表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
KYOMEX -キョウメックス-  作者: 海ひとし
6/16

第6話 主人公デビュー

お読みいただき、感謝致します。


今回はめずらしく主人公視点オンリーです。


少々短いかもしれませんが、お楽しみあれ。


あの後、キャシーから解放されて今度こそ俺は無事に帰宅した。



いろんなことがあったな。


内なる力の目覚に、異星人の存在、ロフラスク連邦、MEX、そして見知ったクラスメイトの違う一面。



あまりのことにニヤニヤが止まらん!


明日からは俺が主人公になる!!



――次の日。



俺はつい何度もシャワーに繰り返し入った。



もうウキウキが止まらん!



珍しく鏡を見ながら笑顔の練習をし、慣れない手つきで髪にジェルを塗り逆立たせる。

さらに引き出しの中にお袋の香水らしきものを見つけ、それを自身に使ってみる。

最後にサングラスをつけて学校へGO!!



なぜここまでの準備をするのかというと、今日は記念すべき主人公デビューなのだ!


確かにエイリアン云々を口外するなと言われたが、生活に変化を促すなとは言われていない。


俺の好きにやらせてもらう!



学校に近づくにつれ周りから様々な視線を感じるようになる。



おぉ、おぉ!いいね、いいねぇ!!


さては皆俺に見とれているな?


それとも俺の色気にでも惑わされてたりして…。



俺は意を決して、視線の感じる方向へ向けて不敵な笑顔を送る。すると皆一斉に俺から視線を逸らす。

これは目線を合わせないようにしているのではない。俺の笑顔が眩しすぎるから目を逸らすのだ。

その証拠に、未だに俺を見る奴がいる。本当は皆俺を見ていたいのだろう、恥ずかしがり屋共め。

たくさんの視線を感じながら俺は教室へと向かう。

正直、女子の黄色い悲鳴を期待していたけど、結局一つも出なかったのは癪だった。



俺は席につき机の上に脚を乗せ窓を眺めるポーズをする。



俺カッコいいかな?少し耳をすませてみる。



「…なんなんだろうなアレ?」


「変人が更に変人化した。」


「宇宙人にでも誘拐されてああなったとか?」


「目を合わせるな。きっと関わってはいけないタイプのヤツなんだ。」



などと好き勝手言われた。

内一つは大当たりなんだが…。

言われてみればちょっとやりすぎたかな?



「…あの、キョウくん熱でもあるんじゃないの?」



と、愛しのキャシーが控え目な生徒会キャラで俺に話しかけてきた。

とりあえず俺は立ち上がって彼女の目の前に立つ。



「気分は最高だよイングラムさん?」


「室内でサングラスをつける理由は?」


「こうでもしないと俺の眼差しが君を感じさせるからさ。こんなふうに…。」



俺はサングラスをずらすしてキャシーの目を見つめる。

彼女の目は呆れているのが丸わかりなほど半目になっていた。



「…何も感じないのだけれど?」


「本当に?」


「えぇ。」



「ナニをしているのかな君たちは?」



聞き覚えのある声を聞いたと思ったら、泉浦が俺達を睨んでいた。

泉浦はスゴスゴと俺とキャシーの間に割り込んでくる。



「いつにも増して奇抜な見た目をしているな君は。」



ちっ。また邪魔しやがって…。



「それに何だこの臭いは?臭いぞ。」



まぁ、もしかしたら香水を付けすぎた気はするが、さすがにカチンときた。



…丁度良い。コイツで遊んでみるか。



「俺とキャシーの邪魔しないでくれますか副生徒会長殿?」


「キャ、キャシーだと!?」



俺はすぐさまキャシーのすぐ傍に立ち彼女を思いっきり抱き寄せた。

周りがざわつき、念願の女子の黄色い悲鳴も聞こえてくる。



「ちょ、ちょっと。」



キャシーが何か言おうとしたが無視し、周囲から様々な声が上がる。



「なになになに!?」


「副生徒会長と変人の喧嘩か?」


「イングラムさんを巡って?」


「まさかの三角関係!?冗談だろッ!?!?」



いいねぇ、こういうの。変人キャラが突然豹変して成り上がる的なヤツ。



「…デ、デタラメを言うな!彼女も迷惑しているだろうがァ!!」



ハハッ。その調子だ泉浦ぁ。


今までの仕返しに大恥かかせてやる。



俺の超能力はさほど強力ではないが、小石程度のものを持ち上げることができるのは昨夜解った。



ならば充分。



俺は目を閉じ集中する。そしたら少しずつ、ゆっくりと泉浦のズボンのチャック(・・・・・・・・)がズルズルと下ろされていく。



泉浦のパンツは何色かなぁ?



俺の意図に気付いたキャシーが突然声を上げる。



「…アーッ!!イ、イズミウラ副会長、ちょっとキョウくんと大事なOHANASHI(・・・・・・・・)があるのでこれで。」



そう言ってキャシーが俺を引っ張りながら教室を出ようとする。



「…そんなに俺と二人きりになりたいのか。キャシーは相変わらず手が早いな。」


「るっさいッ!」



泉浦がキャシーを止めようとする仕草を見せると、キャシーの言葉で凍りつく。



「あ、あの、チャック開いていますよ?…それでは。」



ひゃーっ。ここで言うかよ普通?



そうして俺達は大勢の生徒が見守るなか教室をあとにした。




――とある体育館倉庫にて。



「どういうつもりなのかって聞いてんのよォ?」



俺はキャシーに足踏みされていた。



「今後のことを考えて、俺達が只ならぬ関係になったほうが、何かと都合が良いと思いまして。」


「私に一言も相談せずに?」


「絶対断るだろうなと思いましたんで…。」


「あたりまえよ!」



彼女は俺の胸ぐらを掴んで立たせる。



「百歩、いや一万歩譲ってアンタの提案に乗ったとして、無断で能力を使うのはどういうつもり!?」



一万歩って…。



「ちょっとしたいたずら心でして…」



キャシーが俺の腹を蹴り上げる。



「ゴッ!」


「今度から能力の使用を禁じます。これは命令よ。」


「りょ、了解。」



そして俺は解放される。



「…愛しの副生徒会長の恥を晒さずにすんで安心しましたァ?」



笑顔でそんなことを言うとキャシーがスゴイ血相で俺を睨む。



ありゃま、これは図星かな?



「そもそもあんなヤツのどこがいいんだよ?」


「逆にアンタのどこがいいわけ?」



フッ……仰るとおりです。



キャシーはそのまま出口の方へ向かう。



「放課後、本部に来るように。訓練よ。」



去り際にそう言い残し彼女は今度こそ出て行った。



フフフ…、俺は諦めないぞキャシー。お前をいつか俺好みの女にしてやるゥ!



俺も体育館倉庫を後にする。

おつかれさまです。


いや~キョウくん、やりたい放題ですね。


気付いた方もいらしたと思いますが、主人公は善人ではありません。


今後の主人公の行動に期待しましょう。


次回もお楽しみに。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ