4.山賊が来ましたよ!とりあえず、しっかりと手懐けましよう。
風邪を引きました。頭痛がひどいです。でも、こういう時に限ってネタが浮かぶ不思議?なんなんでしょうね、ほんと。
「ちっ、どうなってやがる。つい、2週間前にはこんな上等な結界なんぞなかったはずなのに。」
「どういうことなんすっかね?御頭、もしかして冒険者が来て何かしらの術もしくは結界石を置いていったんすっかね?」
「俺が、んなこと知るわけねぇだろ!!」
いまいましそうに、山賊のおっさんが結界を睨みつけている。
6人の手下ともども毎回同じように剣や斧で物理的に攻撃してるけどね、おっさん。
そんな物理攻撃、よっぽど弱い結界じゃないと壊せないから。
いい加減に気づこうか?ねぇ、おっさん。
手下に八つ当たりするのも、いい加減見苦しい。というか、ウザイ・・・。
しょうがない、毎回毎回来られんのもウザイからそろそろ会話に参加してあげるよ。
「それは、私がこの村に結界を張っているからだよ。おっさん。」
「ああっ?なんだてめぇ、どっから出てきやがった!!」
「御頭!今この女いきなり現れたっすよ!!それにあの胸、この女魔術師ですよ!」
「なんだと、魔術師がなんでこんな辺鄙な村に居るんだ!!」
「知らねーっすよ!とにかく逃げるっすよ!御頭!!」
人に話し振っといて、無視すんなよ。お前ら・・・。
それに人を胸で判断するな、この変態め!!最低だ。
人をほったらかして、揉めている馬鹿どもには御仕置きが必要だな。
「・・・サンダー、ブリザド、ファイヤーウォール」
「痛いっ!痛いっ!どこから、この電撃飛んできてんだよっ!!いだっ!」
「あの女が、結界の中から呪文を唱えて攻撃してきてんすっよ!!ギャー、寒い!!」
「うおわー!!熱っ!熱いぃーーー!!御頭、助けてー!!」
「あっ、ヤバイ。木に燃え移った。えっと、アクアクリエイト。」
「今行く!!ちょっと、待ってろ!うわっ、今度は鉄砲水だー!!」
問答無用で、攻撃呪文を繰り出しました。
なんかギャーギャー言って逃げ回ってるけど、知ったこっちゃない。
この村での私の仕事は、結界を張ることと村に害をなすものの駆除だ。
それにしても、うるさいな。略奪とかしまくってるのに、根性ないね。
でも、魔術に対してなんの防御策もしてないなんて変だな。
まさか、別働隊とかいないだろうな?まぁ、こいつらにそんな頭はないか。
いや、待てよ。だからこそ利用する奴が出てくるはず、こいつらが馬鹿騒ぎして人の目を引いてるうちにこっそり別の誰かが何かする可能性は十分にある。
ちっ、めんどくさいが嫌な予感がする。
「サーチ発動。」
あー、うん。やっぱ、いるよねー。そうだよねー。
うわー、こっちの方が人数も多いし、何より騎士崩れとか魔術師崩れとか。
マジ?なにこれイジメかよ・・・。
せめてもの救いは、まだ結界を破れてないってことぐらいか。
でも、結界張っている術者にわからないように結界を破ろうとするなんて、手強いな、これは・・・。
とりあえず、結界強化してこのおとりにされたおっさんから何か情報聞き出そう。
「そこの濡れネズミのおっさん、ちょっと話があるから結界の前まで来なよ。」
「ああっ?なんで、てめぇの言うこと聞かなきゃいけないんだよ」
「いいから来い。来なければお前ら、全員血祭りにあげるぞ・・。」
渋々と行った感じで、おっさんが私のところに来た。
だが、目線は私の胸に注がれている。
人の話し聞く気あんのか、こいつは?本当に、最低だ。
「なんだよ。姉ちゃん、この俺に何かようか?」
「ああ。今、村の反対側の結界破ろうとしてるのは、お前たちの仲間か?」
「いや、違う。俺たちは、見ての通り魔力がない平民出身だ。結界を破れる奴なんか、居ねぇよ。」
「そうか。分かった。もう、帰っていいぞ。それと、これに懲りてこの村は襲うな。私の仕事が増えるからな。」
きょとんとした顔で、おっさんが私の顔を見る。
「はぁ?殺さないのか、俺たちのこと・・。」
「どうでもいい。どのみち、おっさんたちじゃこの結界は破れんし、何よりめんどくさい。」
「そういう問題なのか?」
やや呆れ気味のおっさんが、何だかしょげた大型犬のように見えたので、少しからかってみた。
「何だ?死にたいのか?なんなら、リアル血の池地獄でも見せるか?うん?」
「やめろっ!!全力で遠慮する!」
「そうか、残念だな。」
にやにやしながら、おっさんで遊んでいたら、おっさんの手下から声をかけられた。
「あの~、姉さん。今、御頭に言っていたのはたぶん盗賊集団・アインツ・の奴らだと思うんすけど。奴らは、かなりヤバイっすよ。」
「?どうヤバイんだ?」
「いやー、それが何か王位を継げなかった第三王子に仕えてた奴ららしいんすけど。その第三王子が失脚したときに、現在の王様に身分剥奪、財産没収と王の直轄地への進入禁止を言い渡されたらしいすっよ。それでも気位は高いし物欲は強いしで、結局金欲しさに盗賊集団なったんすけど、この山向こうの近隣の村はほぼ焼き討ちされて全滅したらしいっす。」
「あっ、俺も奴隷市に行ったら、知り合いが売られてたの見つけて慌てて買いましたよ。そんでそいつが、領主に被害報告書出したんですけど無視されたんで、ギルド通して王様に被害報告したら、王様がキレて討伐隊送り込んだはずなんですけど・・・。」
「つまり、王が送り込んだ精鋭部隊をきれいに返り討ちにした上で、今なお場所を移して盗賊活動ができる手練ぞろいだということだな?」
「まぁ、そういうことっす。」
めんどくさいが、こいつらいたら邪魔だから。まず、こいつらをこの場から離そう。
「そうか、なら・アインツ・とか言う奴ら潰すから。お前ら、とっととこっから去れ。」
「えっ、手伝えとかじゃなく!!」
「えぇー!帰っていいんすか?」
「うん。邪魔だし、足でまといにしかならんからいらん。」
清々しいほど、すっぱりと言ってやる。
だって、いらないものはいらないから仕方がない。
とりあえず、ばあさんに相談したほうがいいな。
山賊たちに背を向けて、一気にばあさんの家に向けて私は走り出した。
誤字脱字がありましたら、こっそり教えてくださると助かります。