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Take It All!~異世界転生でチート級の超絶イケボに!冴えない営業マンが勘違いで伝説の英雄を掛け持ち美少女ハーレム無双? だけどスマホの充電がきついっす~  作者: 硫化鉄
第二部 水の章

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第四十一話 深海とオタクと。

 衝撃映像過ぎて、頭が真っ白になっていた。ぽかんとして見ているしかなかった。

 二つの鎧がゆっくりと水没していくのに、どうしていいかわからなかった。


 いやいやマジか。倒れるだけならまだしも、完全に水没するか?


 透明度は高いが、さすがに数十メートル先がどれくらいの深さなのかを見るのは不可能だった。


「ちょ、マジか。

おいミュウ、鎧が沈んだとこ、どれくらいの深さか見てきてくれ」


 立っている状態では水の上に出ていたのだから、深さとしては10mない位だと思いたい。倒れて水没するくらいだから、5~6m以上はあるだろうか。これだけ透明度の高い海なのだから、見えない深さではあるまい。


「しょうがないなぁ~もー」


 ぶつくさ言いながら海上を飛んでいくミュウ。サヤとシェリーは海岸に座ったまま、こわごわと海を眺めていた。まぁさっきの地震の事もあるしサヤ達が怖がるのも無理ないが、飛んでるミュウにとっては地震など恐怖の対象ではないのだろう。


「ん? ん? あれ?」


 ミュウは首をかしげながら、鎧が立っていたあたりの海面を見下ろしている。……ような気がする。


「マスター、なぁんにもないよぉー?」


 ミュウはそのあたりをひとしきり飛び回った後、大声で報告しながら帰ってきた。マジか。そんなはずは……。


「それは……鎧が消えたという事か? ミュウ」


 シェリーが思わず立ち上がった。


「んー、深いところに沈んじゃったんじゃないかなぁ」


 いやいや、そんな深いはずがない。ついさっきまで鎧が見えていたんだぞ。

 俺がその疑問を素直に口に出すと、ミュウはうーんと首を捻った。


「んー、でも、全然底とか見えなかったし、かなり深いと思うけどなぁ。海岸の近くは底見えてたけど、あの辺まで行くと急に深くなってるよ」


 マジか。じゃあむしろ、さっきまで鎧は浮かんでいたという事か? そんな風には見えなかったが。

 【浮かんでいたものが沈んでいく】という感じじゃなくて、やっぱり【立っていたのが倒れて沈んだ】感じだった。うん。


 それにしてもなんか今回、「マジか」ばっかり言ってるような気がするな。


 とは言え事態は深刻だった。伝説の【白き鎧】と【緑の鎧】を海の中に落としてしまったわけだ。これ、回収できるのだろうか。


 女神様的なのが出てきて、「あなたが落したのはこの【金の鎧】ですか? それとも【銀の鎧】ですか?」的な事言ってくれないかなぁ。


「おにいちゃん、シェリーちょっとお部屋に戻ってるね」


 シェリーが真剣な表情で言った。元来まじめなシェリーの事だ。この現状に重い責任を感じていることは間違いないだろう。


 ログハウスに戻っていくシェリーの後姿を見送りながら、俺は一抹の違和感を感じていた。責任の重さに打ちひしがれて部屋にこもるなんてシェリーらしくないからだ。昨夜やはり何かに憑依されていて、その影響だろうか。


「シェライア……」


 サヤが心配そうにシェリーの背中を見送る。


「カイ様、大丈夫ですか……?」


 事の重大さはサヤにもわかっているのだろう。


「そうだな……。でも、なにか手はあるはずだ。水の領域の民に協力してもらう事もできるかも知れないしね」


 まぁ、今んところそんな伝手はないんだけど。


 だが、サヤは少し安心した表情になって、にっこり笑ってくれた。この、俺に対する絶大なる信頼感。しびれる。


「はい、そうですね! シェライアも元気になってくれればいいんですケド……」


 このサヤのいじらしさ。俺はもう、抱きしめずにはいられない……気持ちを込めて、頭をくしゃっと撫でた。


「じゃあ、シェリーが元気が出るようなお昼ごはん、頼むね」

「はいっ!」


 サヤは輝くような笑顔でうなずいた。でも。


「あの……カイ様、シェライアの好きなお料理作るのに、食材が……」


 あぁ、そうか。冷蔵庫に入っているのは、俺がいた世界の食材だもんなぁ。

 俺はスマホを取り出して、こっちの世界の食材が掲載されていないかダメもとで検索してみた。


 ……あるし。


 あのスマホ会社、こっちの世界の情報もどんどん充実させているようだ。そういや地図アプリで地形読み込んだりとかしてたわけだし、こっちに情報収集のための支社とかあるのかなぁ?


 ログハウスのキッチンには、サヤのリクエストによりこっちの世界の食材もたっぷり用意される事となった。このスマホの【R-DL】さえあれば、一生食うに困らないぞ。すげえ。


 俺は食事の支度をサヤに任せてログハウスを出た。





「ねーマスター。どうすんの? あんなおっきいのなくしちゃってー。高いんじゃない?」


 ミュウが俺の頭の上に座って言った。値段の問題かよ。ってか、全然心配してないだろお前。

 俺の目の前にミュウの脚がぶらついていて、邪魔くさいことこの上なかった。


「つうか、頭に座るんじゃねえ」


 払いのけようとした俺の手を飛び上がって交わして、ミュウは思いっきりあっかんベーをした。


「当たんないよー! べーだ!」


 そしてけたけたと笑う。くそ、水ぶっかけて飛べなくしてやろうか。


 まぁしかしそんな事をしたって埒が明くわけでもない。俺は一つため息をついて、ミュウを見上げた。


「おいミュウ、お前も少しは考えろよ。さっきお前かなり深いって言ってたけど、潜っていけると思うか?」


 潜水具なら【R-DL】で出すことは出来る。数十メートルなら潜っていけるんじゃないかな、とは思うが……。


「んー、無理じゃない?」


 ミュウはあっさりと言った。


「データによると、この辺、水深2000mくらいだもん」


 おいおいマジか。さすがに生身で潜っていける深さじゃない。潜水艇を【R-DL】したところで、鎧を回収出来るのかは不明だ。


「……絶望的だな」

「うんっ!」


 何故お前はそんなに上機嫌なんだミュウ。


 それにしても水深2000mの海底とは厄介だな。トライドライでもなければ回収は不可能だろう。


 ……ここで解説しておかねばなるまい。トライドライとは、地底人の開発した兵器【Tシリーズ】三番目の機体だ。圧力制御システム【Pコン】を備えており、水中や地中まで自由に行動できる特殊車両なのだ。


 ……まぁ、俺があっちの世界にいる時ハマッて見ていたアニメ【蒼翼の獣戦機トライセイバー】に出て来る機体なんだけどね。


 この機体を操縦するパイロットの一人、ハユちゃんはロリ+健気+天才少女という逸材で、俺の推しキャラの一人だ。オタクで悪かったな。


 そんな事を考えていると、猛烈にホームシックがうずき出して……は来なかったが、久しぶりにアニメとか見たくなってきた。

 動画サイトを検索してみると……おお、あるある。よし、ブックマークだ。

 いやもう完全に現実逃避な行動なのはわかりきっているのだが、もうね、どうしようもない。


 アニメ自体はまた夜にでも見ることにして、俺はとりあえず景気づけに、【蒼翼の獣戦機トライセイバー OPフル】という動画を再生した。


 うおおおおーーー! アガる! めっちゃ燃える!


 イケボを駆使し、動画に合わせて歌っていると、ミュウが肩に止まって海を指差した。なんだよ邪魔だな。


「ま、マスター……あ、あれ見て……!」


 ただ事じゃないミュウの様子。



 周囲を見回すと、島の周りの海面に無数の顔が浮かび、こちらをじっと見つめていた。

次回予告!


やっほー!ミュウだよ!


謎の顔軍団に取り囲まれたエロマスター!

てゆうか、顔軍団って、何!?

そして、とうとうエロマスターに三つ目の称号が!?


次回、Take It All! 第四十二話

「マジか!? 三つ目の……」

読まなかったら鼻に飛び蹴りだからねっ!



みなさんも、近所迷惑には気をつけましょうねー!

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