10.夏がきましたよ!とりあえず、山へ行きましょう。
更新遅れてすみません。
体調不良で、ごろごろしておりました。
目の前の人間は、馬鹿というか空気が読めない。
呆れてため息を付こうにも、隙をみせればふんじばってでもこちらをどうにかしようというのが丸見えだ。
ばあさん・・・。
あんたの息子、絶対使者にむいてない。
何故目の前の馬鹿がここに居るかと言えば、話は簡単だ。
夏が来たのだ。
そう、それは別にいい。
ただ、夏の暑さにやられた馬鹿どもが悪いのだ。
今年も例年に漏れず、年に一度の未婚の女性全員参加の水着コンテストを開催することになったのはいいが。
如何せん・・・目玉商品もとい客寄せパンダが居ない。
失礼、胸の大きい女性がいない。
胸の大きい女性は昨年こぞって(水着コンテストに出るのが嫌すぎて)、結婚してしまい(毎回出るたびに舐めるような視線にさらされるため結婚に逃げた)今年入った魔術師見習いたちも(胸の大きさが)微妙。
これでは、王都の貴重な観光収入が減ってしまう。
そこで、この馬鹿が自分の母親が居る村に巨乳の女魔術師がいると王に言ったらしい・・・。
王は、自分が追いやった者たちが協力するとは思えないがダメモトで好きにすればいいと言ったらしい。
うまくいけば、褒美をとらすという甘言と共に。
冷気の魔石で室内は、涼しく保たれてはいるが目の前の馬鹿のおかげで気分は最悪だ。
要するに、この男が言いたいのは。
お前は、顔は十人並だけど良い体してるんだから脱げ!
そして、男共を楽しませて国に金入れろ!
ついでだから、王都にくれば有力貴族のお妾かうまくいけば王の側妃にできるかもぐらい考えているのが言葉の端々に滲み出ている。
そして、自分は褒美を貰おうと。
最低だ。
いろんな意味で最低だ。
まぁ、この国の女性陣も苦労するわ。
あ~、元の世界に帰りたい。
この世界、元の世界よりめんどくさすぎだろ。
「断ると何度言えば理解できる?いい加減にしろ、私は忙しい。」
「それでは、こちらが困ります。先程も申しましたように、この年に一回の水着コンテストは我が国の重要な観光資源の一つなのです。ですが、今年は少々決め手にかけるのです。そこで、咲良さんに文字通り一肌脱いで頂きたいのです。」
「それは、先程から何ども聞いている。だが、それはそちらにしか旨みがない。もともと、この村が・アインツ・に危険にさらされていても放っておいた貴殿らに何故私が協力しなければならない。おまけに、・アインツ・をそちらにわざわざお繰り返してやったというのに、その損害賠償として私を差し出せというのは余りにも馬鹿げているとは、思わないのかね?」
「確かに、あなたの言い分はもっともです。しかし、この国に属している限り国に協力するのは当然のことでは、ありませんか?」
したり顔で勝ち誇ったようにこちらを見る馬鹿に教えてやるとしよう。
そんな愛国心などこの村の誰も持っていないことを。
「貴殿が、馬鹿なのはよくわかった。この村は、貴殿が言う国には属していない。なぜなら、この村は現王に見捨てられ裏切られた流浪の民が寄り集まってできた村だからだ。その恨み、憎しみを貴殿は何も理解していない。もし、貴殿の言う国にこの村が属しているというのであれば、・アインツ・がこの村を襲撃した時に王は軍隊を送っているはずだ。だって、そうだろう。自国の民を見捨てる者など王ではないからだ。もし、万が一そんな王がいるのならば覚えておくがいい。そんな輩は、必ず民に殺される運命にあると。」
「しかしっ!」
「しかしもかかしもないわっ!!この件は、断る。戻って王にそう伝えろ。もしこの村や私の前で何か無理強いするようなことがあれば、王都も王も無事ではすまないとおもえ!まぁ。そんな事をしようものなら。まず、貴殿から消していくとしよう。では・・・。」
言い終わると同時に、涼しい部屋から外に出た。
気分が悪い。
ばあさんが王都を追われた時のことやこの村のじいさん、私を召喚したおばさんのこの村に来た経緯を思い出して、吐き気がした。
あんな馬鹿は死ねばいい。
そのほうが、世のためというものだ。
しかし、それにしても暑い。
暑すぎる。
何だ、この殺人的な熱気は。
いかん。
このままでは、干からびる。
どこかあの馬鹿が追って来れない涼しくて静かな場所はないか?
とりあえず、ばあさんの家はダメだ。
それ以外で、涼しい・・・。
よしっ!山賊のところへ行こう。
この間、梟にくくりつけてあった手紙にいつでも来いって書いてあったしね。
あそこは、川の上流に近いし何より危険だから、いくらあの馬鹿でも来ることはできまい。
そうと決まれば。
「レ・フライ」
次回は、山賊の頭領が頑張ります・・・。たぶんね?