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KYOMEX -キョウメックス-  作者: 海ひとし
15/16

第15話 カンフーカマキリ襲来

おつかれさまです。


今回は主人公のアクション回です。


お楽しみください。



どれくらいの時間が経ったのだろうか?

俺とエビカマ野郎が対峙してから大分時が経っていないのに、緊張感のせいか時間が永遠に感じた。

これが達人の境地に立った者の『時間減速現象』ってやつか?俺は達人じゃないけど。

構えを解かずに俺はそっとホルスターにある光線銃に手を伸ばす。

それとほぼ同時にエビカマ野郎が姿勢を低くして、片方のカマを俺の方へ突き出しゆっくりと円を描く。



なんだろうこの仕草?どっかで見たような・・・



俺が円に気を取られている隙にエビカマ野郎が突進し、高く舞い上がって両腕を大きく振り上げる。俺はその動きに反応して光線銃をエビカマ野郎に向ける。

引き金を引く寸前にエビカマ野郎が脚で光線銃を蹴り上げ、俺の手から光線銃が離れる。

エビカマ野郎はすかさず体を回転させ、俺に回し蹴りを入れる。

俺はビルの端まで吹き飛ばされ、咄嗟に落ちぬようビルの先端部分を掴もうとするが、勢いが強すぎて掴みきれずそのまま落下していく。

このままだと俺は地面に激突してしまう。そうならないよう側にある壁を蹴って体勢を立て直そうとすると、目の前までエビカマ野郎が迫っていた。

しかし何もせずにジッと俺を睨んだままだ。

その仕草に俺は思わず何もせずにそのまま地面に激突した。俺は、スーツ越しとはいえ背中に強い痛みを感じる。

エビカマ野郎はそのまま俺の上に馬乗りになるように着地し、俺の腹にも強い痛みが走る。

とどめとばかりにエビカマ野郎のカマが俺の胸目掛けて振り下ろされ、俺は咄嗟に両腕でガードする。いくら防御力が薄かろうが、これくらいの攻撃は防げるハズだ。

俺はがら空きだった両脚を地面に思い切って蹴る。その衝撃でエビカマ野郎は俺ごと宙を舞って、回転しながら俺から離れる。

地面に着地後、俺はエビカマ野郎から距離をとった。



強いなコイツ。



それが俺の正直な気持ちだった。

単に喧嘩もしたことがない俺が弱すぎるだけかもしれないが・・・。

これを期に俺はオペレーターの青井さんに通信を入れる。



「こちら享、敵異星人と交戦に入りました。」


『了解。敵の特徴は?』


「エビの頭部にカマキリのような腕をしています。」


『エビの頭部にカマキリ・・・・それは恐らくワクイ星系のケイマック星人です。』


「ケイマック星人?」


『MEXデータベースによりますと、高重力下で生息してきたため地球上の重力では比較的素早い動きができます。武器や捕食のために使われるカマは、人間の皮膚を容易く切り刻むことができるため極めて危険です。更に彼等が駆使する戦闘術は中国拳法の蟷螂拳に似ており、近距離及び中距離戦闘を得意とします。油断しないでください。』



なるほどね。



ここで俺は、エビカマ野郎がカマで円を描くような仕草をしていたのを思い出す。



昔見たカンフー映画にも似たようなのがあったっけ?



『逃げなさいキョウ!今のアンタじゃ無理よ。』



突然イングラム隊長が通信に割り込む。



「それがどうも、向こうは逃がしてくれそうにないんですよ。」


『なら私が来るまでなんとか持ちこたえて!』



確かに、俺なんかよりも経験のあるイングラム隊長が戦えばどうにかできるだろう。

だが少し前に隊長が要救助を保護したとの通信が入ったハズだ。

しかも後から何人もの人間を発見し、自衛隊と共に避難誘導をしているとも聞いた。

ならば俺がするべきことは、



「俺達の任務は人命救助でしょ?だったら俺なんかよりそっちの方を優先してください。」


『ッ!』


「俺が逃げれば、このエビカマ野郎がそっちへ行くかもしれないし、だったら俺がどうにかするしかない。」


『まさかまた主人公気取り?いい加減にしなさい!!』


「俺は主人公じゃない。ただの変人で・・・・・・MEXの隊員です。」



まぁ、半分くらい主人公気取りなんだけど、もう半分は真剣のつもりだ。

俺の方から脚を踏み入れたセカイだ。たまには真剣になるのもいいかもしれない。



「俺がこのエビカマ野郎をブッ倒す!!」



俺の方から一方的に通信を切り、再びエビカマ野郎もといケイマック星人と対峙する。


さて、状況を整理しよう。

相手はエビの頭で両腕がカマキリの腕をした異星人。

素早い動きを得意とし、カンフーっぽい武術を駆使する近距離及び中距離の戦闘ができる。

対して俺は屋根の上に光線銃を落とし、素早い動きとジャンプ力だけが取り得のスーツを着ている。

ほとんど使い物にならない超能力を持ち、まともに喧嘩もしたことがない素人(・・)拳法の使い手。



うん。勝てる気がしない。案外、今日が俺の命日かもな。



短い人生だった。変な形で彼女ができたけど、俺は童貞のままだ。



どうせ死ぬなら・・・・・・・・壮大に死んでやろうかァ!!



俺はケイマック星人目掛けて駆け出す。

そんな俺の行動にケイマック星人は両カマを前に出しながら体勢を低くする。

俺はその動きに気づき距離をとろうとしたが、ケイマック星人はそのままの体勢で俺に突っ込んでくる。

そんなケイマック星人に俺は素人流のパンチを放ち、見事ケイマック星人の片方のカマに手首を抑えられ、もう片方のカマの柄の部分を俺の顔面に直撃する。

同時にケイマック星人は俺の体勢を崩さんと、俺の片方の足裏に蹴りを入れる。

俺は倒れるが、その勢いを利用してケイマック星人の顔面に蹴りを入れようとするが、呆気なくかわされる。結果、俺は仰向けに地面に激突した。

そんな俺にケイマック星人はカマを振り下ろすが、俺は体を回転させてそれを避け、続けざまににカマが連続に振り下ろされるが、それら全てをなんとか避けきる。

回転中、タイミングを見て俺は地面を蹴って宙に舞い距離をとろうとする。そんな俺に近づき両カマで掴みかかるケイマック星人。

地面に降り立ち、俺を掴むケイマック星人の力が増していく。俺は一瞬自分の体勢を低くし、勢いよくケイマック星人の顔面目掛けて頭突きをする。

よろめいたケイマック星人に俺はチャンスだと思い、すかさず両脚の間(・・・・)を壮大に蹴り上げるが、ケイマック星人は俺の行動にただ首を傾げるだけだった。



し、しまった!コイツ等に金的があるのかどうか確認し忘れた!!



それでも、ケイマック星人の体勢はよろめきを増したので、結果オーライと思うことにする。俺は距離をとり、俺が突き落とされたビルの屋根目掛けて再び飛び上がる。

ケイマック星人は先程とは少しスピードが落ちながらも、俺の後を追う。



ちゃんとついて来いよ?エビカマ野郎。



屋根の上まで来た俺は少し離れたところに光線銃を見つける。光線銃の方へ手を伸ばしながら俺は念動力を発動して、光線銃を俺の方へと飛ばす。

背後を見るとケイマック星人が追いつき、俺に飛んでくる光線銃目掛けて突進していく。



かかったァ!!



ケイマック星人が俺のすぐ側まで来ると俺は念動力の発動を止め、思い切って回転蹴りをケイマック星人に食らわす。



スピードやジャンプ力が高いということはキック力が高いということ。



俺はこの考えに賭けた。結果、ケイマック星人は俺の蹴りをモロに喰らい、屋根の上を壮大に転げ回る。



なんとかなるかもな。



俺はそう思い、光線銃を拾う。ケイマック星人は力が大分弱まったのか、ヨロヨロと立ち上がる。

この分だと俺を追う力も弱まったハズだ。人命救助が任務なんだから、コイツを無視して離れても良いのかもしれない。

そう思って俺はケイマック星人に背を向いた瞬間、背中に刃物で切り裂かれたような鋭い痛みが走る。

俺はよろめきながら振り返ってみると、ケイマック星人は一歩も動かずにいたが()()()()()()()()()()()()()()



き、切り札は最後までとっておくってヤツ……か?



油断した。


俺がその場でひざを突くと、ケイマック星人が突然雄叫びを上げた。



「ま、まさか・・・」



俺を囲むように別個体のケイマック星人が多数現れた。コイツが単独じゃない可能性も考えていたが、心のどこかで単独なのだと決めつけていた自分に苛立ちを覚える。

そうこうしているうちにケイマック星人達はジリジリと俺との距離を縮めていた。



まいったな、ホントに今日が命日なのかもな・・・・。



そんな考えと共に、突然の騒音と土煙が俺の周囲に発生した。土煙のせいで視界が無くなり、しばらくすると煙が晴れてきて聞き覚えのある声がした。



「・・・我が恋人ながら情けないぞ?」



あぁ、そういえば今の俺にはチートな恋人がいたんだっけ。



「ともあれ、無事で安心したぞフクオ。」



マジ惚れ惚れしちゃうよ。いっそのこと本気で恋人になろっかな?



視界が晴れ、目の前にはボロボロになりながらも紫電ZEROを装着した、黒髪ロングの和風美人が宙に浮いていた。



「ワタシの恋人に手を出した罪、とくと思い知れカマキリどもォ!!!!」



『恋人』白雪桜月、怒涛の見参!!



お読みいただき、感謝致します。


正直、バトルシーンをちゃんと書けたかどうか不安です。


次回もお楽しみください。

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