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無色騎士の英雄譚(旧題:無色騎士 ニートの伝説)  作者: 浦賀やまみち
第七章 男爵 百騎長 王都漫遊編
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第05話 俺の嫁




「……失礼します。

 料理長より夕飯が少し遅れるとの連絡が……。あれ?」


 アリサは視線を伏しながら入室して、まずは一礼。

 一拍の間の後、顔をゆっくりと上げて、その首を傾げた。


 その姿はホワイトブリムに白黒のエプロンドレス。

 所謂、メイドさんスタイルである。普段は下ろしている長い髪も後頭部でシニヨンを結び、実にメイドさんらしくて、俺的百点満点。


「こっち、こっち」

「そちらでしたか……。まあっ!?」


 どうしたんだろうと考えるよりも早く、アリサが手に持つ燭台を左右に振る様子を見て、その理由に気付く。

 いつの間にか、外はすっかりと暗くなっているが、この部屋の明かりはベッドから随分と離れている暖炉の上の燭台のみ。


 だったら、俺の姿が見える訳が無い。

 声を出して呼ぶと、アリサはこちらに明かりを向けて、俺の姿を見つけるなり目を丸くさせた。


「んっ!?」

「お疲れなのは解ります! でも、靴はちゃんと履き替えて下さい!」


 今度はどうしたんだろうと考えても、その驚いた理由が解らず、腹筋を使ってベッドから起き上がると、アリサが眉を吊り上げながら歩み寄り、燭台を持っていない右手で俺の足下を指さした。

 その指摘に視線を向けると、敷き布団が泥で汚れていた。どうやら、燃やした国家機密に気を取られすぎ、夕方に一時だけ小雨が降って、靴底が汚れていたのを忘れていたらしい。


 余談だが、この世界では寝る時に靴を脱ぐか、脱がないかは育った地方によるところが大きい。

 俺が育った村は冬がとても厳しかった為、靴すらも暖を取る手段で履いたままが当たり前だった。それはアリサも同様である。


「おおっ……。これは申し訳ない」


 だからと言って、汚れた靴のままでベッドに上がるのはマナー違反。怒られるのも当然。

 明らかな自分の失敗に苦笑い。今更ながらではあるが、両足を浮かせながらベッド脇まで移動して、ベッドに座った状態から立ち上がろうとするが、アリサが右掌を突き出して制する。


「そのままで居てください。今、私が持ってきますから」

「ええっと……。悪いね」

「いいえ~」


 そして、アリサは仕方が無い人ですねと言わんばかりに溜息を漏らすと、次は何処か嬉しそうにクスクスと笑いながら部屋そのものがウォークインクローゼットになっている隣部屋へ向かった。

 ちょっとした手持ち無沙汰を感じて、再び上半身をベッドに倒して寝転び、隣の部屋から聞こえてきたご機嫌な鼻歌に頬を緩める。


「お待たせ致しました」


「ありがとう。……へっ!?」


 暫くして、アリサが代えの靴を持って戻り、それに合わせて上半身を起き上がらせる。

 さあ、靴を脱ごうと両手を伸ばしかけるが、アリサが目の前に立ち、その影で俺の足下を隠す。


 思わず見上げると、アリサはその場に正座をする様に膝を揃えながらも踵と腰を立てて座り、俺の右足首を両手で持ち、合わせた太股の谷間に乗せた。

 その意図は明らか。まさか、まさかの光景に思わず目を見開きながら言葉を失う。


 ところが、アリサの予想もしなかった行動は更に上を行く。

 両方の靴を脱がせ終わり、燭台をベッドサイドテーブルに置いて、何処へ行くのかと思えば、ウォークインクローゼットとは反対の方向にあるバスルーム。再び聞こえてきた鼻歌に混じり、水瓶に汲み置きされている水を別の容器に移し換えているだろう水音が聞こえてくる。


 力仕事なら手伝いに行くべきかと迷う間もなく、アリサが戻ってくる。

 先ほど同様に俺の前に座り、俺の右足首を持つと、今度は靴下を脱がして、バスルームより運んできた水が張られた洗面器にタオルを浸けて絞り、足を丁寧に拭い始めた。


「ふっふっ、ふんふんふん……。ふっふっ、ふんふんふん……。」


 その行為を茫然とされるがままに受けていたが、水のひんやりとした冷たさと足の指の間を拭われるくすぐったさにふと我を取り戻す。

 改めて、太股を台座にして、俺の足を一生懸命に拭っているアリサの姿を見下ろして、その献身さに途轍もない感動を覚える。


 自分好みの可愛い女の子が甲斐甲斐しく世話をしてくれている。

 それも臭い足先の手入れである。普通なら、嫌がって当たり前の行為を鼻歌混じりに喜々と行っているのだから嬉しくない筈が無い。


「ねえ、アリサ?」

「はい、何ですか?」


 やがて、その感動と嬉しさはアリサへ対する愛おしさに変わり、その愛しさも両足を拭い終わる頃には若さ溢れるムラムラッとした衝動に変わっていた。

 自分自身で解るほどに鼻息がフンフンと荒くなっており、アレは今にも暴れ出しそうに咆哮をあげていた。


「ちょっと立ってみて?」

「はい……。どうしました?」

「アリサ!」

「キャっ!?」


 もう我慢の限界。気付いたら、目の前にあったアリサの細い腰を両手で掴んで引き寄せながら身体を捻り、アリサをベッドに押し倒していた。

 短い悲鳴があがる。ベッドが軋む音をギシギシと立てて揺れ、カーテンホルダーが外れたのか、ベッド右下のレースカーテンが舞う。


「えっ!? えっ!? えっ!?

 あっ!? ……だ、駄目です! も、もうすぐ、夕飯なんですから……。お、お風呂もまだ!」


 アリサは何が起こったのかが解らず、目をパチパチと瞬きさせるが、俺が両足の間に割って入ると、その意図を察して息を飲んだ。

 慌てて抵抗にのし掛かってくる俺の肩を押すも所詮は何も鍛えていない女の力。どんなに忙しくても毎日の鍛錬を欠かさない俺に勝てる筈もなく、あっさりと組み敷かれる。


「どうして、そんな格好をする? どうして、そこまでする?

 それじゃあ、まるで本当に使用人だ。……違う、違うだろ? お前は俺の……。」


 それでも、アリサは諦めずに俺の下で藻掻いていたが、そう耳元で囁いた途端、抵抗をピタリと止めた。

 今更ながらだが、アリサの真意が知りたかった。


 その言葉通り、アリサは決して使用人ではない。

 前の世界における一夫一妻制の倫理を未だに引きずっている俺としては多少の抵抗を感じるが、アリサは俺の正式な妾である。


 優しいコゼットさんならきっと解ってくれる。コゼットとアリサなら相性も良い筈だ。

 そう結論付けて、それをアリサに申し込み、アリサの両親から許可を貰ったのはトーリノ関門を離れる一ヶ月ほど前の出来事。

 皆からは『えっ!? 今更?』と呆れられたが、俺としては苦悩に苦悩を重ねた末の勇気を振り絞っての告白だった。


 だが、皆の言う通りかも知れない。

 雪が降り積もり、街道の行き来が途絶えてしまう冬以外、アリサは自分の村とを往復して、月の約半分をトーリノ関門で過ごし、俺の細々とした身の回りの世話を行ってくれていた。

 俗に言う内縁の妻状態であり、それを考えるとアリサを随分と待たせてしまったなと反省するしかない。


 ところが、その関係が王都を訪れてから変化しつつあった。

 この屋敷の家令さんやメイドさん達に教えを請い、自身の立場を俺専属の使用人へと色を濃くしつつあった。


 そう、アリサがメイド服を着ているのは伊達ではない。

 アリサ自身がそうなろうと願い、その意志を身に纏っているのであって、俺の指示でも、趣味でも無い。


 これに関して、今日まで特に何も言わずに放っておいた。

 何か思うところがあっての事だろうと考えていたし、アリサの一生懸命さを邪魔したくも無かった。


 だが、その考えが王妃と出会って変わった。王妃のジュリアスを想う母心に触れて変わった。

 アリサ自身の幸せと気持ちを優先して、その行く末を心配しながらも、アリサを俺に託してくれたアリサの両親に申し訳ないのではなかろうかと。


「……ありがとうございます。

 でも、私はこれで良いんです。ニート様のお役に少しでも立ちたいんです」

「だからって……。」


 その意図を察したのかは解らないが、一呼吸の間を置き、アリサは優しくフワリと笑った。

 思わず顔をアリサから背ける。その笑顔が眩しすぎて、とても直視が出来なかった。


「ニート様こそ、私の事をお嫌いになりましたか? 飽きてしまいましたか?」

「馬鹿な事を言うな! 俺はただ……。」


 しかし、アリサが聞き捨てならない言葉を放つ。

 慌てて顔を正面へ戻すが、待ち構えていたアリサの笑顔をやはり見れず、歪んだ自分の顔を見られないとアリサの胸に顔を埋める。


 前述にも有るが、前の世界における倫理を引きずっている俺にとって、妾という立場はどうしても後ろ暗いイメージが有り、それが本当の幸せとは思えなかった。

 妾である以上、本妻の存在が必ず有り、その立場は絶対に二番目以下であり、決して一番目にはなれないのだから。


 もしかしたら、それが理由なのだろうか。

 内縁の妻だった状態から俺専属の使用人となる事によって、そうあろうと自分自身を戒めているのかも知れない。


 その癖、俺はコゼットとの結婚を望んでいる。

 アリサが貴族だからと言う理由で俺との結婚を諦め、妾という立場を許容しているにも関わらずだ。


 しかも、それをアリサも知っている。

 もう随分と昔にコゼットの存在は明かしてある。コゼットがアリサと同じ平民である事も。


「ただ……。何ですか?」


 ところが、アリサは不満を一度も漏らした事が無かった。

 俺の願いばかりが叶い、アリサの願いは半分も叶っておらず、口汚く罵ってくれても構わないのに何処までも優しかった。


 そのせいか、どうもアリサの前では弱音ばかりを吐いてしまう。

 先日もそうだった。夜会にて、アホな貴族から嫌味を満座で言われ放題となり、そのストレスを消化する事が出来ず、家に持ち帰ってしまったのだが、アリサが文字通りにその身を以て受け止めてくれ、俺は二重の意味でスッキリ。アリサの存在に助けられていた。


 結局のところ、今日もそうなってしまっている。

 アリサが俺の頭を優しく抱き締めてくれ、その柔らかい胸の向こう側から脈打つ音がドクン、ドクンと聞こえてくる度、俺の心は穏やかになってゆく。


「なあ、アリサ……。本当に良かったのか? 俺に付いてきて、本当に良かったのか?」


 そして、負い目とも言えるモノがもう一つ。

 他ならぬ俺自身がソレを失う辛さを良く知っていながらアリサの手から奪ってしまったモノ。


 それは両親と別れ離れになり、もう二度と会えないかも知れないという事実。

 その言葉はトーリノ関門を旅立つ前に何度も問いたモノであり、トーリノ関門を旅立った後はもう二度と問いてはならないと堪えていたモノ。


 調べてみたところ、国王より賜った俺の領地は南方領の南西、おっさんが本領としているバカルディの街に程近い。

 多分、領地とバカルディの街の双方に自宅となる屋敷を建てる事となるだろうが、そのどちらにしてもアリサが生まれ育ったバップ村とはあまりに遠すぎる。


 なにしろ、端的に言って、この国の北端と南端である。

 馬を用いた旅でも三ヶ月、往復で六ヶ月。とても気軽に行き来が出来る距離では無い。

 旅費も馬鹿にならないし、道中の危険も有る。それ相応の準備と手段が必要となり、お互いに何かが遭っても、それを知らす手紙が先方に届くのは商人伝手となる為に半年はかかる。


 実を言うと、アリサの両親にも俺と一緒に来ないかと誘ってはみたが断られている。

 三年前、ロンブーツ教国軍に連れ去られて、そのまま行方知らずとなっているアリサの姉。その帰りをもう少し待っていたいのだとか。


 俺もアリサに請われ、三年前からアリサの姉を八方を尽くして探しているが見つかっていない。

 なら、残念ではあるが、そう言う事なのだろう。

 

 詰まるところ、事実上の生き別れと言っても過言でない。

 肉親と別れ、故郷を捨てて、気候すら真逆の見ず知らずの土地に移り住む。その大きな覚悟を背負い、アリサは俺に付いてきてくれたにも関わらず、俺はアリサに報いてやれていない。

 王妃の母心に加えて、アリサの優しさにも触れ、我慢に我慢を重ねて作っていた心の堰が脆く崩れ去ってしまった。


 すると頭上で笑い声がクスリと聞こえた。

 何故、笑えるのか。そう問い質したくて、アリサの胸から顔を上げると、アリサは言い募ろうとする俺の口に人差し指を立てた。


「言った筈です。もう、それは言わない約束だって……。

 父さんと母さんにもう二度と会えないかも知れない。それは確かに寂しいです。

 だけど、ニート様と会えなくなるのはもっと寂しい。……だから、付いてきました。

 どうか、私をお側に置いて下さい。それで……。たまにで良いんです。こうして、愛して頂ければ、私は幸せです」


 続けて、俺の顔を引き寄せて、唇と唇が一瞬だけ触れ合う軽いキス。

 アリサは濡れた瞳で俺を見つめながら、そう吐露して微笑み、その瞳に溜めた涙を一粒だけ零した。


「アリサ!」


 そのいじらしさに俺の愛しさと切なさは大爆発。一旦は形を潜めていた若き衝動が沸きに沸き、もう辛抱が堪らなかった。

 どれほど堪らないかと言えば、もうまどろっこしい事を抜きにして、いきなりの本丸攻めを決行するくらい。


「キャっ!?」


 上半身を勢い良く起こすと、足首まであるアリサのスカートの裾を豪快に捲り上げて、そのまま乙女の秘密内部へと一気に侵入。

 暗闇の中、悲鳴をあげながらも腰を浮かせてくれたアリサの何気ない助力にニヤリと一笑い。白と思しき乙女の最終防衛線に手をかけた正にその時だった。


「ニート、何処だ! 何処にいる!」


 突如、予想だにしない人物の襲来。

 出入口のドアの音だろう。これでもかと勢い良く開いて叩き付けられた音が鳴り、高まった甘い雰囲気は一瞬にして霧散した。




 ******




「ここか! この部屋か! 返事をしろ!」

「困ります! 幾ら御姉弟とは言え、男爵様は旦那様のお客様です! それを……。あっ!?」


 半ば叫んでいる女性の声とこの屋敷の家令さんの声。

 部屋の中を足早に右往左往して、勇ましい足音をドスドスと立てている女性の正体はすぐに解った。

 

 また、状況もすぐに解った。

 俺に会う為、この屋敷を訪れた女性。家令さんが作法に則り、俺へ取り次ごうとしたが、姉弟の縁を理由に無視した挙げ句、その制止すら振り切って、この部屋へ玄関から真っ直ぐに向かってきたのだろう。


「んっ!? ……そこか! 見つけたぞ!

 さあ、ニート! どういうつもりか、疾く応えろ! 王都を訪れておきながら、一ヶ月も我が家に顔を出していなかった理由をだ!

 そもそも、おかしいだろう! 何故、オータク侯爵の世話になる!

 確かにオータク侯爵はお前の後見してくれた方だが、お前の家はここでは無い筈だ! どうして、我が家に帰ってこない!

 もしや、遠慮をしているのか? ……なら、無用だ! お前は父が認めた我が弟! だったら、我が家はお前の家でも有る! 皆もお前に会いたがっているぞ!」


 どうして、そんな無法とも言える無礼を行ったのかと言えば、この通り。

 王都を訪れているにも関わらず、俺が名義上の実家であるレスボス家の屋敷に逗留せず、おっさんの屋敷に逗留しているばかりか、レスボス家へ顔を未だ見せずにいるのが原因。


 そう、女性の名前は『カーテリーナ・デ・ミディルリ・レスボス』、レスボス家現当主にして、侯爵。俺が恐れるレスボス家の長女様である。

 性格はご覧の通り、女傑と呼ぶに相応しい男顔負けの豪気さを持ち、王都の治安と守護を担う中央軍第一騎士団の団長を務めている。


 ちなみに、レスボス家を王都での逗留先に選ばず、今日まで訪れなかった理由は他ならぬ長女様と顔を合わせたくなかったからだが、それは口が裂けても言えない。

 アリサのスカートの中にて、やはりメイドにガーターベルトは必須アイテムだよなと現実逃避。と言うか、この状況下、どうしたら良いのかがさっぱり解らない。

 俺以上に恥ずかしい思いを強いられて、矢面に立っているアリサには申し訳ないが、俺はここで嵐が通り過ぎるのを待たせて貰う。


「あ、あの……。こ、侯爵様、僭越ながら申し上げます。

 い、一旦、ここは部屋を出られては? だ、男爵様もきっとその様に願っている筈です」


 その祈りが通じたのか、家令さんから助け船が入る。

 胸をホッと撫で下ろして、一安心。アリサも安心したらしく、驚きと緊張のあまり腰を浮かせたまま固まっていたが、その強張りを解いて、お尻をベッドに下ろす。


「何故だ? わざわざ出直す事も有るまい?」

「い、いえ、ですから……。た、只今、男爵様は御愛妾様と……。そ、その……。」

「ああ、そう言う事か! だったら、私の事は気にするな!」

「「「……えっ!?」」」


 だが、家令さんがとても心苦しそうに俺とアリサの状況を更に説明してくれたにも関わらず、長女様には通用しなかった。

 俺とアリサと家令さんの三人は思わず声を揃えてのビックリ仰天。まさか、そんな応えが返ってくるとは誰一人として予想だにしなかった。


「はっはっはっはっはっ! おいおい、私達の父が誰だと思っている?

 この様な場面、初潮を迎える以前に何度も経験済みだ! だから、私の事は気にせず、存分に睦み合うが良い!」


 しかも、その反応を豪快に笑い、俺とアリサにとんでもない無茶を振ってきた。

 やはり長女様は苦手だ。決して嫌いではないのだが、そのネジが何処か外れている感覚と男より男らしい豪気な性格はどうにも調子を狂わせる。


 更に付け加えるなら、その質を知るレスボス領民達は別として、大多数の平民にとっての貴族がどんなモノかを理解していない。

 アリサの両足がブルブルと震え始める。きっと長女様の言葉を命令として受け取り、ソレを人前で行わなければならない羞恥と絶望の極みに怯えているのだろう。


「しかし、やはり血は争えないな! 兵役に赴いていながら、妾を作ってくるとは思ってもみなかったぞ!

 おっと……。そうだ! 噂に聞いているぞ! 大層、美しいエルフの娘も居るそうじゃないか! 何処だ! 私に紹介しろ!」


 これ以上、アリサの為にも隠れてはいられない。

 つい先ほどまで大爆発していた若き血潮も今は鎮火済み。溜息を深々と漏らして、アリサのスカートの中から出て行く事を決意した。




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