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Take It All!~異世界転生でチート級の超絶イケボに!冴えない営業マンが勘違いで伝説の英雄を掛け持ち美少女ハーレム無双? だけどスマホの充電がきついっす~  作者: 硫化鉄
第二部 水の章

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第七十話 再会、反撃、そして峻拒。

 おおおおお! ガイオウ! なんかお久しぶり!


 40話ラストで水没して以来だからもうかれこれ30話ぶりだった。正確には69話ラストでの復活だから29話ぶりか。


 海中深く沈んでいたと思っていたが、グランデ・トルチュの中にあったらしい。飲み込んでいたのか、俺達同様口の中においてあったのかはわかんないけど。


 今にして思えば、最初ガイオウと緑の鎧はグランデ・トルチュが出していた頭だか尻尾だかの上に乗っかっていたんだろうな。あの時の地震はグランデ・トルチュがその頭だか尻尾だかを引っ込めた時の振動だったんだろう。それで二つの鎧は沈んで行ったという訳だ。

 グランデ・トルチュよ、拾っておいてくれてありがとう。


「シェリー、行けるか?」


 俺は、立ち上がるマスク野郎達の魔操鎧から目を離さず声をかけた。


「うん、おにいちゃん」


 シェリーが静かな声音で答える。さぁ、反撃の始まりだ。


「サヤ、ティティ、その人のこと、頼んだぞ!」


 俺は改めてサヤたちにセレンを託し、ガイオウに乗り込んだ。いやー、なんか久しぶり。

 スマホを拡大してパネルにセットすると、ガイオウは圧倒的な力感を持って立ち上がった。

 かっこいいぞガイオウ! ……小さいけど。


「マスク様! あいつらの鎧が!」


 【気色悪いA】が悲鳴に近い叫び声を出した。

 そう言えば俺はあいつらと魔操鎧同士の戦闘をしたことはない。一回素手の俺に完全に負けて、二回目以降そばにも寄れなくなっていたあいつらだ。その俺が【神の鎧】に乗り込んだとなれば相当の脅威だろう。やーい、ビビッてんじゃねーよ。


「案ずるな! 神の鎧と言えども数ではこちらが圧倒している! それに、この水のフィールドで、あいつらに何ができると言うのだ! 我々には水の魔操鎧がついているのだぞ!」


 マスク野郎が【気色悪いA】を叱咤した。が、なんかねえ。自分を奮い立たせる為にキャンキャン吼えてるような感じなんですけど。


 とは言え、連中の戦力は脅威ではある。こっちには守らなきゃいけないものもあるからね。


 ニミュエが俺達の味方なのは間違いなさそうだが、三人がそれぞれ敵のペアを相手にするのは避けた方がよさそうだった。とりあえず生身のサヤ達に手を出させないためにはそれしかなかったが、それぞれが2対1では突破される危険も高い。だとしたら。


 やはり【緑の鎧feat.ガイオウ】に合体するのが一番よさそうだった。無数のアイビー・ウィップを使えばサヤたちを守れるだろうし、奴等を一気に殲滅することだって出来るかもしれない。

 俺はコンマ二秒でそこまで考えると、叫んだ。


「シェリー、合体だ!」


「うんっ! おにいちゃん!」


 ガイオウと緑の鎧がお互いに向けて走り出した。


 二体の【神の鎧】は真正面から衝突し、仰向けにぶっ倒れた。






 ……え? マジ? どゆこと?


 俺はとりあえずガイオウを起き上がらせた。うーん。何度確認しても合体してないな。


「おにいちゃん……?」


 シェリーも完全に途方にくれている声だ。あれ? 前に合体した時はどうやったっけ?


 そういえばあの時は無我夢中だった。シェリーをかばおうと必死になってたら、いつの間にか合体してたんだ。ううむ、具体性がかけらもない。


 とは言えあの時を再現するためにシェリーを危険な目に遭わせるなんてわけにはいかない。さぁどうしたものか。


「なぁにやってんだか!」


 小馬鹿にした声でそう言うと【わかりやすい単純クソアホ悪役B】が俺達に向かって銃をぶっ放した。ガン! という音が響き、ガイオウの頭を直撃する。だがガイオウは無傷だった。いやはやさすが頑丈だ。


「カイ様! シェライアさん!」


 サヤ達を守りながらニミュエが叫んだ。鬼気迫る声だ。さすがに一機では守りきれないという焦りだろう。なんとか攻勢に出る方法を考えねばならなかった。防戦一方ではジリ貧だ。


 水の民の魔操鎧には弓のような飛び道具が装備されていた。って事は、敵は飛び道具持ちが六機。こちらには飛び道具持ちが一機と鞭持ちが一機、そして殴るしか能のないガイオウ。やべえ、全く勝てる気がしない。


 距離を取られると手も足も出ないガイオウをどう使えばいいのか、と俺がもたもた考えている間に、シェリーはアイビー・ウィップを使ってサヤ達を狙う【わかりやすい単純クソアホ悪役B】機を牽制していた。その分自由になったニミュエ機が弓を使って反撃に転じている。何の役にも立ってないのは俺だけだ。


 いや、そんなバカな事があるもんか。


 俺はそう思いなおして、ついでに考えるのをやめた。こちとら頑丈で力持ちなガイオウ様だ。届かないなら近づけばいい。


「シェリー、ニミュエ! サヤたちは任せた!」


 なんか任せっぱなしな気もするが、俺はそう叫ぶとまっすぐにマスク機に走った。およ? 結構速い。前に乗った時は殴られ続けながらだったからわかんなかったけど、本気で走ると相当速いぞ。


「マスク様! 白き鎧が……!」


 ディーノが言い終わる前に、ガイオウは一気に距離を詰め、マスク野郎の【静脈付き】の目の前|(いや、目の下?)にいた。


「うぉぉおらぁああああっ!」


 走りこんできた勢いのまま右の拳を突き出す。大きさが違いすぎるためボディには届かず、ガイオウ渾身の拳は【静脈付き】の左太腿を直撃した。


「な……何っ!?」


 悪役幹部テンプレな、しかしかなり間抜けな声を出しながら後方に吹っ飛ぶ【静脈付き】。ディーノの魔操鎧に助けられて立ち上がるが、左脚が完全に動かなくなっていた。うーん、ヤツの機体も充分頑丈だな。手応え的には脚が千切れ飛んでもおかしくなかったんだけど。


 とりあえず移動不能になったマスク野郎はほっといて、俺はサヤたちを守って交戦中のシェリー達に向かって走った。


 合体している時と違ってアイビー・ウィップは二本しか使えないようだったが、シェリーとニミュエはうまく連携して戦っていた。アイビー・ウィップで効果的にサヤたちを守り、ニミュエの射撃で攻撃をかける。

 【気色悪いA】のコンビも加勢して4対2になっているのに互角に戦えていた。すげえ。


 俺は渾身の力を込めて【わかりやすい単純クソアホ悪役B】の脚部にショルダータックルをぶちかました。軽々と吹っ飛ぶ【わかりやすい単純クソアホ悪役B】。途中にもげた左脚が転がった。【静脈付き】程の強度はないらしい。


「おにいちゃん!」

「カイ様!」


 シェリーとニミュエが同時に安堵の声を漏らす。近づいてみると、シェリーの鎧は無傷だったが、ニミュエの鎧はところどころ破損していた。多分どちらも被弾はしているんだろうが、神の鎧の頑丈さは桁違いだと言うことだろう。


「カイ様! 恩人の方が……!」


 背後でサヤの声。振り向くと、セレンが身を起こしていた。やっと気がついたか。セレンが青の鎧で加勢してくれると言うのは難しいだろうが、これで守りやすくはなる。


 セレンはあたりを見回して、はっとした顔になっていた。水の民の魔操鎧が四機もいるのだ。水の民に捕まって幽閉される事を極度に恐れている彼女にとっては、悪夢のような光景だろう。


「ニミュエ! 頼みがある!」


 俺はセレンとニミュエ機の間にガイオウを立たせ、言った。


「彼女を、セレンを見逃してやってくれ! 彼女は……!」


「……やはり、そうでしたか。彼女は水の民の……」


 ニミュエの声は沈んでいた。


「申し訳ありません、カイ様。いくらカイ様のご希望でも、それだけはお受け致しかねます」


 ニミュエは静かに、しかしきっぱりと、俺の申し出を断った。



 セレンの危惧は、事実だったのだ。

次回予告。


シェライアだ。


彼女を見逃すわけにはいかないと言うニミュエ殿。

そこまでしてセレン殿を幽閉しなきゃならない掟とは一体何なのだ!?

意気消沈する私達に、マスクの超兵器が狙いをつけていた。


次回、Take It All! 第七十一話

「掟。」お楽しみに!



おにいちゃんはセレン殿の呪縛を解き放つ事が出来るのか!?

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