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ニルヴァルクの詩:第二章三節 【死闘の始まり】



鋭い風切り音が男達の耳を貫き、

息の詰まるような死闘の始まりを告げた。





タラトットから伸びる

鱗肢の表面は

狩りの地の地表のように

ゴツゴツとしていて

僅かでもかすれば

大怪我は免れないことが

容易に想像が出来た。





アシュナスは一歩も動かず、 

フディアを瞬時に何度も振るった。



アシュナスに次々と迫る鱗肢りんし

彼の意志の“現れ”である

刀の如き切先により切り裂かれ、

地面に散らばった。



アシュナスは容赦も躊躇もなく

鱗肢を切り刻み続けた。




鱗肢は図体の大きな男にも

疾風の如き速さで迫った。



図体の大きな男が叫んだ。

「わ…わぁああああ!!」

男はそのまま気を失い地面に倒れた。


鱗肢は図体の大きな男には

あたらず空を切った。


図体の大きな男は

気を失う事で鱗肢を交わした。

だが、気を失うことは

意志の消失を意味していた。



意志の消失を、かの霊水が反映し、

図体の大きな男の握る槍の先は

弾けて散った。




「ひぃいい!」

袖の無い男が叫び走った。


別の無数の蔓の如き鱗肢が

袖の無い男に迫り伸びていたからだ。


袖の無い男が叫んだ。

『来るな…来るなぁあ!!!』


しかし袖の無い男の叫びも虚しく

鱗肢が直撃した。

鱗肢の先端は獣の如く開き

袖の無い男の

右足に噛み付いた。


食道の無い鱗肢の噛みつきは

捕食のためではなく、

獲物を固定するためであった。



その時、タラトットの

目の如き三つ葉の如きが

漆黒に染まり

無数の輝きを灯し始めた。

タラトットは顔の如きを

仰反るような姿勢となった。




“ヨルグナ”の始まりである。



アシュナスは

袖の無い男に駆け寄り、

「全力で逃げろ!」と伝え

鱗肢を切ってやった。




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