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CDI-Squad  作者: PLATINA
1/6

第1話/破られた招待状と日々



「…全車に告ぐ。被疑者は不知火研究所を襲撃後駆けつけた警官を人質にとり、現在その警官の乗っていたパトカーでゲートブリッジ方面を逃走中。繰り返す…」

「ゲートブリッジ…」

覆面パトカーは方角を変えた。



ゲートブリッジ

被疑者は右手でハンドルを握って運転し、左手に銃を持って警官の頭に構えている。

警官はただただビクともせざるを得なかった。


そこへ、真正面から車が突っ込むかのようなスピードで走っていた。

先ほどの無線を聞いた覆面パトカーだ。

覆面パトカーの中の刑事は正面からバンッ!と撃った。

するとその弾はお互いの車のガラスを突き抜け、被疑者の持っていた拳銃のグリップ部分に当たり、拳銃は後部座席に吹っ飛んだ。

『後頭部を抑えて、丸くなって!』

覆面パトカーの拡声器が響いた。

警官はとっさに丸まった。

すると、刑事は逃走中のパトカーの左側へ回り、副座席のガラスを撃って割り、そこから内側のドア鍵を開けた。

「早くこっちに!」

刑事は警官を自分の覆面パトカーへ引っ張った。

「後はあいつを逮捕するのみ…!」

刑事の乗る覆面パトカーは被疑者の乗るパトカーと並走している。

すると刑事は覆面パトカーのドアを開けた。

「後はアクセルを踏んで、この車をよろしく。」

「…?」

先ほどまでの緊張が解けた警官はポカンとした。

「いいから、運転席側へ。」

刑事はパトカーからパトカーへと飛び込んだ!


被疑者のパトカーのドアは先ほど警官を助けてから開いたままであり、刑事はそのまま左のシートに座った。

「建造物損壊罪及び殺人罪及び窃盗罪、そして逃走の罪で現行犯逮捕する!…?」

被疑者を見て刑事はギョッとした。

頭が機械だ……!

「フンッ!」

被疑者は刑事の首を絞めた。

くっそぉ!…………

…バンッ

刑事の起死回生の一撃で被疑者の腕が機能停止した。

「よし…」

刑事は無線機を取ってドアを開け、パトカーの上へ登った。

「こちら流星全(ながれあきら)、被疑者はアンドロイドの模様。信じられないかもしれないですけど人間じゃない!うわぁ!」

パトカーは大きく蛇行した。

刑事、全は必死につかまったが蛇行した先は…

「飛び込む気か⁉︎」

ザバーン!

パトカーはゲートブリッジを大きく蛇行した結果、東京湾へと沈んでしまった。アンドロイドと共に…

浮かび上がったのは、全だけだった。

「ぷはぁ〜!」

全は対岸まで泳ぎ、陸へあがった。

「流星ー!心配は…皆しなかったぞ!」

「俺たちが心配したのは人質とパトカーだったぞ!」

応援に駆けつけた同僚からさんざん罵声を浴びさせられた。



警視庁

「お前はどうしてこうも考えないんだ!パトカーの経費はともかく人質に運転を任せるのはどういうことなんだ!このバカチン!」

「…」

全は上司のお叱りを聞いて、始末書を書かされた。


「はい。」

実を言うと全、始末書を書くのはこれで7回目である。

「私の不注意でこのような事態を引き起こして申し訳ありません。」

もう始末書の文は同じようなものだった。

と、上司が話しかけてきた。

「流星…」

「はい…」

何か重く聞こえた。

「どうせ『私の不注意でこのような事態を引き起こして申し訳ありません。』だろ?なんだったらこれ読め。」

上司が渡したのは、封筒に入れだった。嫌な予感がする。

「パトカーの、損害賠償請求ですか?」

「…まぁ、払わせたいけどな。」

全は上司の目の前で封を開けた。

「…なんだこれ?」

「流星全殿、貴方は我々、全宇宙統制機構(UCT)の特殊調査によって文明発展阻害班、GDI-Squadへの加入が決定いたしました。9月13日、栃木県下都賀群岩舟町岩舟山採石場跡にて専用車を手配しております。以上か…」

馬鹿らし。

馬鹿な行動を繰り返し続けている全からもそこまで思われてしまった招待状は破られた。

「馬鹿ー!お前俺の目の前で開けてビリって破ってどうするつもりなんだよ!マル秘印ついてたろ!」

馬鹿らし。

言葉でも心でも上司はそう思ってた。



夜:ゲートブリッジ

全はもう一度事件現場にいた。

夜だが、東京の夜景と、捜査の照明で、明かるかった。

そして寒い。全は革ジャンを着ていた。

(犯人は、絶対人間じゃなかった。それを証明できるまで、今日はここにいよう!)

へ…ヘックション!





翌日 9月12日 11時4分

警視庁では、昨日の事件の捜査会議が行われていた。全の姿はない。

「被害に遭った不知火研究所は主に次世代型化学燃料の開発を行っていました。恐らく、犯人はその開発データを盗もうとした結果、なんらかが原因で化学燃料を引火させてしまったものと思われます。その後犯人は現場に居合わせた警官を人質に取り、逃走。流星全警部が警官を解放後に追走。犯人はゲートブリッジから車もろとも落下。未だに犯人の遺体は浮かび上がっていません。」

「んじゃ、犯人を逮捕できなかったのは流星って奴のせいなのか?」

参加していた係長が口を出した。

「どこだ流星?」

全の上司が全を探していた。

「流星!いない…」

「流星全ー!」

会議室はちょっとした騒ぎになっていた。

「…遅れてすいません山本課長。」

全がちゃっかり会議室に入ってきた。

「おまえか!犯人を殺して証拠を揉み消したのは!」

係長は怒鳴った。しかし全は冷静返した。

「犯人は人間じゃなかったです。この調査書を見てください。今日の10時53分に犯人が引き上がったんです。いや、犯罪を犯したアンドロイドが。」

「…何を言っとるんだ!」

係長の怒りは収まらない。

「司法解剖の結果、皮膚はシリコンでできたもので内部にはこの写真のように機械が。」

係長にプリントしたての写真を見せた。

確かにそうであった。

頭部は5色の回路と骨格、腕部には油圧シリンダー、そして心臓は金属でできた膜で覆われていた。

「何故、こっちにに報告しなかった。」

「…現場から警視庁まで無線、携帯、公衆電話が通じなかったんです。」

全は正直に言った。

「まぁこんなこと誰も信じないがな。 さて他どうだ。」

係長はその後、全を無視し、見ようともしなかった。



そのとき

とあるオペレーションルーム

「エリア62-D-4がノーマルサイズと一致。調整完了まであと76秒12、いつも通り自重期間は30秒とします。」

「2人とも準備OKですか?再度確認しますが定格重量は2人合わせて190キロです。」

「…それじゃあ、マガジン2つ持ってかないってことで。」

「重量は?」

「187キロ。ちょっとギリギリ。」

「そろそろだ。」

「…そろそろか。2人とも、健闘を祈る。」

「はいはい。」

「…ゲートオープン。」




警視庁

会議室に事務員が息を切らして飛び込んだ。

「…ハァーッ、ハァーッ、皆さん、東京湾岸の科学コンビナートで昨日の事件と同じ見た目の男が、コンビナートを襲撃後、タンクローリーで逃走しました!手口が殆ど一緒です。」

「なんだって⁉︎………今すぐ現場へ急行だ。」

「お前以外はな流星!」

係長も昨日のことはさすがに許せない。

「…はい。」

「というより何だったんだ。今みたいに事務員に伝えればよかったことを。少し休んどけ。」

会議室じゅうの人間がバタバタと動いている中、全はただ一人突っ立っていた。


ただただ、信頼を失ったことで孤独を覚えていた。

そう全は思っていた


と、そこにある警官も突っ立っていた。

「昨日は、ありがとうございました。」

昨日、人質になっていた警官だった。

「ちゃんと運転して、見ての通り無傷でしたし。」

全の心が、少し柔んだ。

「こちらこそ、ありがとうございました。」

そう言って、全は会議室を出た。



コンビナート周辺

課長が現場指揮をとり、犯人及び、タンクローリーを捜索していた。

タンクローリーも探さなければ、爆破の恐れもある。

「こちら山本。依然、犯人どころかタンクローリーも目撃されていない。目ん玉しっかり開いて見渡せよ。」

と、課長が話し終わったあと、無線音がまた鳴った。

「…課長ー!流星もいます!」

「何ィ!」

すると、全が無線越しに話しかけてきた。

「…課長。もう休ませました。今度こそは!」

「…お前休ませたって何秒だ!」

課長は無線越しに思い切り怒鳴った。

バンバンバンバン!

「課長!タンクローリーが!」

課長の隣に乗っていた部下が、今鳴った銃声の元を追ったところ、ついにタンクローリーを見つけた。

「課長!タンクローリーの運転手って普通拳銃持ってないですよね!」

「ああそうだ!…全車に告ぐ!タンクローリーを見つけた!真ん前だ!皆行けーっ!」


すると、一台のオープンカーがパトカーたちからすり抜けた。

「なんだ⁉︎」

「一般車両がこんなところに…」

オープンカーもタンクローリーを追っているようだ。



「マガジン2つないから。無駄弾は極力減らしといて。」

「分かってる。」


オープンカーの右側の男が立ち、マシンガンをタンクローリーへ構えた。

女性が運転している。


「…全車に告ぐ、先ほどのオープンカーの運転手は女性。副座席に乗っている男はタンクローリーにマシンガンらしきものを構えている。確保せよ。」


課長のパトカーが飛び出した。

「止まれ!邪魔だからせめてどっかいけー!」

課長の声も虚しく、男はタンクローリーにマシンガンを撃った。

「…ここは離れましょう課長。」

全からの無線だった。

「…流星、冷静になったな…よし、全車ここから離れるぞ!」

ところが…

ブゥゥン!

一台のパトカーが逆に飛び出した。

「流星ェ!」

課長のパトカーも飛び出した。

「あいつ全く冷静になってねぇな!」

「課長ー!」

男が課長のパトカーを撃ってきた。



「だから無駄弾は極力無くしなって!」

「もう大丈夫だ。」


プシュー…


課長のパトカーのタイヤの空気が抜けていった。

男はタイヤだけを狙っていたのだ。


「危ない!」


女は男を伏せさせた。

タンクローリーがオープンカー側に車体を寄せてきたのだ。


「もっとスピード出ないか?」

「減速しか今できない!」


タンクローリーはトンネルへ入り、オープンカーはタンクローリーから下がった。

「よし!」

今度は全が前に出た。

「公務執行妨害で逮捕するぞ!」

全はフロントガラスを開けてオープンカーに向かって拡声器で叫び、車体を寄せた。が、しかし…!


「どけ。」



男が撃ってきた。



「…うぅ、パンクか…」

全は前進させようとアクセルを踏んだが、進まない。


「そろそろドア準備okだな。」


と、その時。2人はオープンカーを乗り捨て、トンネル内の扉に入った。

「完璧あっちの都合ぽいけどこれも結果オーライってのか!」

全もパトカーを乗り捨て、扉へ向かった。










「あれ…?」

気がついたら警視庁に戻っていた。

どういうことだ?

警視庁からこのベイエリアの距離は6kmも離れている。

「なんだこれ?」

ここから出ようとドアを開けた。




つづく

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