閑話:山賊サイド(頭領視点)
少し前まで、結界も何も張ってない。
寂れきった廃村に近い村だった。
しかし、今俺の前には強力な結界が張られている。
こんなの俺が王都で雇われ兵士やってた時にだって見たことがねぇ。
俺たちが、この村に2週間来ねぇうちに何があったんだ。
野郎どもが結界に攻撃を加えているが、そんなやわな攻撃じゃこの結界は破れねぇぞ。
かと言って、このままじゃ山賊の名折れだ。
よし、いちょやるか!
「お前らどいてろ。俺がやる。」
「御頭、破れるんですか?」
フィニが疲れた顔して聞いてきた。
腹の中でだけ応えてやる。無理だ。
目線で伝えれば、泣きそうな目ぇしやがった。
まぁ、ここんとこ実入りが少ないのは事実だ。
泣きたくもならぁな。
「やるしかねぇだろがっ!俺が破れねぇなら、うちの奴は誰がやっても敗れねぇよ。」
「それは、そうですね。」
「じゃあ、御頭がやってダメだったら狩場を今度から変えるんすっか?」
ペリーが、唐突に聞いてきた。
俺は、少し考えるフリをして告げた。
「ああ、それもやむ無しだ。」
「うらぁっ!!」
カッキーン>>
思いっきり振りかぶった斧が結界にあたった瞬間に折れた。
ヒビは覚悟していたが、折れたとなると少々腹も立つ。
当然、愚痴も多くならぁ。
「ちっ、どうなってやがる。つい、2週間前にはこんな上等な結界なんぞなかったはずなのに。」
「どういうことなんすっかね?御頭、もしかして冒険者が来て何かしらの術もしくは結界石を置いていったんすっかね?」
「俺が、んなこと知るわけねぇだろ!!」
忌々しい。
なんで、こんな辺鄙な村にあんだよっ!
神さまは、よほど俺たちがお気に召さんらしいな。
まったくどうすりゃいいんだぁ、こりゃあ?
このままじゃ、おまんまの食い上げだぞ。
天を仰げば、前方から人の気配がした。
しかし、誰もいやしねぇ。
不思議に思って見ていたら、何もないところから女が出てきて言いやがった。
「それは、私がこの村に結界を張っているからだよ。おっさん。」
「ああっ?なんだてめぇ、どっから出てきやがった!!」
相手の実力が分からねぇ。
が、とりあえず馬鹿の振りはしておく。
「御頭!今この女いきなり現れたっすよ!!それにあの胸、この女魔術師ですよ!」
ペリー・・・。見りゃわかる。
それに、女の前で胸の話はするな殺されるぞ。
「なんだと、魔術師がなんでこんな辺鄙な村に居るんだ!!」
「知らねーっすよ!とにかく逃げるっすよ!御頭!!」
いやいや、逃がしてくれる雰囲気じゃねぇぞ、こりゃ。
目の前の女の黒い微笑みが深くなる。
ああ、こりゃ来るな。
「・・・サンダー、ブリザド、ファイヤーウォール」
ほら来やがった、マジギレのメタ打ち攻撃。
女魔術師は、これだから怖い。
「痛いっ!痛いっ!どこから、この電撃飛んできてんだよっ!!いだっ!」
「あの女が、結界の中から呪文を唱えて攻撃してきてんすっよ!!ギャー、寒い!!」
「うおわー!!熱っ!熱いぃーーー!!御頭、助けてー!!」
「今行く!!ちょっと、待ってろ!うわっ、今度は鉄砲水だー!!」
これで分かっただろ、ペリー・・。
女の前で胸の話をするとこういう目に合うんだ。
気をつけろ。
一通り攻撃して、気が済んだのか女が俺を呼びつけやがった。
やれやれ、一体どんな要求を突きつけられるやら。頭が痛ぇ。
まぁ、一回は断っとくか。
「ああっ?なんで、てめぇの言うこと聞かなきゃいけないんだよ」
「いいから来い。来なければお前ら、全員血祭りにあげるぞ・・。」
鬼かこの女は・・・。
言われた通り結界の前に立つ。
ほう、この女の胸は本物だ。フェイクじゃねぇ。
これだけの魔術師がなんでこんな辺鄙な村にいやがるんだ?
ますます分からねぇ。
「なんだよ。姉ちゃん、この俺に何かようか?」
「ああ。今、村の反対側の結界破ろうとしてるのは、お前たちの仲間か?」
村の反対側だと。
俺たちの他にも、この村を知ってる奴らがいるてぇのか?
おいおい。
この村は地図にも載ってねぇし、近隣の村の奴らだってほとんど知らねぇんだぞ。
そんなことは、ありえるはずがねぇ。
「いや、違う。俺たちは、見ての通り魔力がない平民出身だ。結界を破れる奴なんか、居ねぇよ。」
「そうか。分かった。もう、帰っていいぞ。それと、これに懲りてこの村は襲うな。私の仕事が増えるからな。」
はぁっ?
今こいつ何を言いやがった。
帰っていいだと。
甘い、甘い、なんて甘ちゃんだ。
理由を聞けばめんどくさいし、俺たちじゃ相手にならんと返された。
まぁ、事実だ。
呆れていれば。
「なんなら、リアル血の池地獄でも見せるか?」
とか、言いやがった。
かなり性格が悪いみてぇだな。
その後、ペリーとフィニが持ってた・アインツ・の情報をやったら、・アインツ・潰すのにお前ら邪魔だからさっさと去れとか言って、どっか行きやがった。
おかげで、その後が大変だった。
やれ助太刀しようだの、逃げようだの。
うるさくて、参っちまう。
しょうがねぇ、さっきの借りもあることだ。
「野郎どもっ!あの女がやばくなった時に、助太刀できるように少し離れた位置から戦場を偵察するぞ!!分かったか!」
「「「分かりやしたっ!!御頭!!」」」
なんだかんだで、俺が一番甘ちゃんなのかねぇ。
頭領がなんでバカのふりしてるかは、また今度別の話で書けたらいいな♫とか、思ってます。