おまえ追放されたんだろ?俺たちとパーティ組まないか?
ちょっと最近単調な追放ものが多すぎだろJK。
というわけで普段は読み専の自分ですが、
カッとなってつい書いた。後悔しかしていない。
「パーティから抜けてくれ」
唐突に勇者から俺に告げられた。
いきなりのことなので俺は衝撃を受け、動揺した。
「なんで急に抜けろって!今までずっと一緒に頑張ってきたじゃないか!」
いきなり抜けろって言われても、はい、そうですかなんて納得できるわけがない。
俺たちは魔王を倒しにいく4人組の勇者パーティだ。
メンバーは異世界から召喚された勇者。
俺の同い年で幼馴染で結婚の約束もした魔法使いの少女。
教会から派遣された聖女。
そして主に支援や補助のバフをかける俺の4人組だ。
これまで苦難を共にし、強敵とも戦いレベルもみんなかなり高い。
勇者とは親友だ。異世界から召喚され何も知らず右往左往してたところ、
俺が国から付き人として付けられ仲良くなった。
俺が幼馴染とイチャついてたら「リア充爆発しろ!」とよくわからないことを言ってくる。
顔もイケメンで勇者の称号もあるためモテモテである。
俺も「てめーが言うんじゃねえよ!」と言い返すほど仲が良かったはずだ。
勇者だけあって聖剣を使いこなしとても強い。
そんな勇者が言った。
「もうおまえは足手まといなんだよ。これからの戦いは、おまえを守りながら戦うなんてできない」
……たしかに俺は支援や補助系の魔法しかできないし守られてみんなの負担になっているのを自覚していた。
だがそれでも一緒についていきたかった。だから雑用ややれることは頑張ってやってきたつもりだ。
「確かに足手まといだったかもしれないけど……。でも俺だってやれることを頑張ってやってきたんだ!」
そう言ったとき幼馴染が言った。
「……もういい加減にして。貴方とはここでお別れ」
一瞬何を言われたのかわからなかった。
幼馴染とは相思相愛だと思っていた。
ぶっちゃけ肉体関係もあるし将来も誓っていた。
魔王を倒したら結婚するつもりだった。
昨日まで盛りまくってた。
それなのに彼女から冷たい、初めて聞く声で言われた。
「なんでそんなこと言うんだよ!俺達結婚するはずだろ!」
「……もう貴方とは結婚できない。……さよなら」
そう言って彼女は俺から背を向け離れていった。
「ちょっと待てって!どういうことだよ!ぐはっ!」
追いかけようとしたところ勇者に阻まれた。
「邪魔だ!そこをどけ!」
「おまえとはここでお別れだ。帰りの路銀は渡してやる」
そう言って路銀の入った袋をこっちへ投げ飛ばしてきてぶつけられた。
勇者の腕力のため、その威力は高く、俺は吹き飛ばされた。
「もうついて来るな。もしついてくるなら……斬る!」
そう言って聖剣を喉元に突き付けられた。
勇者の顔は真剣だった。やるといったらやる凄みがあった。
俺は聖女の方を見たが、彼女は首を横に振るだけだった。
普段は感じないようなとても怖い怒気を放っている。
……くそっ!なんてやつらだ!今まで仲良くやってきたのはなんだったんだ。
泣きたくなったが男の俺は涙は浮かべるわけにはいかなかった。
……もうこいつらとの冒険は終わりなんだな。
寂しくなったが決裂したんじゃ仕方ない。納得できないが仕方ない。
「わかった。俺は街へ帰る。」
「……もうおまえは自由だ。さっさと行け。絶対ついて来るなよ」
勇者が念を押してきた。
これは押すなよ!絶対押すなよ!のことかと一瞬思ったがそんなノリじゃないことは流石にわかる。
俺は失意のうちに街へ帰っていった。
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路銀は結構余裕があった。
街には帰ったが俺は何もする気が起こらず、ずっと宿に引きこもっていた。
「なんでなんだよ……」
勇者にも幼馴染に対しても納得できなかった。
ただただ今までのことはなんだったんだろうかと虚しくなった。
結婚のために貯めたお金があったが、それを使って酒に溺れる毎日が続いた。
約一か月後に魔王が勇者に討伐されたと知らせが入った。
それと同時に勇者たちが帰らぬ人となったことも。
「くそっ!」
やけに苛立たしかった。
俺にお客だと連絡が入った。
仕方なく出るとギルドの俺達の担当していた受付の女だった。
「勇者様たちから自分たちに何かあったとき、貴方へ手紙を渡すように頼まれていました」
こちらを問い詰めるようなきつい眼差しで手紙を渡してきた。
「では、私はこれで」
そういって出て行った。
手紙は3通あった。
勇者と幼馴染と聖女の三つだ。
これに答えが書いてあるのだろうか。
少し躊躇したが読むことにした。
まずは勇者からの手紙。相変わらず汚い下手くそな字だ。
『よぉ、元気に生きてるか?寂しくて酒に溺れてないだろうな?俺達以外おまえ友達いないだろ?』
うるせえよ。心の傷えぐってくるんじゃねえよ。
『置いて行ったのは悪かったな。俺おまえにすっげぇ世話になったし死なせたくなかったんだよ。それに俺異世界人じゃん?もう前の世界に戻れないだろうし死んでも問題ないじゃん』
問題あるに決まってんだろ。このバカタレが。残される側のことを考えろ。
『もうあと魔王を倒すだけだったんだが、どうしても今の力じゃ倒しきれないだろうと思っててな。そんなとき切り札となる聖剣のスキルが使えるようになったんだ。そのスキルの名前は「サクリファイス」。使用者とその周りの命を犠牲に超強力なダメージを与える自爆スキルだった』
……そんなスキルのことなんて聞いてないぞ。
『できれば使いたくなかったんだが、今の魔王の勢力にかなり押されている現状、もう時間がなかった。おまえを連れて行ってもよかったんだが、もしこれで魔王を倒せなかった場合のことも一応は考えたのさ。おまえには自覚なかったかもしれないがおまえの能力はかなり強力だ。でもまだ今じゃ魔王を倒せるほどの力ではない。だが鍛えれば魔王をおまえだけで倒せるかもしれない。だからおまえを保険で置いて行ったんだ』
へ?俺ってそんなに強くなれるのか?
『これが理由だ。じゃあな!俺達が駄目だったら後は任せた。よろしくな!親友!』
……気が付けば俺は泣いていた。ほんとあいつはバカタレだ。
……次に幼馴染の手紙を読むことにした。
『あんたと私がマッスルドッキングしてできた娘が実家にいる。私の代わりにファッ〇していいぞ』
こいつは昔からぶっとんでたが何をいきなり言い出してんだよ!
『実は1年半ほど前に不治で死に至る呪いを受けた』
ファッ!?聞いてねーぞ!
『あんたに相談したらあんた絶対に死ぬほど無茶するだろうから勇者や聖女に相談した』
……自覚あるけど相談しろよ。
『私が死んだらあんたも悲しんで死ぬかもしれないと思い、私は考えた。
【よし!子供を仕こもう!】と。で、あんたに精力剤モリモリ食わせてあんたから搾り取った結果、娘がデキタ。やればデキル!私すごく頑張った!ブイ!』
……たしかにそんな記憶がある。もう勘弁してくれというぐらい搾り取られたな。
『で、こっそり実家で産んで来て親に預けた。お金も一生分困らないぐらい渡してあるから大丈夫。ちなみに名前はまだない。できればあんたにつけてほしい』
……ほんと俺に相談しろよ。こいつは。
『あんたと死ぬまでの間、イチャついて子作りして過ごすことも考えたが、私の綺麗なパーフェクトボデーがどんどん失われていって愛想をつかされるのが怖かった。だから魔王を倒すために残りの命を使うことにした。あんたは平和になった世界で娘を育ててほしい』
なにがパーフェクトボデーだよ。胸は平坦だったじゃねーか。
まったく娘を育てろとか全部勝手に決めやがって。
『死んでもあんたを愛してる。私がいなくなっても浮気は許さない。だから娘を私の代わりにファ〇クしていいぞ。できないなら代わりに妹をフ〇ックしていいぞ。』
……娘や妹を勝手に捧げんなよ。こいつは。
『さようなら愛しき人。生まれ変わってもあんたにまた会いたい』
号泣した。
……ほんとバカだな。俺もおまえも。こんなに愛されてたのに信じられなかったなんて。
『PS. 別れる前にやりまくってあんたの成分を吸収することをあらためてここに宣言する!』
……バカなのはおまえだけかもな。
落ち着いてから最後に聖女の手紙を読むことにした。
『この手紙を貴方が読んでいるということは私たちはいなくなったということでしょう。
とても、そう!とても有能な貴方をパーティから外すと相談されたときの気持ちはなんと表現したものか。
むしろこのパーティの中心は貴方なんで外すとかマジありえねぇ。』
……聖女は俺のことをすごく評価してくれてたんだな。でもなんか言葉遣いが?
『貴方がいなくなった負担が全部私にくることは確定的に明らかでした。だから私は勇者と幼馴染さんにずっと抗議してました。勇者は戦うことしか能はねえし、幼馴染さんは貴方成分が足りないとかで役立たずになるのが目に見えてましたから。もうほんっとありえない!』
お、おう。勇者と幼馴染についてはほんと済まない。
『まぁ、後は魔王を倒すだけなんで頑張りますけどー。でも貴方!幼馴染さんとイチャイチャしすぎ!私のこともちったあ考えろや!』
む、今度は俺かよ。いや、確かにすまんかったけど。
『私は聖女なんで処女じゃなくなると魔法使えなくなるんです。でも私だって素敵な男性と仲良くなりたいんです。恋だってしたかったんです。勇者は顔はいいけど戦うしか能ないし。貴方や勇者に紹介してくれって頼んで出会っても全然いい男じゃないし!。それなのに貴方と幼馴染さんは一目憚らずイチャイチャギシアンしやがって。爆発しやがれ!羨ましい!』
お、おう。正直すまんかった。
『じゃあ、私たちが駄目だったら後は頼みましたよ。貴方にはそれだけの潜在能力ありますから。はぁ、結婚したかったな。』
……聖女さん最後まで大変だったんだな。
でも俺ってみんなからちゃんと信頼されてたんだ。
もう、みんなには会えないんだ。はぁ、寂しくて。。。とても。悲しい。
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手紙を読み終わった。
なんか外から人の声が聞こえる。誰かが来たようだ。
と思ったら「あんたーーーーーーー!!!!」って声と共に入り口の扉が吹っ飛ばされた。
そのあと俺にちっさい娘が突撃してぶつかってきた。
「ずっと会いたかった!もう離さないし離れない!」
そう言って俺をぎゅっと強く抱きしめるちっさい娘。
涙と鼻水だらけだがよく見ると幼馴染?だった。
なぜか小さくなってるけど。
「アイエエエ!生きていた!?ナンデ?え?だって帰らぬ人になったって!?」
後ろからニヤニヤした顔をしながらちっさい勇者とちっさい聖女が現れた。
「幽霊じゃないし、兄弟とかでもねえぜ?」
そうちっさい勇者は言った。
「どういうことだ?」
そう聞いたつもりだったが俺は動揺して泣いてたからちゃんと言葉になっていたかわからなかった。
「実は聖剣スキルのサクリファイスなんだが、魔王の命も吸収してたらしくてな、そのせいで命までは取られなかったらしい。で、命までは取られなかったが代わりに数年分生きていた時間を取られたみたいだ」
ちっこい勇者が答える。
「そうか!そうがぁ!よかった!ほんとに生きててよがっだ!!!」
俺も涙と鼻水でいっぱいだったようだ。
勇者も聖女も泣いている。
……涙が止まり幼馴染と俺が落ち着くまでに少し時間がかかった。
「そうだ!幼馴染の呪いはどうなったんだ?」
気が付いて慌てて俺は聞いた。
「ふっふっふ。魔王を倒したらエリクシールが手に入った。そして私復活。これぞ愛の奇跡!」
幼馴染がドヤ顔しながら答えた。
「よかったなぁ……」ホッと俺は安堵した。
ご都合主義万歳!
「だ・か・ら!2人目を作ろう。今から作ろう。ハリー!ハリー!」
襲い掛かってきた幼馴染を巴投げする俺。
「……それは後でな」
「夫婦漫才は終わったか?」
勇者が言ってきた。
「ああ、とりあえず懸念事は全部解決したな。ハッピーエンドでなによりだ」
「まったくだな。ところでちっさくなった幼馴染と結婚するのは事案じゃないか?ロリコン」
「だれがロリコンだ。……結婚。幼馴染が大きくなるまでもうちょっと先になるかな……」
俺のその言葉を聞いてニヤリとする聖女。
こいつ恋愛事になると性格悪くなるな。美人なのにモテないのこのせいじゃないか?
そんなことを考えると微笑みを浮かべながら目は笑ってない聖女から冷たい視線が飛んできた。
俺は何もカンガエテマセンヨー。
「もう出来て産んでるから大丈夫だよ。できちゃった婚じゃなくてもう産んでるし家族の許可も出てるし」
復活した幼馴染が言った。
残念そうな顔をする残念聖女がいた。
「それはそうと!」気を取り直すように勇者が言った。
「魔王倒したし、俺もう勇者やめて冒険者やるんだ!ちっさくなったから誰も勇者だとわかんないしな!」
確かにこれで勇者や聖女だとわかるやつは少ないかもしれない。
「私もこれで普通の女の子になれます。そして素敵な恋をして素敵な男性と結婚するんです。肌年齢も若くなってぴちぴちですし、もうバッチコーイです。」
残念聖女が言った。
「私は今までどおりあんたとイチャラブするよ。で、たくさん子供つくろう!」
幼馴染の言葉にチッと舌打ちする残念聖女。
「で、だ」勇者が言った。
「おまえ追放されたんだろ?俺たちとパーティ組まないか?」
追放したのおまえらだろと心の中でつっこみつつ、俺は笑顔で頷くのだった。
俺「手紙読み終わるまでおまえら待ってたろ?」
勇幼聖「当たり前じゃん」
書いてる途中で幼なじみのキャラが崩壊し、聖女は残念聖女になったでござる。小説は現実よりもまた奇ですね。
そして意図的に書かなかったこと。
【悲報】俺氏結婚前にパパになる【嫁はロリ】