ジャドーの予算の増額を議会に掛け合ってくれてるのょ。戦費が増やせるわ」
「ソレも大幅にね」
自ら請け合って胸を張るマイカ議員。
どうもココは低身低頭モードらしい。
「まぁ!大感謝ですわ!」
「頑張れぇ!センセ!」
「ありがと…でも、先ずは秋葉原の平和に尽くすレイカ長官に御礼を言うべきだわ。彼女のお陰で、今日も秋葉原は平和なのょ」
ん?何やら矛先が…
「いえいえ。ヲタッカーズのおかげです」
「いーえ。トップが優秀なのよ。"リアルの裂け目"から襲来スル未知の敵との戦いには常に柔軟な判断が必要だわ。でも、ジャドーは、宇宙作戦群ほど管理体制が整ってない。だから、私の良く知る信頼出来る人がトップに立って、正義を実践していく必要がアルの。貴女が長官で良かった」
そう逝いながら、司令官の手を握るセンセ。
思わズ顔を見合わせるミユリさんとエアリ。
ソコへ…
「消防士が地下アイドル通りの雑居ビル屋上で負傷」
「軌道上のコンピューター衛星"シドレ"からの画像を正面スクリーンに出せ!」
「ヲタッカーズ、出動ょ!」
司令官と議員が振り向くと、既にエアリの姿はなくムーンライトセレナーダーが微笑む。
「お任せを」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
火災現場が神田消防署の直ぐ裏だったせいもアリ、既にビルにはハシゴ車のハシゴが伸びて、消防士達が続々と屋上へ上がって逝く。
「広告塔が倒れて来て仲間が下敷きになっている!既に火は直ぐソコまで迫ってる!」
「息はあるのか?一刻を争う事態だ!」
「わかった。持ち上げるぞ!1, 2, 3!」
ビクともしないw
ソコへ得意の"飛行魔法"でかけつけたエアリがフワリと舞い降りる。
重過ぎる広告塔、迫る火の手に折れかけた消防士達の心に希望の火が…
「お待たせしました。現場はコチラ?」
「ヲタッカーズ、助かった!この広告塔が重過ぎて人力では動かせないンだ。何とかしてくれ。消火は任せろ!」
「了解。"クレーン魔法"を使います」
エアリが精神統一、目を閉じて何か呪文を唱えると重い広告塔が…
クレーンに吊られたようにユックリ持ち上がる!驚きのドヨメキw
「おおっ!素晴らしい…もうちょっとだ、もうちょっと」
「ソレ、仲間を引き出せ!今だ!」
「救出した!搬送スルぞ!」
担架で運ばれる消防士が高々とVサイン。
大拍手が沸きエアリと消防士達が握手w
「ありがと!ヲタッカーズ!」
その時、瓦礫の下で何かが光る。
その赤い水晶に誰も気づかない…
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
その夜の御屋敷。
「オハヨーゴザイマース」
おバカな挨拶で現れたのは…黒のシースルーメッシュトップスにベアトップワンピw
深い胸の谷間は微乳のミユリさんの御屋敷では禁断の娼婦…じゃなかった勝負服だ←
「エアリ!どーしたの、その格好?」
「別に?今までの服は胸がキツくて…ソレにダサかったし」
「おやおや。雷にでも打たれたのかょ?ところで、頼んでたマリレのTOの後釜リストは?」
妖精エアリの余りの変わりように常連もドヨめき遠巻きに取り囲む。
突然のセクシー路線に賛否両論だけど、かろーじて声をかけた僕に…
「ほら、コレ」
まるで犬に餌を投げるかのようにカウンターにペーパーを放り投げるエアリ。わんわん。
「どうぞ見て、テリィたん。経歴はチェック済み。マリレとの相性順に並べてあるわ。この中から新しいTOを決めてょ」
「でも、最終的にはマリレが決めるコトだから」
「サッサと決めて欲しいわ。もう、彼女は後戻りは出来ナイ。あのハッカーは…私がいただくから」
わぉ!TO略奪宣言?大胆w
「あのさ。ダマヤが推し変スルかは彼の気持ち次第だ。余り先走るなょ」
「フフフ。このセクシードレスで…」
「とりあえず!良く調べたね。御褒美はクラブ"地獄の住所録"の招待券だ。今宵は北欧から来たDJが出るみたいだ」
「あら?サスガはテリィたん。ちょっち楽しみカモ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
2時間後。ジャドー司令部から緊急呼出w
「大金を乗せた現金輸送車が6時間で2台も襲われた。チンピラ2人組が完全武装の警備員を襲撃、現金強盗を働き逃走中」
「武器は?」
「ソレが"リアルの裂け目"から呼んだ傭兵を武器にした。その名はオホロ。魔術使いの元クノイチだ。次の強盗は何としても阻止したい。ヲタッカーズで」
うなずくムーンライトセレナーダーとロケット兵装備のマリレと…
やや?妖精担当のエアリは後ろのテーブルに足を乗せ聞いているw
「あら?」
ボンヤリとネイルを眺めるエアリw
思わず顔をしかめるレイカ司令官←
「退屈させちゃった?」
「かなりね。話がつまらないのょ」
「とにかく!出動ょ。説明は聞いてた?」
イスをクルクル回しながら立ち上がるエアリ。
「大体ね。クノイチを倒せば良いのでしょ?」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
中央通りにある巨大ゲーセン。
売上を現金輸送車に移送中だ。
「強盗は"リアルの裂け目"から来た異次元人らしい。完全武装の警備員が7人もやられてるょ」
「クノイチって噂だな。どうせならミニスカ美人だと良いねぇ」
「どうせ覆面だろ?やれやれ。危険手当とか出ないかな。よし、積込完了」
輸送車のドアを堅くロックしドライバーズシートの後ろから頑丈な壁をドンドンと叩く。
「出してくれ」
ドライバーは、直ちにエンジンをかけるが…発車しない?さらにアクセルを踏むが…
車体後部が持ち上がって後輪が空回りしてるのだw不気味に笑う黒レオタードの女w
異次元クノイチ、オホロだ!
忍法?で車体を持ち上げて…
「うわ!何だ?」
「構うな、撃て!」
「やっぱり覆面してるw」
堅くロックしたハズの装甲ドアが、まるでダンボール紙のように吹き飛ぶ。
同時に武装警備員が拳銃を突き出すが、その手を捻られ、投げ飛ばされる。
ドライバーが降車し、拳銃を乱射!
黒レオタードに何発も命中スルが…
ビクともしないw
「動くな、ジャドーだ!異次元クノイチ、オホロ!お前の正体はわかってるぞ!」
「全員、一斉射撃!」
「ロケット弾、撃て!」
ソコへ消防車に偽装したジャドーの特殊車両が続々と到着。
消防士コスプレの特殊部隊が躍り出て全力射撃を開始スル。
「マズい!ココは引こう…」
狭い路地の中小ビルの谷間を連続跳躍で飛ぶように遁走を図る黒レオタードのクノイチ。
「マリレにエアリ、お願い!」
ムーンライトセレナーダーが飛ぶ系ヒロインのふたりに追跡を命じる。
直ちに飛び上がるふたりだが…何と空中でエアリがマリレを蹴落とすw
え?その場の全員が茫然←
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
黒レオタードのオホロが路地を駆け抜ける。
ソコへ突如飛び出したエアリがラリアット!
吹っ飛ぶオホロだが、キックボクシングの構えから繰り出す蹴り足をエアリがキャッチ。
そのママ足首をクラッチして、内側にキリモミ状態で倒れ込む!ドラゴンスクリューだw
「ぎゃあああっ!」
「私はね。"リアルの裂け目"が開いて以来、色んな異次元人と闘って、常に勝ち続けて来たのょ」
「くそぅヲタッカーズめ!」
ヒールホールドをキメられ、黒レオタードのクノイチは覆面の下で悶絶w
「ギブアップ?」
オホロの絶叫を聞きながら、彼女を路面に押し倒し、喉にブーツを当ててグリグリするw
「下っ端クノイチのアンタなんか、相手にスル価値もないわ。消えて。急いだら?私の気が変わらない内に」
ヨロヨロ立ち上がったオホロが脚を引きながら闇に消えるや、ジャドー特殊部隊が到着。
「周辺警戒!異次元人の姿ナシ!」
「エアリ、大丈夫?オホロは?」
「私は大丈夫。でも、オホロには逃げられたわ」
第2章 シボナのスクープ画像
結局オホロに逃げられ、ジャドーもヲタッカーズも意気消沈。
トボトボと帰って来て真夜中のジャドー司令部はゴッタ返す。
「レイカ長官、マイカ委員長が最新状況を知りたいとおっしゃってます」
「まぁ楽しそう」
司令官より先にエアリが答えて、思わズ顔を見合わせる一同。
さすがに看過出来ズ、レイカ司令官がエアリを武器庫に呼ぶ。
「ヲタッカーズとは、民間軍事会社に見立てた契約がアルとは言え、いつも感謝しているわ。でも、私達の任務は、あくまで異次元人の捕獲なの。逃げられないで」
「いちいち説教しないでょレイカ」
「…どうしちゃったの?」
心配したムーンライトセレナーダー、ミユリさんが入って来る。
レイカ司令官は、とがめるような口調でミユリさんに苦言スル。
「ムーンライトセレナーダー、ジャドーとヲタッカーズの関係は良好だと思ってたのに残念だわ」
「ミユリは関係ない。私が言いなりになれば良いのでしょ?逆らえば非難される。もうウンザリだわ。ジャドーも自分でオホロを捕まえれば?本気を出せば出来るでしょ?」
「危険だわ。損害も出る」
「私達は、危険じゃないの?スーパーヒロインだって耐えてるの。人類も耐えるべきよ。何が怖いの?種族としての誇りはナイの?明日は早いから帰るわ。行くトコロがあるの」
武器庫のドアを荒々しく閉め、出て行くエアリ。
鋭い目つきの顔に、瞬間、赤いひび割れが光る。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ワラッタ・ワールドワイド・メディアHQ。
エレベーターから颯爽と出て来たエアリは…
黒のシースルー?あ!いつかのキャバ服だw
慌ててダマヤが駆け寄るw
「エアリ!マズいょソレ。サリアCEO専用のエレベーターだwってか、そもそも何しに来たの?」
「あ、ダマヤ。え?専用エレベーター?バカみたい。省エネに反してるわ」
「とにかく!今以上、サリアCEOに喧嘩売らないでくれょ」
ソコへ肝心?のサリアCEOが登場。
「ダマヤ!あ、あら。貴女はヲタッカーズのエアリさんね?…でも、その格好。何を考えてるの?」
「貴女が秘書のシボナさんに頼んだラテをどうぞ。私がお持ちしました。社員用エレベーターから1分半も歩くと冷めますので」
「ずうずうしい。ずいぶん様子が変わったけど見逃すわ。で、用事が済んだのなら帰って」
「では御機嫌よう」
しゃなりしゃなりとオフィスを横切り今度は大人しく社員用エレベーターで帰るエアリ。
「何なの、あの人?CEOの彼女?」
「いや。確かヲタッカーズだょね、妖精の」
「え?あんなグラマーいたっけ?ヲタッカーズって、みんなツルペタかと思ってた」←
ダマヤはエアリの奇行に頭を抱える。
とりあえず、サリアをルームに誘う。
「実は、ヲタッカーズのコトで気になるコトがあります。2人で話せますか?」
「もちろん」
サリアにタブレットを渡す。
「何の映像?」
「ヲタッカーズが…昨夜、異次元クノイチを逃した証拠画像です。もしかしたら…特ダネに化ける可能性も」
ソレは、ダマヤがハッキングした防犯カメラの動画で確かにエアリがオホロを逃してる。
ひと通り見たサリアは、しばらく沈思黙考したが、意を決しタブレットをダマヤに返す。
「この動画、真相がわかるまで公にしないで」
「え?真相は明らかです。エアリの行動は…スーパーヒロインとして失格です。何かおかしい」
「その通り。何かワケがあるハズ。また偽物とか」
「なるほど」
「話は以上よ」
ルームから出て来るダマヤを見て、何ゴトか考え、独りほくそ笑むのは秘書のシボナだ。
「タイヘン!ヲタッカーズが悪党に寝返ったナンてスッパ抜きの大ネタじゃない!秋葉原の世論を変えるヘッドラインを考えなきゃ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
その夜が明ける頃になり、ジャドー司令部に異次元クノイチ、オホロが連行されて来る。
「ジャドーだけでよく捕獲出来たな」
「まぁ小物ですから」
「何ょ!人類の分際でデカい口を叩かないで。ヲタッカーズは私を見逃したのょ」
「エアリは逃げられたと」
「嘘ね。面倒だから逃したのょ」
「連行して頂戴」
「でも、司令官。もし、彼女の言うコトがホントなら?」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ワラッタ・ワールドワイド・メディアHQ。
サリアCEOの秘書を罵る怒声が響き渡る。
「シボナ?シボナ!何処に行ってたの?勝手にトイレに行かないで!1Fの受付に私の花が届いたわ!取って来て!」
ため息つくシボナ。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
宛先:ヘラルド・ヲタビューン編集長
タイトル:ヲタッカーズ エアリの醜聞
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
再びサリアCEOルーム。
激昂したサリアCEOが、秘書のシボナに動かぬ証拠となる疑惑のメールを突きつけてる。
「ウォーターゲート並みの特ダネを気取ってライバル社に横流しを図ったワケね?ネタが採用されれば良いポストがもらえるとでも?最終的には、私が貴女を見込んで戻ってくるように泣いて懇願するとでも?」
「違いますか?」
「全然違う。私が求めるのは誠実で信頼出来る社員。ステップアップのためなら平気でライバル社にネタを売る小娘じゃないの。出てって…ごめんなさい。声が小さかった?貴女はクビだと言ったの。ヲタビューンの編集長ともジックリ話したから、向こうに行っても貴女にポストはないわ。以上よ。さようなら…あ、その花は貴女への餞別だから」
花を片手に立ち竦むシボナを手で追い払う。
茫然とするシボナはヨロめきつつ出て行く。
「シボナ、大丈夫?」
「あ、ダマヤ。私、ゲームセットみたい。お別れね」
「…最後に気晴らしに行かないか?今宵は飲んで踊り明かす。おいでよ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
クラブ"地獄の住所録"は地下の箱。
神田川沿いの倉庫街の暗がりに隠しゲートがあり、見下ろしながらフロアへ降りて行く。
今宵もイケてるかは別として、お洒落に金と暇をかけた人種がコレでもかと群れてイル。
「音楽ガンガンだな」
「ですね。回り回って、結局テリィたんに付き合わせちゃってスミマセン」
「秘書ならいつでも大歓迎さ。秘書大好き」←
僕は、ダマヤに連れられVIPルームにいる。
ダマヤはエアリ、僕には秘書だ。楽しみ←
「でも、シボナから返事がないンです。すみません、もしかしたら…」
「気長に待つサ」
「エアリの方はもうすぐ着くって。そろそろかな?」
「おぉ。来たみたいだ。アレが…エアリなら」
僕が指差す先に真紅の"勝負服"の美女が…あ、背中にそー描いてあるンだょな黒々とw
バリーライトの海を悠々と横切り、誰もを振り向かせながら真っ直ぐに僕達の方へ来る!
「き、きれいだね。びっくりだな。ワオ」
「勝負服なのょ。そー描いてアルけど。ねぇ踊らない?」
「良いね。あ、テリィたん。失礼します」
「え。」
放置されるwミユリさーん!ところが…
「この曲、大好き」
「良い曲だ」
エアリは、ダマヤの首に手を回すw
「大丈夫?」
「え?私は最高の気分ょ」
「テリィたんと飲まないか?シボナが来るまで」
「嫌ょ。やっと欲しいモノが手に入ったのに。ソレは何だと思う?ロケット兵装備の娘にフラれた可哀想なTO」
「何のマネだ?エアリらしくないょ」
「私から逃げないで。マリレのコトなんか早く忘れて。貴女に近づくスーパーヒロインに私は嫉妬メラメラなの。さっきもマリレを蹴落としてやったわ」
「やめろ」
「ホンキょ」
「フザけるな」
ソコへ電話w同時にスマホを探すふたり。
「僕への電話だ。サリアCEOからw」
「私達の邪魔をスルなと伝えて」
「無理…あ、はい。もしもし?」
「ダマヤ?サリアょ。お昼間、押しかけて来たヲタッカーズとコンタクトは可能かしら?至急来させて」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ワラッタ・ワールドワイド・メディア最上階のCEOルームには専用のバルコニーがある。
エアリがフワリと舞い降りる。
「何の用?」
「確かめたいの。貴女のメイド服の中にドッキリ番組のスタッフが隠れてないか。だって、異次元人のコトをヲタッカーズは決して見逃さない。だから…アレはヤラセだと思って」
「ヤラセじゃナイわ、サリア」
「あら?私を呼び捨て?」
「よくも私達を偶像に仕立ててくれたわね。ヲタッカーズは勇敢で、心優しくて強い。薄っぺらいわ。漫画みたい。誰にだってダークサイドはアルのょ」
「そうね。でも、貴女達はスーパーヒロインなのょ?世間の手本になる存在なの」
「ウンザリだわ。人類はタダのお荷物に成り下がった。ビルが火事になった、じゃヲタッカーズを呼ぼう。火事ぐらい自分で消しなさい。私はヤメるわ」
その瞬間、エアリの顔面に赤く光るヒビが走り、ソレを見てサリアは怪訝に首を傾げる。
「エアリ。貴女は、心が折れかけてるみたいだわ。でも、ソレは誰にでもあるコトなの。医師に抗鬱剤をもらって。良い薬だから、きっとスーパーヒロインにも効く。でも、治るまでは貴女とは会わない。その傲慢な態度が鼻につくの」
「私はね。見習っただけなのょ、サリア。貴女は、私が知り得た中で、最も傲慢で意地悪な人ょ」
「ヲタッカーズが今あるのは、私のおかげ。あまり怒らせないで」
「おや?今、私を脅した?確かに、貴女は秋葉原で最強の人物ょね。メディアによればね。でも、モノホンの強さを知らないわ。ソレは…コレょ」
地上37階のバルコニーから、サリアを放り投げるw
絶叫し落下するサリアw悲鳴が見る見る遠ざかる←
肉体が地面に激突し赤い肉塊となって飛び散る…直前にピタリと静止してドサリと落下w
呻くサリアは、自分を見下ろす声を聞く。
「あのね。ホンキの強さとは、生命の生死を決定スル力がアルか否かなの。ソレから…私のコトを2度と呼びつけないで」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ジャドー司令部。
ムーンライトセレナーダー、つまりミユリさんだけどマリレとスゴい勢いで入って来るw
「レイカ長官、お話しが!」
「エアリがちょっちマズいコトに!」
「知ってるわ。何か様子が変ょね。ヤケに突っかかるし、昨日は異次元クノイチを逃した」
「ココ2日間の行動を分析してみましょう。衛星軌道のコンピューター衛星"シドレ"を呼び出して頂戴」
オペレーターが"シドレ"をコール。
大振りアクションで司令官にキュー。
「"シドレ"?レイカょ。2日前の地下アイドル通り裏の火災現場で消防士救出時点での周囲の熱反応を調べて」
たちまちメインスクリーンに熱分布図が…
「ややっ?この熱反応は?!」
「"シドレ"スペクトル分析を重ねて!」
「コ、コレは…スーパーヒロインのパワーを奪う"不機嫌ニウム"だ!」
直ちにジャドーの科学班が呼ばれる。
「確かに"不機嫌ニウム"ですが、宇宙から飛来した天然モノとはスペクトルが微妙に違います。誰かが作った人工のモノと思われますが」
「なぜ?誰がそんなモノを?」
「しかし、エアリのパワーは弱ってないわ」
「つまり…失敗作なのね」
「その代わり、恐ろしく不機嫌になって手に負えないわw」
「とにかく!コレは誰が作ったの?」
その時、背後で誰かを引っ立てる物音が…
振り返ると、ラズゥ博士とセキュリティw
ラズゥ博士は囚人服←
「あらぁ。迷惑かけてゴメンナサイ!でも…
協力しに来たのょ?"人工不機嫌ニウム"のコトで」
「あら?博士ご自慢のビザロッテをヲタッカーズが倒したコトを今も根に?」
「いやはや。彼女は"人類補強計画"の切り札だったのに、あっという間に貴女達に倒されてしまったわね。唯一の収穫は、スーパーヒロインのパワーに影響を及ぼす物質の存在を知ったコト。即ち"不機嫌ニウム"の存在ょ」
「皮肉なモンね」
「イカレてるわ」
「現実的なだけょ。人類は"リアルの裂け目"から襲来スル怪人に備え、闘い、勝ち続けねば未来はない。そのために人類を強化スル"人類補強計画"が必要なの。そして、"不機嫌ニウム"は、その中核アイテムとなる物質なのょ」
「で、ソレを自分で作ろうとして失敗したワケ?」
「え?でも、あのビル火事は、あくまで事故ょ。誰も傷つける気はなかったわ」
「え?まさか、スーパーヒロインの注意を引き、あわよくば、様子を見に来たヒロインを殺そうとしてたの?」
「そして、失敗したとか?」
「まぁいつものコトだけどね」
「し、しかし、ヲタッカーズが来てあんなコトになるなんて思わなかったの!ソレだけは信じて!」
「え?マジ、私達を殺す気だったの?」
「あ、あわわ…一義的にはスーパーヒロインへの影響を評価したかっただけょ。そんな、死ぬなんて"余り"考えてなかった…」
「少しは考えてたワケ?」
「頭の片隅でチラッと…とにかく!あの…エアリさんだっけ?異次元クノイチを逃し、サリアCEOをバルコニーから放り投げて殺そうとしたのは、ヲタッカーズなのょ?」
「え?サリアさん死んじゃったの?」
「…悪運が強くて無事でした」
「ソレにしても、エアリの不機嫌は重症だな」
「レイカ司令官、ゴメンナサイ!埋め合わせをしたいの。私なら解毒剤を作れるわ。貴女さえメイド服を着てくれるなら…」
「えっまた?…し、仕方ないわ。着ます。だから、必ず"不機嫌ニウム"の解毒剤を作って。さもないと、秋葉原が滅びる。ラズゥ博士、貴女のせいでヲタッカーズが恐ろしい生物兵器に変身するトコロだったわ!」
第3章 必殺!赤いレーザービーム
ワラッタ・ワールドワイド・メディアHQ。
本社スタジオで、カメラの前に立つ人は…
「なぜCEO自らカメラの前に?」
「ヲタッカーズは悪党だと非難する声明を出すのょ?私以外にあり得ない」
「ヲタッカーズは、本来は悪党ではありません」
「だから、危険だと秋葉原に知らせるの」
ワラッタの経営幹部が全員スタジオに集合、寄ってたかってサリアに翻意を促すのだが…
「ヲタッカーズは、正気に戻るハズです。しかし、ココでメディアが非難してしまえば、彼女達は秋葉原の信頼を失う」
「私はね。バルコニーから放り投げられて、地面にぶつかる直前に、彼女の気まぐれに救われたの。いつも彼女がそうしてくれれば良いけど、今、誰かが同じ目に遭った時、安全だと貴方、保証出来る?ねぇ誰かが傷つけられるコトは絶対ナイと言い切れるの?」
「…わ、わかりました。放送をお願いします、サリアCEO」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「秋葉原に集うヲタクのみなさん。ワラッタ・ワールドワイド・メディアCEOのサリアです。御存知の通り、私達はヲタッカーズを支持してきました。しかし、こんなコトを言うのは残念ですが、もはや彼女達を応援出来ません。私達は、ヲタッカーズを信頼出来ると断言した。彼女達は友人だと。でも、違ったのです。ヲタッカーズは変わった。情緒不安定で、とても危険な存在です。昨夜は、私を地上37階から放り投げました。何をスルかわからない。憧れの人達に失望させられるのは、とても辛い。ソレが理想のヒロイン達で、常に見習いたいと思って来た友人達でアルならなおのコトです」
マジで涙を浮かべるサリア。
街では放送を見た神田消防の消防士達が"ありがとヲタッカーズ"の垂れ幕を片付ける。
少女が、キレイに折りたたんだマリレのコスプレをゴミ箱に捨て、泣きながら走り去る。
「でも、スーパーヒロインも堕落する。危険ですから、ヲタッカーズには近づかないで!」
「OK, カット!」
「…カメラを切って頂戴。あらゆるメディアを使って繰り返し流してね」
「わかりました、サリアCEO」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
その夜の御屋敷。
ミユリさんは、その夜に限って、僕を含めて常連もみんな追い返す。
と逝うワケで、御屋敷にはカウンターのミユリさん以外誰もいない。
突然、人の気配がして…忽然と姿を現したのはエアリ。ミユリさんは顔を上げもしない。
「おかえりなさい、エアリ」
「どう、ミユリ?今宵は好きなメイド服を選んでみたの。お仕着せじゃなくてね」
「似合ってるわ」
ミユリさんは顔を上げもしない。
「どう?胸の谷間が深くクッキリ!よくも、私に長年ダサいメイド服を勧めてくれたわね。ツルペタの自分が霞むのが嫌だった?」
「今のエアリは、不完全な"不機嫌ニウム"の影響で、脳が混乱してるの」
「ミユリ。アンタは、ずっと私に嫉妬してた。私にパワーを使わせたくなかったのよね。私は空を飛べる。呪文も魔法も思うママ。そしたら、人類の出る幕ナンて無くなるモンね」
「エアリ。貴女はヲタッカーズの誇りょ」
「ヲタッカーズ?何ソレ?私がスーパーヒロインになると、アンタは私をジャドーで働かせた。自分の言いなりにするために。でも、ソレも今宵で終わりょ。私は自由になった。これからは好きにやる。秋葉原を見て。みんなが私を崇めてる。逆らう奴は許さない」
「エアリ。何を逝ってるの?」
「姉貴面しないで!アンタとは、姉妹じゃないし、血もつながってない。悲しいでしょうけど、アンタは私がいなきゃ、存在価値がナイの。耐えられないょね?ねぇ。ホントは、私が憎いでしょ?あら?泣かせちゃった?でも、言うでしょ。真実は残酷だって」
現れた時と同様、忽然と姿を消すエアリ。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
深夜のジャドー司令部。
「ムーンライトセレナーダー。エアリの様子は?」
「まるで別人です。残念ですが、何をしでかすかわかりません」
「倒すしかない。辛いとは思うけど。レイカ司令官。ジャドーの総力を挙げて秋葉原を守る時ょ」
マズいコトに、議員センセのマイカ議員がいて、深い事情も知らズに勝手なコトを逝うw
「確かにヲタッカーズは、秋葉原の命の恩人ょ。死なせたくは無い。でも、私達はヲタクを守るのが使命です。今のエアリは脅威でしかない。レイカ長官、決断して」
「仕方ないわ…特殊部隊"チーム6"を招集して。ヲタッカーズのエアリを捕獲します」
にわかに慌ただしくなる中、左右をセキュリティに固められたラズゥ博士がやって来る。
「みなさん。"人工不機嫌ニウム"の解毒剤を作ってみました。コレで、多分効力を消せると思います」
「おおっ!」
「…しかし、解毒剤というより何やら火炎放射器のような?」
火炎放射器は大袈裟だが、消防ホースに引金をつけたような物々しい武器を持参してるw
「確かに。コレは解毒剤というより"解毒光線"とでも呼ぶべきモノ。ミユリさんの体内の発電器官と直結させるコトにより、ヤシマ作戦並みの大電力の電撃を連射するコトが可能になった。効果は抜群ょ。まぁ一種の電気ショック療法だと思って」
電気ショック?!
誰もが一抹の不安を感じるが、特にメイド姿にまでなって、ラズゥ博士の発奮を促したレイカ司令官は限りなく微妙な顔をしているw
が、ラズゥ博士は何処吹く風だ←
「幸運を祈ってるわ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
いきなり…市街戦だ!
総武本線が中央通りを跨ぐ御成街道架道橋の辺りでジャドーがエアリを包囲スル!
「…もはやヲタッカーズを応援出来ません。私は彼女達を信頼できると断言した。でも、違いました。スーパーヒロインも堕落するのです…」
雑居ビル壁面の街頭ビジョンではサリアCEOが例のメッセージを繰り返し放送中。
もちろん真夜中なので誰も聞いてないが、ソレを見た不機嫌エアリがキレているw
「何ょ?この生意気なオバさん。死んで」
エアリが一言呪文を唱えると途端にビジョンは粉々に砕け中央通りに散乱スル。
「よっしゃ器物損壊の現行犯だ!ウチも出動スル!」
ジャドーの特殊部隊"チーム6"と同時に万世橋のパトカーも続々現場に到着!
「ヲタッカーズのエアリ!大人しく投降しろ!」
「お黙り、人類ども!」
「撃て!」
一斉射撃!
"チーム6"の短機関銃に加え警官の拳銃、そして秘密兵器の悪魔祓い用のロケット弾w
凄まじいまでの銃声、炸裂音の嵐!その背後でムーンライトセレナーダーが狙いを定め…
「させないわ!」
あっと思った時には、もうムーンライトセレナーダーの目の前だ…テレポート?
ギラギラした微笑みを浮かべながらムーンライトセレナーダーを首吊り絞首刑!
「さすがね、ミユリ。アンタは、いつも私の楽しみをぶち壊すわ」
「…くっ!貴女を…助けにきたのょ」
「この銃弾の嵐が、助けるって雰囲気じゃナイのょ!」
ムーンライトセレナーダーにネックハンギングツリーをキメたママ、ビルの壁に叩きつけて、一気に屋上まで引きずり上げるエアリ。
「ぎゃあああっ!」
「あら?生身のスーパーヒロインには、少しキツかったかしら?」
「お願い。エアリ、もうやめて!ミユリ姉様が死んじゃう!」
ロケット兵装備で屋上へ追ったマリレの絶叫にエアリが瞬間戸惑う。
その隙を突いて、マリレは失神したミユリの光線銃でエアリを狙う。
「ごめん、エアリ!」
失神してなお光線銃を離さないムーンライトセレナーダーに手を添えて発射!
火の玉のような真っ赤な光線弾が何発もエアリを背中から打ち抜き貫通スル!
「え?何コレ?」
撃ち抜かれたエアリの巨乳の谷間から、まるで血煙のような赤い霧が噴き出る。
しかし、ソレは直ぐに空中に舞い散り、文字通り雲散霧消し、消えてなくなる。
第4章 国民的ヲタクの誕生
ジャドーのメディカルセンター。
救命措置でエアリが目を覚ます。
「…私、人を殺しましたか?」
「大丈夫ょエアリ。誰も亡くなってないわ」
「…でも、姉様。その腕は?」
見下ろすムーンライトセレナーダー、ことミユリさんは首から腕を吊っている。
「あ、コレ?ただの骨折よ。すぐ治るわ。みなさんも」
エアリのベッドを特殊部隊"チーム6"が囲んでいるが…全員が負傷w
腕を吊り、松葉杖をつき、眼帯、包帯のオンパレードだが…笑ってる。
泣き出すエアリ。
「最悪の気分です。私、どうしちゃったの?胸にしまってたハズの醜い感情が、次々と口から飛び出して止まらなくなった。ホンキじゃありません!悪気はなかった。あんなコト言って…ミユリ姉様、みなさん。ごめんなさい!」
"チーム6"指揮官が1歩前に出る。
「エアリ。貴女はヲタッカーズだ。俺達にとっちゃヲタッカーズはかけがえのない戦友だ。ソレを忘れるな。そうだろ?ムーンライトセレナーダー」
「ありがと、隊長。ソレに、エアリは、意外と痛い真実も突いてたわ。また話しましょ?」
「みなさん、ごめんなさい」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「ブラックなエアリの言葉には、彼女の本音が隠れてた。まさか、君が僕を…」
お馴染み真夜中のパーツ通り街灯の下、言い争う恋人?ヲタクと推し?TOとアイドル?
つまり…ダマヤとマリレw
「ダマヤ。最近の私は…」
「ヤメろ。マリレは悪くない」
「でも、私達は…未だ気まずい感じょ?」
「仕方ないさ」
「ブラックなエアリを悪く言う気は無いの」
「でも、彼女の言葉には本音が含まれてた。ソレに目は瞑れない」
「今や国民的ヲタクとなったダマヤを嫌いになったワケじゃない。ただ嫉妬していたの。羨ましかった。貴方と…貴方をストレートに求めるエアリが。ダマヤ、私…」
「待ってくれ。今は聞きたくナイ。時間をくれるか?少し考えたいンだ」
「…OKょ」
暗闇に消えるダマヤ。肩を落とすマリレ。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ジャドー司令部。
レイカ司令官から報告を受けたマイカ議員は、まるで死刑宣告のように重々しく告げる。
「ヲタッカーズは、実は秋葉原にとり常に脅威だった。ずっとね。ソレを、レイカ司令官、貴女がコントロールして来たと思ってたの。でも、彼女達の本音がわかった今、もう貴女を信じられない」
踵を返し出て逝くマイカ議員。
入れ違いでミユリさんが入る。
「どうして?全てをラズゥ博士のせいにも出来たのに」
「…ミユリさん。ソレでヲタッカーズを守れるのなら、ジャドーは予算なんか要らないわ」
「司令官」
レイカ司令官は、ミユリさんにウィンク。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
サリアCEOがフト気づくと…専用バルコニーにエアリが腰掛け脚をブラブラさせているw
「エアリ?」
「秋葉原が好きなのです。あちこちの窓に灯る灯りが見えます。全ての窓の向こうにヲタクがいて…誰かを推したり、推されたり。物語がある。私にとって、秋葉原は灯り。ヲタクを助ける度に私を照らしてくれる。だから、ヲタッカーズになって私は幸せでした。今回の騒動は自分の意思ではありません。脳に刺激を受けて…でも、胸に秘めていたモノが出てしまったコトも事実。私の中の物凄く意地悪で醜い部分が出てしまった。私、何てヒドいコトを…」
「ヤメなさい。アレぐらいで、秋葉原がビビるとでも思ってるの?…ってか正直、私はかなーりビビったけどw」
「でしょうね。秋葉原を怯えさせた。もうヲタクの信頼を取り戻せないカモ」
「大丈夫などと慰めるコトは出来ナイわ。ソンな簡単なコトではないから」
「そう…ですね」
「でも、簡単ではナイけど、不可能だとは言ってナイ。反省して返り咲かなきゃ失敗した意味がナイ。モチロン、時間はかかる。でも、秋葉原の信頼を取り戻せるハズ。ヲタッカーズなら」
「もう少し、ココで休んでも?」
「モチロン…誰も突き落としたりしないわ」
おしまい
今回は海外ドラマでよくモチーフになる"スーパーヒロインの弱点"をメインに弱点を合成するマッドサイエンティスト、弱点を突かれるスーパーヒロインとTO、異次元クノイチ、秋葉原のヲタク世論を煽る巨大メディアのCEOなどが登場しました。
海外ドラマで見かけるNYの都市風景を、第2次コロナ宣言も中盤を迎えた秋葉原に当てはめて展開しています。
秋葉原を訪れる全ての人類が幸せになりますように。