俺の初恋の相手「不思議の国のアリス」 ~前編~
「りょーすけーそこのマンガ取りなさーい」
いや、ここはお前の家ではないんだが…
今、俺の家には"不思議の国のアリス"が居候している。
あーあ、俺の初恋の相手だったはずなのにな…
それは、2週間前のこと…
俺は絵本が大好きだ。
姉貴がいるのもあってか幼少の頃からよく読んでいたからだろう。
特に好きだったのは「不思議の国のアリス」だった。
それは高校に入っても変わらなかった…
そのせいでか変人扱いだった。
まぁ仕方ないと思っていたし、
それに俺の好きな人いや、初恋の相手は正真正銘「不思議の国のアリス」なのだから。
そんなある日の
「りょうくーん!帰りますよ〜」
あ、俺の名前は深津涼介だ。
「おっけー今行く」
こんな風ないつも通りの放課後の事だった。
「あのねー今日花ちゃんにお菓子もらってね〜はい!りょうくんにも分けてあげるね♪」
「おーサンキュ!」
あ、心配しないでくれ。
この会話だけを読んだり、聞いたりするだけだとコイツが可愛いお・ん・な・の・こみたいに聞こえたり思ったりすると思うが、
コイツは正真正銘のお・と・こ・の・こだ。
立花唯、俺の幼なじみだ。
名前の通り(?)いろいろ女っぽく女子人気が高い、ちょくちょくお菓子もらっただの、ネイルしてもらっただのという話を聞く。
「りょうくん今日も?」
「あぁよろしく頼む」
さらに成績もとてつもなく優秀なため、ほぼ毎日勉強を見てもらっている。
「じゃあ、待ってるね」
「おう!」
唯の家に着いた時だった。
―ガサガサッ
「ヘェェ!?」
突然の物音に唯が奇声を発する。
「今って草むらからの音だよなぁ?」
「た、たぶん…」
まぁどうせ野良猫か何かだろうと思って覗いてみることにした。
「…」
「どうだった?」
あ、うんうん金色の猫だ、そうだそうだ。と、いうかそう言うことにしよう。
「どうだったのりょうくん?」
「今ってすげーな唯〜金色の猫がいるんだぞ〜」
「って、私猫じゃねーから」
あれ?唯とは違う声がするゾーなんでだろーまーいーやーこーゆう時は…
「んじゃぁすぐ来るからぁぁぁぁぁぁー」
全力を尽くして俺は家に帰宅をした。