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プロローグ
初めての投稿となります。
不定期で投稿をいたします。ご容赦ください。
ーーありえない、こんなことありえない。
目の前には自分の大切な人が3人、灰塊となって横たわっている。空を掴もうとするその彼らの手は、苦しそうに、もがきながら死んでいったことがうかがえる。
今にも崩れそうなガレキの隙間からのぞく真っ黒な頭には、憎たらしいほどに白い歯だけが色を残している。あの綺麗だった赤い唇を燃やし尽くした忌々しい炎はすでにここには無い。
残るのは燃え尽きた3つの遺骸と、見るも無惨なまでに倒壊した自分の育った場所。足元に散らばる、割れたガラスと思い出の写真達。
母が知り合いの魔法屋に頼んで撮ってもらった写真だ。貧しくても笑顔が絶えなかったこの場所。なのに、なのにこんな仕打ちはないだろう。酷いじゃないか。この写真の中には、あの時の俺らの笑顔が閉じ込められていた。
振り返り、立ち尽くす少女の胸ぐらを乱暴に掴みかかった。
「お前は、お前は何を知っている!答えろ!答えるんだァァァァ!」
俺は、これまでにない悲しみと怒りに包まれていた。