追えないゴミ
何気なくポケットに手を突っ込む。
そこには飴玉が入っていた。
友達のサトシがくれた飴玉だ。
元気がなくなったら舐めてね。
そうサトシに言われていた。
少し口が寂しくなったので、舐めることにした。
縦に包装紙をちぎって、口の中に入れた。
すると、手からすり抜けるように包装紙が飛んでいった。
友達から包装紙を保存しておいてほしいと、言われていたことをすっかり忘れていた。
僕は追ったが、追えないくらいの速さで飛んでゆく。
走っても走っても、遠ざかる包装紙。
もう追えないと諦め、足を止めた。
飴玉を舐めてから、確かにかなり元気になった。
でも、飴玉のせいで、疲れは前より酷くなった気がする。