5.安全を脅かされましたよ!とりあえず、戦う準備をしましよう。
風邪が治ったので更新です。
「ばあさん!!村の南側で・アインツ・って、盗賊が結界を破ろうとしてる!山向こうの近隣の村はそいつらが、焼き討ちにして全滅!!」
息を切らせながら、私はばあさんに山賊たちから得た情報を叫ぶ。
ばあさんの家の近くは、ばあさん以外が魔法を使えなくなる強力な術が掛かっているから、テレポートは使えない。
厄介だから、落ち着いたら術の改善をお願いしよう。
「なんだって!嬢や、そりゃ本当かい!」
「あぁ、さっき北側の森を根城にしてる山賊連中締め上げて吐かせた。サーチも使ったけど、騎士崩や魔術師崩れな上に数も24人ほどだ。こちらの部が悪すぎる。ばあさんどうする?」
ばあさんは血相を変えて椅子から転げ落ちた。
サーチの結果を聞いて、さらに苦渋の表情になっている。
いつもは好々爺も足蹴にして高笑いしてそうなばあさんが追い詰められている。
この状況は、もしかしたらかなりまずいんじゃないだろうか?
「・アインツ・か、かつての第三王子の直属部隊・・・。まずいねぇ。いくらあたしや、あんたでもたった2人で精鋭部隊を倒すのは難しい。だからと言って、現王はこの村にとっては敵に等しい。どうしたもんかねぇ~。」
ばあさんは考えを口にしながら、戦う準備を始めている。
ローブ・杖・薬の小瓶・何度も使えるポータブル魔方陣・水晶玉。次々、机のうえに並べていく。
ん?
・・・んん?
魔方陣・・・。
魔法陣ねぇ・・・。
うん、使えるかもしれない・・・。
「ばあさん。」
「ん?どうした、嬢や?」
「そのポータブル魔法陣はどこにつながっているんだ?」
「あぁ、これかい。王都の私の屋敷跡だよ。それがどうしたんだい?」
ばあさんは、怪訝な顔でこちらを見ている。
まぁ、完全に跡地もなくなるようなことしようとしてるからいいんだけどね。
「その魔方陣を、魔法で拡大して村の南の結界の真下に移動させて、王都に・アインツ・の奴らをテレポートさせるっていうのはダメかな?」
かなり無理なお願いだから通じるかわかならいが、かわいこぶってみた!
ばあさんはしれっと無視した。
ちっ、やっぱりばあさんには通じないか。
「・・・そうだねぇ。あの家は宮殿近くに有るわけでもないし、街中よりも兵士たちの訓練上のほうが近い。悪くはない、悪くはないが・・・。」
「ああ。ばあさんが・アインツ・の奴らを送り込んだと思われてこの村が危険にさらされる危険があるな。」
「いやいや。王都には息子がいるから連絡を入れれば大丈夫。それは、問題ない。そう、それはな・・・・。」
「じゃあ、何の問題があるんだ?」
他に何の問題があるのだろうか?不思議そうな顔をしてばあさんの答えを待つ。
「それはな・・・・。」
「それは?」
「相手の魔導士に気取られずに、こんな大掛かりな術を仕掛けることが出来るかということかねぇ。」
「あ~、それは確かに。奴らは元精鋭部隊だもんな。でも、策はあるんだろ?」
ばあさんがもったい付ける時は必ず策を持っていることは分かっている。
問題はどんな策かということだ。
ばあさんは私を見てニタリと笑う。
嫌な予感がビリビリしてきた。
「あるとも。嬢や!あたしの昔の勝負服を貸してやるから、化粧して絶世の美女に化けな!奴らを誘惑しながら攻撃するんだよ!」
「はぁ?百歩譲ってあの勝負服は着ても、十人並の私が化粧しても絶世の美女にはなれないよ!ってか、誘惑てなに!そんなことできないよ!めんどくさい!!」
「こんな時に何を言ってるんだい!嬢や!いいかい、よくお聞きっ!時間がないんだ。嬢の張った結界ももって後、2時間弱。その間に嬢は化粧と着替えを1時間で済ませな!あたしゃ、嬢が準備している間に魔方陣を粗方仕上げておく。その後、嬢にチャームを誘発する術をかける。そして、奴らが嬢に見とれてる隙に奴らの地面の3cm下に魔方陣を移動させる。あたしが、合図したら嬢がテレポートの呪文を唱えるんだよ。そうすりゃ、一人二人は運良く残ってもあたしらでどうとでも出来るって寸法さ。」
それだけ言うと、ばあさんは使い魔を二人呼び出して颯爽と地下の術部屋に降りていった。
くそう。逃げたな、あのババア。
使い魔二人にばあさんの衣装部屋に引きずられながら思った。
元の世界に帰りたい!
今すぐに!
誰か助けろ、コンチクショー!!!
次回、主人公またセクハラの被害に遭います・・・。