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CDI-Squad  作者: PLATINA
5/6

第5話/旅するボスとドレスアップ

ある事件がきっかけで、CDI-Squadの一員となった流星全。

彼の初めての任務は、歩くスライムと呼ばれ、人を食らうモンスター、ι-ブロブヒレンの殲滅だった。

全のパートナー、迅との協力により、母個体を殲滅することができた。

10月28日:地下

またボスがいた。

「また休眠せねばいけない……ここに移る前に、全てを手放したからな……今回は半年程度だ……半年後にまたここで再起動させてくれ……今度こそ完全に再起動できる……」

あの巨大なコンピューターがボスに語りかけていた。

「はい。4月28日にまたお会いしましょう。」





オペレーションルーム

夜遅く、ボスが入ってきた。中にいるのは渚だけだ。

「ボス、おはようございます。」

「うむ。」

ボスは椅子に座り、受諾した任務について渚に伝えた。

30日に行われる首相主催のパーティーで新生物による細菌テロが計画されているそうだ。迅は怪我がまだ治っていないだろうから今回は蘭留と全でいけ。

では、今日は私用がある。4人を頼む。

と言って、ボスは椅子から立ち、オペレーションルームから出て行った。

「ボス……?」

渚は一声かけようとしたが何を言おうか思いつくことができなかった。


では、“私用”とはなんなのだろうか?





翌日、高知県土佐清水市

そこは高知県内の都市部からも遠く、高速道路、鉄道が通っておらず、「東京からの移動時間を最も要する日本の市」とも呼ばれている市だ。。

私服姿のボスこと宮川は、最寄りの中村駅からバスに乗り、1時間半ほどバスに揺らされた。

そして白皇神社前で下車した。

せっかくだからと、目的地に行く前に宮川は神社でお参りをした。

そして白皇神社から徒歩5分。ようやく目的地に着いた。



足摺岬 白山洞門

高さ16m、幅17mと、日本最大規模の花崗岩の海蝕洞で、昭和28年に天然記念物に指定されたこの洞門。

宮川は頂上の白山神社への道をすこし外れた、木陰へと向かった。


そこには墓があった。

墓標には何も記されていなかったが、宮川は花を手向けた。

「エナ、今日でちょうど20年か…。今回の休眠から目覚めれば、確実に全システムが復帰する……もう少しの辛抱だ。」

宮川は墓を見て、木を見て、空を見て、海を見て…………



オペレーションルーム

「ボスが出かけた⁉︎」

一方、遅く起きた全と蘭留と喜一、そして怪我の治療中の迅は大慌ての真っ最中だった。

「で、ボスの代理とかいうのが来るのか?」

迅が渚に聞くと、渚は自分を指差した。

「私です。代理は。」

「……代理が?」

「はい。」

「ボスの代理だぜ?」

「ボス直々の指名です。任務も受諾されてます。」

迅は一歩下がった。

「今回の私たちCDI-Squadの任務はあくまでテロの回避。首謀格への制裁はB-Squadが行います。いわゆる合同任務です。」

「B-Squad?」

全にとってこのB-Squadは初耳だ。

「戦闘専門の班です。こことは比にならないくらい、言ってしまえば戦闘のプロです。」



ウェイティングルーム

ということで、全と蘭留は早速準備を始めた。

蘭留はそこに入るや否や、パーティー潜入用の服を選んでいた。服と言っても、目立たないようなスーツではなく、思いきりパーティーに溶け込むような、パーティードレスを選んでいた。

と、そこに全が入ってきた。

「あ、ちょうど良い!なにが良いか選んでくれない?」

「あぁ……。」

「もちろん、全は女性の着るドレスについてまったく知識を持っていない。あぁという声が全から漏れたきり、蘭留は勝手に迷っていた。

「このサテン生地のが良い線いってるかも。あ〜このシフォンワンピースもボレロ羽織れば良い感じなりそうだしなぁ〜!いや、でもこのシフォンドレープのも着てみたいし……」

「早く行こう!」

全は蘭留を連れてドアを開けた。




東京都 神田神保町 喫茶さぼたあじゅ

全と蘭留は喫茶店にいた。今回は喫茶店のドアに繋がっていたのだ。

席はほぼ満席。店内に流れる音楽を聴きながら、サラリーマン達がノートパソコンを開き、コーヒーを飲んでいる。中にはサボって駄弁っている者もいるが……。

「すみませんね。カウンターの一席しか空いていないんです。小さい椅子ならご用意できます。少し窮屈になりますが、よろしいでしょうか?」」

年老いたマスターが、柔らかい口調で2人に話しかけてきた。

「どうする?」

蘭留が小さく声をかけた。

「別にここに行く予定ってのはないけど……まだ時間に余裕はあるから飲むか。」

「じゃあ…レディーファーストで。」

蘭留が少し笑顔を見せたと思いきや、カウンターの一席へ駆け、座った。全は2人分のホットコーヒーを頼んだ。

コーヒーを待ち、マスターが声をかけた。

「どうぞ。」

2人はカップを取り、コーヒーを飲んだ。

「で、これからの予定は?」

全が話しかけた。

「ヴィラフォンテーヌに予約してある。あと、B-Squadと5時にそこのフロントで会う約束もある。そこで、任務の確認をするってことで。」




オペレーションルーム

「そういえば、何でボスは浅見さんに頼んだんですか?」

喜一が渚に聞いた。

「……分かりません。」

渚は冷たく答えた。

(お前に仕切られるのは御免だからな。喜一。)

迅は心の中でそう言った。

(かと言ってあいつから仕切られるのも嫌だな…ボスから何かしらの信頼があるとか……)

迅の心の中での考察はしばらく続いた。




ヴィラフォンテーヌ神保町

全と蘭留はフロントで部屋の予約確認をしていた。

「巽蘭留さんですよね。」

スーツ姿の、40代くらいの男が声をかけてきた。彼の後ろには、もう2人スーツ姿の男がいた。

「私B-Squadの中田(なかた)というものです。」

「……はい。明日の件ですよね。」

「それについては…ここで話すのは危険です。7時にスカイプ通話をしましょう。」

そう言うと、すぐ立ち去って行った。

「あれが、戦闘のプロ?」

全は蘭留に聞いた。

「うん。普段は紛争地帯に行って早期終結のために戦ってるらしいし。」

全はへぇ〜と感心した。




午後7時

蘭留はスマホでB-Squadと通話していた。

B-Squad側が順を追って説明している。


「ではまず、あなた達は明日は官邸に行く前、午後1時に正装に着替えて湯原コンツェルン本社ビルを訪ねてください。あなた達はコンツェルンの関係者としてパーティーに招待されています。」


10月30日午後1時:湯原コンツェルン本社ビル

全と蘭留は湯原コンツェルンを訪ね、社長室へと案内され、車を用意された。クライスラー300Cリムジンだ。

「……なんじゃこりゃ。」

全は口をあんぐり開けて驚いた。

「“じゃ”はないでしょ“じゃ”は。」

蘭留は全の口を閉めた。


「それと同時刻に、私達B-Squadは官邸へ先回りして警備員として官邸内の状況を確認していきます。」


午後12時:官邸

「こちらB-2。G区画異常なし。」

「こちらB-3。U区画異常なし。」

中田に部下たちから状況が伝えられていた。

「了解。全区画異常なしということはまだ問題のものはここにいないということだ。B-2、B-3、2人は入り口に回れ。」

「了解。」


「あなた達とは午後3時に会えます。ロビーで合流しましょう。」


午後3時:官邸

続々とゲストが官邸へ到着する中、全と蘭留を乗せたリムジンも到着した。

そして、ロビーで中田と会い、合流した。

「現在内部には毒物等はないです。おそらくまだ男はいないと思われます。」

「男…?なんでわかるんですか?」

中田の言った“男”に、蘭留は反応した。

「…我々が以前からマークしていた人物で、あなた達が前回のι-ブロブヒレンの事件にも関わっていた人物です。彼の名は……」




羽田空港展望デッキ

そこには高知から到着したボスが佇んでいた。

そこに、黒ずくめの、アタッシュケースを持った“男”が近づいてきた。

柴門(さいもん)か。久しぶりだな。」

ボスは男の名を知っていた。

「俊介……。」



つづく






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