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無色騎士の英雄譚(旧題:無色騎士 ニートの伝説)  作者: 浦賀やまみち
第十五章 男爵 オータク侯爵家陣代 百騎長 暗雲編 上
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第02話 チェックメイト 前編




「よう、大将! 今夜は飲みに行かないか?

 ……って、うぇっ!? す、すまん! お、俺、ころっと忘れて!」


 執務室に響き渡るノックの音。

 こちらの了承を待たずにドアを開けたジェックスさんは執務室へ第一歩を踏み入れるなり、その一歩をすぐさま後退。上半身を仰け反らせた。


「ああ……。大丈夫ですよ。予定していた会議じゃないですから。

 みんな、たまたま集まって、こうなっちゃっているだけですから。良かったら、ジェックスさんもどうぞ」

「お、おう……。」


 その様子に思わず苦笑を漏らしながらも無理もないと苦笑を更に重ねる。

 今、この執務室に居るのは俺を含めて、総勢十三人。ジュリアスを初めとするミルトン王国戦線方面軍の幹部がほぼ揃い踏み。

 執務机も、応接セットも隅に片付けられて、ミルトン王国戦線の簡易な戦略地図を描いた大きな石版を背に俺が指し棒を右手に持って立ち、その前にジュリアスを中心に聴衆が椅子を並べて座っており、出入口のドアを開けた途端、それ等の視線が一斉に向けられたのだから驚くのは無理は無い。


 せっかく、今日の仕事を終えて、これから飲みに出かけようとしていたジェックスさんとっては不運極まりないが椅子に座って貰おう。

 来てしまった以上、この集まりの議題的にも、ジェックスさんの立場的にも踵を返さす訳にもいかず、空いている隅の席へ座るように左手で促す。

 

「さて、丁度良いのでここまでの話を纏めますと、結局は『腹が減っては戦が出来ない』に尽きると言う事です。

 ところが、今や最前線はトリス砦まで進んでいるにも関わらず、兵站のソレはオーガスタ要塞を攻略する以前のまま。

 特に兵糧について。各領で収穫された麦は王都へ一旦は集められ、そこでの差配を受けて、ここへ送られる手はずになっていますが……。

 はっきり言って、時間が無駄に掛かり過ぎている。これでは駄目です。駄目駄目です。

 皆さん、ご存知ですか? 日々、我々が口にしているパン。その材料である麦が実は一年前どころか、二年前に収穫された古麦だという事実を……。」


 咳払いを一つ。場を改めてから、ジェックスさんの登場に中断していた話を再開させる。

 この集まりはジュリアスが第十四騎士団と第十五騎士団で高まりつつある俺への不満を警告に訪れたのがそもそもの発端だった。


 不満の内容は『ミルトン王国へ積極的な攻勢を仕掛けず、現状維持を最優先とする体勢』に関して。

 要するにミルトン王国戦線へ意気込んで出兵してきたが、総参謀長たる俺が攻撃許可命令を頑なに許さず、第十四騎士団と第十五騎士団の者達が武勲を立てられないと文句を漏らしているのである。


 この不満について、もう俺はうんざりと言う他は無い。

 ミルトン王国戦線方面軍総参謀長の役目に就き、俺は戦略における采配を一手に任されているが、決して独裁主義では無い。

 どんな事も最初はそれぞれの騎士団の参謀部を集めた会議で討論を行い、そこで決まったものを各騎士団の幹部を集めた会議に提出して、多数決による決定が得られたものしか実行していない。


 その際、討論や多数決で負ける事は有っても誰もが納得した上での決定になっている筈なのだが、俺の言葉が足りないのか、解り辛いのか、その納得があまり長く保たない。

 今回に至っては先の幹部会議から二週間も経っていない。やはり、来年度の春には王都へ帰還せねばならない第十四騎士団は武勲らしい武勲を立てていない現状にかなり焦っているのだろう。


 ジュリアスが危機感を覚えて、俺へ警告を告げに来たのが初めてなら、ここをこうも大人数が同じタイミング、同じ理由で訪ねてきたのは初めてだ。

 本来、トリス砦に常駐していなければならない第十四騎士団の副団長ですら、第十五騎士団の団長を助力に伴い、不満を長々と書き綴った第十四騎士団の団長の親書を届けに訪れてさえもいた。


 こうなったら、今日は徹底的にやってやる。

 今まで明確な確証が取れておらず、敢えて伏せていた情報も公開する予定で腹づもりでいる。

 その為にもまずは今まで俺が主張してきた現状維持についてのおさらいである。ここに居る面子にとったら、何度も聞いた話だろうが仕方が無い。


「まあ、麦は麦。食料には変わりません。

 まさか、この前線で新麦だの、古麦だの、風味を云々の贅沢を言う者は居ないでしょう。

 しかし、作戦の要は兵站。参謀部としては非常に困ります。

 攻勢を仕掛け、新たな土地を得るという事は今以上に補給路が延びる事を意味しています。

 王都からの補給部隊が計画通りに到着せず、遅延してばかりの今、再侵攻は自殺行為という他は有りません」


 事実、ここまで目新しい話が無いせいか、聴衆の大半がまたかという顔を表に出している。

 これでは俺も喋っていて面白くないし、議論は活発化しない。新しい意見は出てくる土壌作りが必要だ。


「はい!」

「んっ、マイルズ」

「先日の会議にて、スアリエ卿が三ヶ月分の備蓄を確保してあると仰っていましたが?」


 こうなったら奥の手を使うしかない。

 目線を合図に送ると、マイルズが元気良く挙手。お手本とも言える反論を返してきた。

 王都を旅立ってからの三年間。相変わらず、女性関係に口五月蝿いのは玉に瑕だが、常に俺の傍で仕えてきただけの事は有る。


「ああ、その通りだ。

 より正確に言うのなら、後方基地のレッドヤードの街に三ヶ月分、このネプルーズの街と最前線のトリス砦に一ヶ月分づつの備蓄が有る」

「それでしたら、前線を進めるのも可能と思われますが?」

「しかし、これは平時での数字。

 戦時となったら、兵糧の減りは早くなるし、補給部隊に割ける兵力も格段に少なくなる。

 その結果、王都からの補給が一度でも何処かで滞ったら、最前線へ供給される兵糧は途切れてしまう可能性が非常に高いと言わざるを得ない」


 既に俺が何度も却下してきた意見だが、何度も議論して再認識する事に意味が有る。

 特に感情論や精神論を是とする者は兵站を軽視する傾向が強い。自分自身が一度は納得した過去をすぐに忘れて、不満を再び高まらせるのだから手に負えない。


 案の定、第十四騎士団の副団長が悔しそうに苦虫を潰した様な顔をしている。

 どうやら、彼はつい二週間前の幹部会議で同様の意見を声高に訴え、これでもかと俺に反論されたのをすっかりと忘れていた様だ。


 弟子の成長を実感して、嬉しさにウンウンと頷く。

 感情論や精神論を是とする者との議論は非常に盛り上がるが、非常に疲れもする。予め、その意見を封殺した方が手っ取り早い。


「ならさ、このネプルーズを攻めた時みたいにモンスターを食料にするって言うのは?」


 続いて、ジュリアスが右手を高々と挙げる。

 それも間一髪を入れず、発言の許可も待たずに意見をやや口早に訴えてくる様子を見る限り、この意見は事前に考えて温めてきたものだろう。


 ついでに言うなら、まずは誰かが発言するのを待ち、その次を狙っていたに違いない。

 ジュリアスの性格からそう考えるのが妥当だ。マイルズを使った呼び水作戦は大成功である。


「なるほど、なかなかの妙案と言えましょう。

 ですが、殿下は大きな見落としをなさっておられる」

「……と言うと?」


 だが、目をキラキラと輝かせているところを申し訳ない。

 残念ながら、ジュリアスの意見はとっくの昔に実行不可能と判断されて却下されている。


 但し、それは各騎士団の参謀部を集めた会議での段階だ。

 ジュリアスが出席する各騎士団の幹部を集めた会議の場にこの意見は一度も出ていない。


 それだけに不満をただ訴えるだけでなく、現状案に対する代案を考え抜いて作ってきた事を俺は高く評価する。

 今一度、嬉しさにウンウンと頷きながら、その意見が駄目な理由を丁寧に説く。


「あの時、我々は知っていました。いずれ、兵糧は届くと。

 だからこそ、我慢も効きましたが、私が今言っているのは次の補給がいつ届くのかが解らない状況下です。

 つまり、いずれといつか。この二つは似て非なるものであり、大きな隔たりが有ります。

 もっとも、まあ……。私はあの不味さが嫌いではありません。

 しかし、殿下は耐えられますか? 補給がいつか届くと信じて、モンスターの肉を喰らいながらも士気を保ち、過酷な最前線を支え続けられますか?」

「うっ……。撤退するかな? 僕は……。」


 モンスター肉独特のえぐ味を思い出してか、ジュリアスが顔を引きつらせる。

 他の第十三騎士団の面々も同様だ。マイルズに至っては胸の奥から込み上げてきたモノが有ったらしく、涙目になりながら口元を右手で押さえている。

 平然としているのは俺を除いたら、嘗ては冒険者として名を馳せたタムズさんとジュリアスの叔父であるゼベクさんの二人しか居ない。


 それ以外の反応は困惑だ。

 誰かから話を聞いているかも知れないが、あのモンスター肉独特のえぐ味は実際に経験しなければ絶対に解らないだろうから仕方が無い。


 ちなみに、兵糧の現地調達の手段はまだ他にも有る。

 最も手っ取り早いのは新しく占領下に置いた村や街で行う臨時徴収という名の略奪だ。


 しかし、その方面に潔癖で嫌悪感を持つジュリアスがソレを許さない。

 元ミルトン王国民へ対する虐待、略奪は先任の第十一騎士団と第十二騎士団がまだ居た頃は少なからず有ったが、第十三騎士団が最古参となり、総司令官であるジュリアスがミルトン王国戦線方面軍の実権を名実共に握ってからは堅く禁じられている。


 第十四騎士団の副団長の様子を窺ってみると、膝の上に置かれた右手が上がろうとしている。

 嫌な予感がした。もし、略奪案が提案されようものなら、ジュリアスの機嫌は瞬く間に傾き、この場の雰囲気は悪くなるのは確実である。


 最悪の場合、ジュリアスを宥める為、この集会を解散させる必要が有る。

 そうなったら、せっかく張り切っているのが台無しであり、そうならない為にも先手を打つ。


「そう、それが最善手です。

 しかし、戦いは退き際こそが難しい。それも補給が途絶えて、士気が低下した状態なら尚更です。

 残念ながら侵攻を再開した場合、トリス砦が落とされ、このネプルーズの街まで最前線が後退する未来しか私には見えない。

 尚、兵糧の現地調達案として、新たに占領した村や街で徴収したら良いというのも有りますが……。ティミング卿、どう思われますか?」

「いや、駄目でしょうな。

 嘗ての祖国を貶すのは心苦しいが、北部地方も、中部地方も二度に渡る国家総動員令で生産力が極端に落ちています。

 徴収したところで雀の涙。全ての兵士達の腹を満たすだけの量は到底得られないでしょう。

 もし、それを実行しようものなら食糧不足に耐えている住民達へ飢えて死ねと言う様なもの。まず間違いなく、反乱が起こるでしょうな」


 俺の予感は正しく、実に危ないところだった。

 元ミルトン王国貴族である元領主様の見解はとても説得力に溢れており、肩まで上がりかけていた第十四騎士団の副団長の右手が再び膝の上に戻る。


「私も同感です。嘗て、ミルトン王国の穀物庫と呼ばれたこの中部地方ですら今は人手が足らず、麦の収穫量は最盛期の半分に落ち込んでいます。

 これでは兵力を進める先々で逆に食べ物を与えてくれと住民達から懇願される可能性の方がよっぽど高い。今の備蓄などあっという間に底を着いてしまう」

 

 ここで言葉を切り、視線を右から左へと、左から右へと向ける。

 不服そうな様子は一部に存在するが反論は出てこない。どうやら、ここまでは納得して貰えた様だ。


 もっとも、俺が今まで何度も主張してきた内容である。

 最早、反論は淘汰され尽くしていると言っても過言でない。


 ところが、感情論や精神論を是とする者達は基本的に『戦いは実際にやってみなければ解らない』という信念を堅く抱いている。

 俺としてはやらなくても解っているから言っているにも関わらず、それを解ってくれない。第十四騎士団の団長からの親書に書かれていた長々とした内容も要約すると正にそれだった。


 理論と感情論が相容れないのは承知している。

 だが、俺を説き伏せるだけの材料が無いからと言って、不満を俺の居ない場所で高らかに叫び、他の者達を扇動するのだから質が悪い。


 しかし、それもこれも今日までだ。

 この集会が終わった時、もう二度と『戦いは実際にやってみなければ解らない』などという浅はかな希望的観測を持てないほど徹底的に叩きのめしてやる。


 その為の準備に目を静かに瞑り、大きく深呼吸を一つ。

 数拍の間を開けた後、目を一気にクワッと見開きながら過激なドデカい一発を放つ。


「この際だから、はっきり言いましょう。……陛下は間違っている!」


 効果はこれ以上なく抜群だった。

 場がシーンと静まり返り、誰もが目をギョッと見開いた上に大口をあんぐりと開け放って固まった。


 インランド王国では国王の権威が強い。

 宮廷、軍部、領主貴族の三者と比べたら、一段も、二段も上になる。


 特に軍事では独裁に近い実行力を持っており、中央軍最高司令官の座を王族とは言えども国王以外に就いた者は過去に一人も居ない。

 恐らく、これは軍事的才能に富んだ国王が過去に何度も現れ、インランド王国が他国を征服する事で大国となった歴史を持つ為だろう。


 それだけにこれを驚かずして何に驚けと言う話。

 だが、今まで溜め込んでいたモノを口に出してしまった以上、もう止まらない。ミルトン王国戦線へ訪れて以来、後方基地のレッドヤードの街で兵站を一手に引き受けているスアリエ卿の分と合わせて、俺達の苦労の根源をこれでもかと罵ってゆく。


「今以上の版図をまだ欲するなら、今すぐにでも論功行賞を行って、この戦いに一旦の区切りを付けるべきだ!

 そして、東部地方各地の領主を定めて、今現在の兵站を全て一新! 俺が何度も問題として挙げている補給路の短縮を図るべきだ! その場合……。」

「ス、ストップ! ス、ストップです!

 そ、それ以上は! ……ねっ!? だ、だから、落ち着いて下さい!」


 真っ先に我を取り戻したのはマイルズだった。

 椅子を蹴って立ち上がり、俺の口を物理的に塞ごうと血相を変えながら駆け寄ってくる。

「安心しろ。俺は冷静だ。

 それに言った筈だ。この際だから、はっきり言うとな」

「だ、だからって、はっきり言い過ぎです!」


 しかし、それを予想していれば対処は容易い。

 指し棒を文字通りの目の前に突きつける。たった、それだけでヒトは条件反射的に動けなくなる。


「国王だって、俺達と同じヒトだ! なら、ヒトである以上、間違いは起こす!

 その時、それを諌めるのが臣の役目! 諫言を遠ざける様な者に王たる資格は無い!」


 その隙に言いたい事を言い切る。

 身体と指し棒はマイルズへ向けながらも眼差しはジュリアスへと向けて。


 一拍の間の後、ジュリアスが目をハッと見開き、茫然とした間抜けな顔を真顔に戻す。

 その顎先が微かに頷いたのを確認して、マイルズへ向けていた指し棒を下ろして、口を満足に緩める。


 今、俺が訴えた諫言には三つの意味が含まれている。

 一つは言葉通りに陛下へ対する諫言であり、もう一つはジュリアスへ対する戒めだ。


 王都に居た頃は様々な窮屈を強いられていたジュリアスだが、今は違う。

 このミルトン王国戦線方面軍において、王族はジュリアス一人のみ。第十三騎士団も最古参となり、その権威は以前の比にもならないくらい高い。


 ジュリアスが増長するなんて考え難いが油断は出来ない。

 前の世界の歴史にて、大きな権威を手に入れた途端、周囲の変化に着いてゆけず、身を崩した例は掃いて捨てるほど有る。


 最近は甘い汁を吸おうとジュリアスへ近づく者も多い。

 一応、ゼベクさんが目を光らせているが、目が届かないところは絶対に有る。

 それにジュリアスが『最近、叔父さんが口五月蠅くて困る』と愚痴を良く零していたのが少し気になっていた。


「くっくっくっ……。相変わらず、コミュショー卿の言葉は耳が痛い。

 詰まるところ、陛下へ奏上する権限を持つ儂と殿下に怠けておらず、それをしろという事かな?」


 そして、最後の一つの意味もバーランド卿がちゃんと受け取ってくれた様だ。

 バーランド卿は肩を震わせての含み笑いで沈黙を打ち破り、組んでいた腕を解くと、顎を右手でさすりながらニヤリと笑った。


 今や、男爵位に叙せられた俺だが、国王から声をかけられての直答は出来るが、こちらから国王へ何かを申し出る事は出来ない。

 オータク侯爵家執政としても同様であり、国王へ何かを申し出る場合は実際の侯爵位を持つティラミスが一緒に居り、まずはティラミスが陛下へ話しかけてからとなる。


 この場の面々で国王へ奏上する権限を持っているのはジュリアスとバーランド卿の二人のみ。

 今までもおっさんと義父の二人へ頼んで国王をせっついて貰っていたが、そこに現場二人の意見が加わるのは大きい筈だ。


「可能なら、今回の不可解な残留命令の目的も尋ねてくれたら幸いです」

「ふむ、良いだろう。殿下も宜しいですな?」

「解った。丁度、書きかけの手紙が有るから、その中に書いておくよ」

「では、その様に……。」

「しかし、コミュショー卿。それで尚、陛下は攻めよと仰ったらどうする?」


 上々の滑り出しである。

 一息を着いたところにバーランド卿が質問を返してくるが、こう返してくるのは予想済み。


「その場合、残念ながら従うしか有りませんが、その可能性は低いと思われます。

 ……と言うのも、補給の問題を差し置いても、これ以上の版図拡大は意味が無い。ですから……。」


 それに蚊帳の外にすっかり置かれ、未だ立ったままで居るマイルズの名誉挽回には丁度良い。

 俺の傍で様々なモノを見聞きしているマイルズならバーランド卿の質問に十分応えられる筈であり、その復習と確認を兼ねて、マイルズへ説明役を指名しようとしたその時だった。


「待って頂きたい。これ以上の版図拡大は意味が無いという点に関して、参謀長の見解を是非とも聞きたい」


 この執務室へ第十四騎士団の副団長と共に現れたが、挨拶を交わしたっきり黙っていた第十五騎士団の団長が小さく挙手しながら問いかけていた。




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