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Take It All!~異世界転生でチート級の超絶イケボに!冴えない営業マンが勘違いで伝説の英雄を掛け持ち美少女ハーレム無双? だけどスマホの充電がきついっす~  作者: 硫化鉄
第二部 水の章

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第五十五話 ミュウにおまかせ。

「うぅ……」


 ガラス張りの壁にへばりついたまま、そのままずるずると滑り落ちていくミュウ。だから言わんこっちゃない。調子に乗りすぎだ。


「つうか、その格好じゃ潜入するのに目立ちすぎるだろ。もっと目立たない格好に……」

「うっさーーーーい!」


 鼻を真っ赤にして痛がりながらも飛び蹴りを放ってくるミュウを俺はバシッとキャッチした。そりゃそうだ。いつもの不意打ちと違って距離がありすぎ。余裕です。


「くぅぅ、放せエロボス~!」


 じたばたと暴れるミュウ。全くもってうるさすぎる。


「あのなぁ。潜入調査なんだぞ。ちゃんと周囲に気を配ってだな……」

「うるさいうるさーい! いいでしょ! ちゃんとやるもん! できるもん!」


 お前はだだっ子か。

 とにかくこのうるさいのをなんとかしないとな。


「俺はお前を信頼して任務を任せたんだ。それなのにそんなに騒ぐなんてな。わかるか? 潜入調査ってのは隠密行動なんだ。慎重に行動する事ができないんじゃあ……」


「隠密……行動……」


 ミュウは俺の言葉を鸚鵡返しになぞった。そして、突然、表情がぱぁっと明るくなった。


「隠密行動!!」


 ……なんかいやな予感がする。


 ミュウは俺の手から抜け出すとスマホの中に戻り、着替えて出てきた。


 うん、皆さんご想像の通り。くのいち装束です。はい。それもね、全身を隠す忍び装束|(覆面あり)のタイプじゃなくて、むしろ思いっきり露出の激しい「いかがわしい系」のくのいち装束だ。脇なんかもざっくり開いてて横乳見えてるし。


「思いっきり隠密するでござるから、お頭は安心するでござるよ。にんにん」


 ミュウはまだ赤い鼻のまま、ドヤ顔で言った。やっぱこいつ、何か誤解してる。まぁ、ツッコんだ所で時間が無駄になるだけだし、スルーするか。


 俺はミュウに手招きして、部屋のドアを開けた。部屋の前には昨日とはまた違う少女が待機していた。


「おはよう。ちょっと今打ち合わせしてるとこなんだけど、何か飲み物もらえるかな? 三人分」


 と声をかけて注意を引く間に、ミュウは天井付近をすーっと飛んでいった。少女には気付かれてない。うん、隠密隠密。


「……ったく、世話の焼ける……」


 ドアを閉めて二人を振り返ると、サヤもシェリーも、キラキラした目で俺を見つめていた。な、なんだ、どうした?


「隠密……かわいい……!」

「シェリーも、潜入調査の服、着てみたいな……」


 どうやらミュウの偏った趣味が、二人にクリティカルヒットしたようだった。


 いやね、そりゃ俺も出来れば着せたいですよ。サヤのくのいち装束とか鼻血もんだろうし、シェリーのボディスーツは……うん、ギャップ萌えしそうだし。コアなファンへの訴求力は尋常ならざるレベルだろう。


 個人的には是非とも見てみたかったが、さすがにオーディションの審査員がそんな格好なのはまずいだろ。

 俺は心の中で号泣しながら、なんとか二人を説得した。


 ……いつかプライベートで着てもらおう。





 昼食は、ディーノとニミュエを交えたランチミーティングだった。と言っても、ほとんどが水の民側からの報告だ。


「本日午前中の捜索では、まだ鎧は見つかっておりません」


 ニミュエが申し訳なさそうに頭を下げた。まぁ、ある程度範囲が決まっているとは言っても海は広いからね。


「発見次第引き上げ作業に入れるよう手配を進めております」

「感謝します。お手数をおかけしますが、よろしく頼みます」


 ニミュエの報告に、シェリーが簡潔に答えた。

 まぁね、そんなにすぐに見つかるとは思ってなかったけど。でもあんまり長引くようだと困るなぁ。早めに操者が確認できちゃったら、その後引っ張るのが大変だ。


「それでは、例のオーディションの件ですが……」


 ディーノがそう言ってニミュエを見た。ニミュエはうなずいて、ファイルを広げた。


「既にオーディションのタイムスケジュール等の準備は終わっており、告知も済ませております。後は先生方の審査にお任せすると言うことで」


 ニミュエはファイルをざっと確認して言った。


「よろしくお願いします」


 ディーノが頭を下げた。ってゆうかお前、ニミュエに任せすぎなんじゃないか? 仕事しろし。


「ちなみになんですが」


 ディーノが瞳をキラキラ輝かせて俺を見た。なんか最初に会った時よりも声が高くなってる気がする。やっぱこいつホ○か。


「私は本日最後の組、ニミュエは明日の組で挑戦させていただきますので、よろしくお願いします」


 ディーノは相変わらずの上ずった声でそう言ってまた頭を下げた。何だこいつ。審査に手心を加えて欲しいって事か。


 その空気を感じたのか、ニミュエが一瞬信じられないという表情でディーノを見た。シェリーはキッとした表情でディーノを見ていた。サヤはディーノにつられたのかお辞儀を返していた。


「楽しみにしておくよ。こちらこそよろしく」


 俺はむしろニミュエを見ながらそう言った。


「ただし、操者を決めるのは俺じゃない。青の鎧だ。俺はただ、その選ばれた者が誰なのかを見極めるだけに過ぎない。そこだけは間違えないでくれ」


 俺はそう続けながらディーノに視線を移した。ディーノは相変わらずキラキラした目で俺を見ている。ちゃんと伝わってんのかなこいつ。


「じゃあ、あとは俺達で打ち合わせしておくからよろしく頼む。15時に会場だったよな。迎えは来てくれるのかな?」


 俺の問いに、ニミュエが時計を確認した。13時少し前。まだ少し時間がある。ミュウもそろそろ戻ってくるはずだ。


「わかりました。では二時間後に迎えをよこしますので、よろしくお願いします」


 ニミュエが立ち上がりお辞儀をした。有能な女性秘書キャラクターが自然に違和感なく身についていた。きっと本人そのものが有能なんだろうな。





 ディーノとニミュエが部屋を去ると、程なくしてミュウが帰ってきた。


「お頭! 潜入調査成功でござる! にんにん」


 ……不安しかない。


「で? 調査結果はどうなんだ? 連中はどんな審査を想定していた?」


 シェリーとサヤも身を乗り出してミュウの報告に耳を傾けている。


「そう焦らないで欲しいでござるよ。スマホにデータ移すから待って欲しいでござる。にんにん」


 こいつ、いつまで続けるつもりだ。


 ミュウは手で印のようなものを結び、「にん!」と一声発してスマホの中に消えた。あーもうめんどくせえなこいつ。


 再びスマホから出てきた時には、もういつもの服装に戻っていた。サヤがちょっと残念そうな顔をした。マジか。マジで着たいのか。


「で、報告はスマホのデータを見ればいいのか?」


「そ。みんなで見られるように画面おっきくしといてね」


 ミュウはそう言うと俺の頭の上に座った。俺はスマホを引き伸ばして、「ミュウちゃんの極秘指令ファイル」と名前のついたアイコンをタップした。



 思いっきり手ブレの激しい動画が始まった。こいつ、カメラ構えて飛んでたのか?


 映っているのは体育館のような広い空間。大勢のオーディション参加者が思い思いの準備や練習をしていた。


 どんな練習をしているのだろう……?


 カメラをどこかに置いたのか、手ブレの止まった画面を俺達が覗き込もうとした時、突然ミュウの顔がアップで映し出され、声が響き渡った。


『くのいちミュウちゃんの! 隠密潜入突撃レポートでござる! にんにん!』



 ……台無しだった。

次回予告。


サヤです。


ミュウちゃんの潜入調査レポートは、衝撃の内容でした!

私達のオーディション準備が整っていく中、

謎のワードがカイ様を悩ませます。


次回、Take It All! 第五十六話

「ジャンゲルロイコ。」お楽しみに!



いいなぁ……私も隠密の服……着てみたいなぁ……////////

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